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子どもを守り未来へ スポーツ編

大谷翔平選手の報道を見るたびに、彼がファイターズにやって来た頃のことを思い出します。

高校生だった大谷選手は今よりもずっと体も細く、現在のご本人と比べれば華奢に思えるほど。
入団し練習が始まる前に大谷選手が行なったのは、体の成長を調べる検査でした。

そこで彼がまだ成長期であることを確認し、骨格の成長が止まり体がしっかりしてくるまで、決して無理をさせないトレーニング計画を立てたのだそうです。

わたしは小学校教師時代に、たくさんのスポーツに親しむ子どもと出会って来ました。
その中で、大人達(保護者を含む)の過度な要求によって、未来ある体を壊してしまった子が少なくないことを知っています。

今日は義務教育期にある子どもの体を守り、より良く成長するということについて書いてみようと思います。

ちょっと長いです。


14回を投げたエース

その子は絶対的なエースでした。6年生にしては大きな体をしていて、強く速い球を投げていました。選手の少ないチームで代わりがなく、彼は常にマウンドに立ち続けていました。

強いピッチャーでしたから、どの大会もチームはどんどん勝ち上がっていきます。
小学生の試合はたいがい5イニングで行い、ダブルヘッダーもありました。全道予選は7イニング。それもダブルヘッダーで、1日に14イニングの投球でした。

大会で好成績を残したものの肘を故障し、その後中学に進んだ彼がマウンドに立つことはありませんでした。


マスクをして長距離走をする

コロナ前のことです。今よりももっと市内のチーム数も多く、所属意識の強かった時代のこと。

夏休みに、アイスホッケー部が陸トレをしているのを職員室の窓から眺めていました。
頑張っているなぁと思いつつ感じた違和感は、子ども達がマスクをつけたままランニングを行っていたことでした。
心肺機能を高めるという、まるで大人のアスリートが行うようなトレーニングをしていたからです。

まだ、成長期の子どもです。
本来なら、すべての体、筋肉や骨だけでなく、脳や内臓に至るまで、十分な栄養や酸素が必要な年齢のはずです。
それがその後どう影響するのか想像のできない子どもにトレーニングを課すためには、大人の十分な知識と配慮が必要なのです。


成長期が高校時代に

運動会の花形、紅白リレーの選手。6年生になったとたん彗星の如く現れる子がいます。
声が低くなり成長期の訪れが早かった子達です。

3年で30センチも背が伸びるような成長期が、早いか遅いかによって、その年齢の体力には大きな差ができます。

その子は野球がとっても好きで、小学校ではキャプテンも務めたほど。ただ、とても小柄な子でした。中学ではレギュラーを取ることも難しいだろうと、野球をやめてしまったのです。

その後彼は高校まで成長が続き、180センチを超える立派な体に成長しました。
今も当時の判断が正しかったのか、本人の気持ちは本当に野球から離れることを良しとしていたのか、疑問が残り続けています。


30分毎に冷蔵庫を開ける成長期

これは、ウチの長男です。
中学に入学した時の野球部はとても強く、熱心に練習をしていて、長男の帰宅が8時を超えることが通常でした。空腹を抱えた帰宅後、夕食を食べ終えると食欲がさらに刺激されるのか?章題のように30分ごとに冷蔵庫を開けては食べるものを探します。

肉まん、ピザトースト、おやき、バナナ、鉄カルウエハース、ゼリーなどなど、とにかく手軽に食べられるものをたくさんストックしておいて、その無限の食欲に応えられるようにしていました。
用意したおいた食べ物があっという間に消えてなくなるので、ママ友の間では、冷蔵庫イリュージョンと名がついていたほどです。

長男は3年間で30センチ身長が伸びました。
男の子の成長期は凄まじいのです。
それだけ、成長期の過ごし方には配慮が必要です。


指導要領に基づく指導計画

義務教育の9年間には、指導要領があり、それに基づいた指導計画が立てられます。
それらは、9年間の縦軸と各教科領域の横軸に関連づけられていて、子ども達の体や心や思考の発達に則したものになっています。

以下、指導要領 体育編

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2019/03/18/1387017_010.pdf

それに基づいた指導法を動画にまとめた、文科省のYoutubeチャンネル。教員時代、こちらにはとてもお世話になりました。そっくりそのまま真似をして行っていました。

社会教育として行なわれるスポーツシーンでも、このようなある程度のカリキュラムづくりが必要だと思うのです。そして、それを共有することが大切だと思います。


未来へ続く道を広く太く

アイスホッケー界でも、トップリーグを引退した方の中に、教員免許を持っている方がいらっしゃることに気づきます。

その方々を中心に、子どもの発達に則したトレーニングメニューを蓄積し共有し合えたら良いと思うのです。その土台があれば、あとは個々によって配分を変えれば良いのですから。

小学生時代には、勝つことよりも育てることの方に重心を置いてほしい。勝利至上主義がなくなれば、指導法の共有も進みます。

日本のアイスホッケー界は、メジャースポーツに比べてこじんまりとしているので、巨大組織より改革のしやすさがあると思います。他のスポーツに先駆けて取り組むことも可能です。

これから先の未来は、子ども達のスポーツシーンが学校ではなく地域に任されて行くでしょう。
その過渡期にある今だからこそ、子ども達をしっかりと育てる大人の知恵が必要だと思うのです。


才能があるが故に無理を重ね怪我をしてしまったり、勝利のためにと機会を与えられず諦めてしまう子が減り、スポーツが大好きな子ども達を、もっと輝かせる未来へ向かうことを願っています。


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