染めない理由
わたしは髪を染めたことがありません。
学生時代を含め、年齢を重ねた今に至るまでずっと、一度も髪を染めたことがないのです。
きっとこれからも、染めることはないでしょう。それはこの黒い髪が、亡き父から受け継いだものだからです。それはひとつ目の理由です。
父が残してくれたもの
73歳で亡くなった父は、最期まで髪の黒い人でした。病床にあっても、身体は枯れるように小さくなっていっても、髪は太く黒いままでした。
わたしは父によく似ており、髪質も父のそのままです。
子どもの頃は、真っ黒で量も多いこの髪が好きではありませんでした。陽に当たれば反射をし、白く光るほど黒く太く硬い髪でしたから、色の薄く柔らかな髪質にずい分憧れました。
ただ、色は変えることが出来たとしても、髪質が変わることはないし、それならいっそ、黒いままの方が自然なはず。そうも思い、ここまで一度も染めずにきたのです。
まとめ髪
わたしは、肩甲骨が隠れるくらいの長さの髪を、いつも両側から頭に沿うように編み込んで結っています。もう30年くらいずっと続けている髪型です。
もう随分前になりますが、その髪型と髪を、褒めてもらったことがあります。仕事の研修のため、アメリカの小学校に数日間訪問をした時のことでした。
「あなたの髪は素晴らしい。黒くてとても美しいです。その髪型はあなたにとてもよく似合っています。」
訪問先の小学校の先生に、そう言われたのです。
様々な髪色の人達が暮らすアメリカの地で、いかにも東洋的で真っ黒なわたしの髪が新鮮だったのかもしれません。もしかすると、ただの社交辞令であったのかもしれません。それでも温かなその言葉は、今も胸に輝いてあります。
そして、それから先のわたしは、この髪と髪型をとても好きになることができました。
染めない理由
コロナ禍のこの1年間は、医療関係者を中心に、過酷な業務を続けている方々が大勢います。
それに比べれば、細やかなものなのかもしれませんが、一日中動き回りながら、声を張って話をするのが仕事のわたしにとって、マスクを外すことの出来ない日々は、これまで以上に体力を要します。
そしてここ最近、随分と白髪が増えたように思うのです。以前は探さなければ見つからなかったものが、今では髪をかき上げるだけで、すぐに見つかります。
それでもわたしはやっぱり、髪を染めるつもりはありません。
今はまだ、多い髪の内側に隠れてそれほど目立つこともない白い髪。
それがもっと増えて、目につき始めたとしても、やはり染めることはないでしょう。
ありのままに
年齢を重ねてもありのままの姿で、背筋を伸ばし顔を上げて、高身長も隠さずにハイヒールでも履いて、スカーフを靡かせながら颯爽と歩く。
そうありたい。
いっそ、もっと白くなった方がいいかもしれません。グレイヘアにも憧れます。
歳を重ねることで、また新しい自分に出会うことにもワクワクします。
変わらないことよりも、変わっていくことに喜びを見出して生きてみたい。
鏡を覗いてふとそんなことを思いながら、ゆったりと寛ぐ。今日はそんな休日です。
ありがとうございます☺️皆さんのおかげです✨
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