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スーホの白い馬

「スーホの白い馬」は、小学2年生の国語、最後の教材です。これまでの学びで培ってきた力を、総動員して臨む学習でもあります。今日は、この大好きなお話を、子ども達と学ぶ活動をイメージしながら、綴ってみたいと思います。

心を寄せる

このお話は、読めば読むほどに深く心に響きます。幼い子ども達にとって、本気で物語を読み味わう、初めての大切な経験となるはずです。

学習では、お話を場面ごとに読み味わったあと、自分が心惹かれたシーンについて、その理由と共に紹介し合います。それを学びのめざすゴールとしました。

子ども達がスーホや白馬に心を寄せ、何を感じ、どう捉えるか。それがとても大切な学びになるのです。

あらすじ

 スーホは貧しい羊飼いの少年です。祖母と2人で暮らし、大人に負けないほどよく働きます。そして歌がとても上手です。歌えば良い声がモンゴルの草原に響き渡るのです。
 ある日スーホは、怪我をした白い子馬を連れ帰ります。介抱をし怪我が癒えてからも、スーホは白馬を大切に育てました。スーホと白馬はお互いをよく信頼し、兄弟のような間柄でもありました。
 ある年その地方を治める殿様が、競馬で優勝をした若者と、自分の娘を結婚をさせるというおふれを出します。
 スーホと白馬は、見事に優勝を果たしました。でも殿様は、貧しい身なりのスーホを見て、娘を嫁に出すことが惜しくなったのです。そこで銀貨3枚をスーホに与えて白馬だけを奪い取り、スーホを追い返してしまいます。
 白馬を自慢したい殿様は、たくさんの人を集め馬を披露しようと考えました。殿様が白馬に乗ったとたん、白馬は大きく殿様を跳ねて振り落とし、スーホの待つ村へ懸命に走って帰るのです。背中に沢山の矢を受けて、滝のように汗を滴らせながら。
 帰って来た白馬から、歯を食いしばりながら矢を引き抜くスーホ。そのまま馬は力尽きて死んでしまいます。
 悲しみに暮れるスーホが、ようやく眠りにつくことが出来たその日の夢に、白馬は現れます。
「どうかわたしの体で楽器を作ってください。そうすれば、いつでも側にいられますから。」
その夢の通りに楽器を作ったスーホ。奏でる音色は美しく、聴く人の心を打つのでした。スーホの作った馬の頭を柄に模したその楽器。それが馬頭琴です。

心を動かす

子ども達は、どの場面に心を動かされるのだろう?それを予測するために、まずは自分自身がどのシーンに心を動かされるのか、よく読み込んでみたのです。

わたしの心が最も動いたのは、背中に矢を沢山受けながら、スーホの待つ家の前にたどり着いた白馬。呼ぶ声に応え、白馬の佇む扉をスーホが開けたその瞬間でした。

さして詳しい描写もない静かな場面なのに、心が震えて仕方がありませんでした。
引き離された大切な存在が、苦難の果てに巡り会うシーンに、ここまで心揺さぶられるのかと、自分の今の心模様が写鏡のようでもありました。

たくさんの矢を受けながらも、スーホの元へ帰るため駆け続けて来た白馬は、力尽きて死んでしまいます。馬頭琴として形を変え、再び寄り添うことが出来たとしても、それはたまらなく悲しいことでした。

学びの行方

子ども達は、いったいこのお話をどう捉えるでしょう。「悲しすぎて、泣いちゃうの。」と訴える子どもには、その子の事情があります。それぞれの心のどこに響くのか、授業を始めるのがとても楽しみでもありました。

読む人の今によって、このお話は様々な角度から、大切なことを問いかけてくれます。子ども達には、ぜひ大人になってからもう一度、違う立場で読んで欲しいと願います。

「スーホの白い馬」は、子ども達にとって、友達と一緒に学んだ記憶と共にあり、人生において大切な一冊となるだろう。わたしはそう思っています。

おまけ

理不尽な殿様に憤る子ども達♪

子ども→「もう!この、との様ダメじゃん。けちだし、嘘つくし、いばるし、自慢したがりだし、言うこと聞かなかったら、家来に暴力させるし、最悪!こんなのが、との様でいいの?」

わたし→「そうだよね。ダメだよねぇ。」子ども達はちゃんと分かっていますよ♪🤗

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