読書のススメ「はじめての短歌」

こんばんは。オズです。このnoteでは、わたしの「好きなもの」について、勝手に書いて、勝手におススメしていきます。

今回は穂村弘さんの「はじめての短歌」をご紹介します。

穂村弘さんについて

穂村弘さんは、現代短歌を代表する歌人のお一人です。現在雑誌のダ・ヴィンチでは「短歌ください」の連載をされており、「短歌ください」シリーズは書籍にもなっています。

内容について

この「短歌ください」は、元々ビジネスマン向けのワークショップとして行われた短歌講座の収録になっています。ビジネスマンたちに向かって「短歌の価値は社会的に価値と結びつかない」と穂村さんは言いますが、じゃあ、その短歌の価値とは何か、というようなことを講座を通して伝えてくださっています。

また、全体を通して短歌の例が沢山出てくるのですが、この本では改善例ではなく「改悪例」があえてあがってきています。たとえば、抽象度の高い表現で「そういう状態」というワードが出てくるのですが、その抽象度が高い状態を「散らかっている」というように具体化してしまうと、それ以上意識や感情が動かされなくなってしまうので、現代短歌としては良くない例になる、ということです。この、意識が動かされる状態を、穂村さんは

"0.5秒考えるコミュニケーション"

と表現されています。「え、そういう状態って?」と心が動くのはどういう時なのか、それをこの本(元は講座)を通して学んでいく事ができます。

「生きる」と「生き延びる」

また、この本で繰り返し出てくる「生きる」と「生き延びる」の違いも興味深いです。「生き延びる」ために必要なことは非常に明確で、たとえば5W1Hなどのわかりやすいルールが存在しているのが「生き延びる」ための世界です。でも、「生きる」のに必要なのは、無意味で非効率で、お金にはならないもの、しかし忘れられないようなことと言われています。そして、短歌は「生きる」ために必要なものであると。だから、効率的な文章ではないけど、生きることに少し向き合うために必要なことなのかなと、読んでいて感じました。

おわりに

私はもともと現代短歌が好き、ということもあるのですが、自分で少し書いてみたいな、と思った時にちょうどこの本に出合って、とても気が抜けて自分も書いてみていいんだなと思うようになりました。私も、また改めてこの本を読んで、"0.5秒考えるコミュニケーション"になるような短歌を作ってみたいと思います。

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