見出し画像

調整

銀に輝く楕円の氷盤
中心で一本の鋭針が
ゆらりと支えている

熱戦の内に沈む心に
気の重さは増し始め
均衡は失われていく

彼の人は 正すモノ
羽ほどの荷を課して
水平軸へ目を凝らす

繰り返し繰り返し
試し 確かめて
少しずつ少しずつ

あるべき形に戻す

それは真に密やかに
気取られず行うから

神の手の技のように

何を為したものか
大衆の眼前に在って
知られることはない

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?