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Univers Zero / 1313

■Univers Zero / 1313
■収録曲:Side 1 - 1.Ronde(15:13) 2.Carabosse(3:46) // Side 2 - 1.Docteur Petiot(7:45) 2.Malaise(7:58) 3.Complainte(3:27)
■パーソネル:Michel Berckmans(bassoon) Daniel Denis(percussion) Patrick Hanappier(violin, viola, pocket cello) Roger Trigaux(guitar) Emmanuel Nicaise(harmonium, spinet) Christian Genet(bass) Marcel Dufrane(violin)
■カバー・アート:Unsafe Graphics
■リリース:1977年

 イエスのリレイヤーと究極を飛ばして、いきなりこれか、と思われたその筋の方もいらっしゃるかも知れませんが、このnoteの外縁を示すという意味で、クリムゾンでもELPでもフロイドでもジェネシスでもなく先にこれを載せます!

 ユニベル・ゼロのファースト・アルバム「1313」です。
 ユニヴェル・ゼロは、ベルギーのグループで、所謂、チェンバー・ロックの旗手的存在です。チェンバー・ロックとは、古典楽器を用いて室内楽的なアンサンブルを聴かせるいわゆるプログレッシヴ・ロックの一形態です。室内楽といってもバッハやヘンデルを想像すると大間違いです。ユニベル・ゼロの音は、現代音楽的な手法で中世暗黒時代を体現させる狂気の音です。

 他に存在しないだろうと思えるくらい気味の悪い音の羅列を体感すると、体が弱っていると逝っちゃうかもしれませんね。メンバーはきっと、変な音の飛び方を楽しんでるんですよ。
 中心人物ダニエル・ドゥニが影響を受けた音楽は、某誌によれば、中世宗教音楽、トラッド、バルトーク、ストラビンスキー、ヘンドリックス、ビーフハート、ソフト・マシーンとのこと。

 ユニベル・ゼロの歴史は、1973年、ダニエル・ドゥニ(dr)とクロード・デロン(tp)が結成したNECRONOMICONを母体として、ロジェ・トリゴー(g)、パトリック・アナピエ(vln,vla)のほか、b、sax、keyを加え、翌1974年、ユニヴェル・ゼロと改名したところから始まります。

 1977年、本作「1313」をレコーディング、1978年、ユニヴェル・ゼロは、ヨーロッパの少数のアーチストによりロック・ミュージックへの新たなアプローチを模索するムーブメント、R.I.O.(ROCK IN OPPOSITION-反対派ロック)に参加しました。

 R.I.O.は純粋に音楽を追求するための商業主義ロックからの独立思想運動なんだそうです。Art Bears, Stormy Six, Samla Mammas Manna等硬派なバンド群から成っていたようです。

 ユニヴェル・ゼロはロンドン、ワンズワース・ロードにヘンリー・カウのクリス・カトラー(dr)が設立したレコメンデッド・レコーズから紹介されました。同レーベルはR.I.O.の独立系アーチストを世界に紹介する目的で設立されたレーベルです。国内では「レコメン系」と略され、前記R.I.O.とともに彼ら一群を指し示す際のキー・ワードとなっています。

 1313の世界は、フリーフォームではなく緻密なアンサンブルにより構築された現代音楽の世界です。きっと、彼らの3rdアルバムくらいから遡って聴いてみれば、初めてこの1313もロックなんだと評価できるのではないかと思えるほどに、病的で且つクラシカルな演奏です。しかも、極めて無機的です。

 暗黒世界の帳の中で演奏される音楽。特にバス-ンの暗鬱な響きがユニベル・ゼロの音の神秘性を決定付けているように思われます。ある意味ロックの懐の広さを体感できる貴重な一枚です。

 手元のアルバムは、半世紀近く前に御茶ノ水のジャニスで買ったレンタル落ちです。「俺(私)にも云わせろヨ!」という交換日記的な感想集がそのまま入っていました。もし、この日記を書いた人、または見たい人がいたらアップしますので言ってくださいね。昔懐かしくっていい感じ!


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