しあわせの隠れ場所(原題: The Blind Side)
しあわせは、どこに隠れているか分からない。手を伸ばし、掴んだその手を信じることで、輝き始める人生がある。
闘争心を持たず、代わりに高い保護本能を持つ、実在のアメフト選手。
スラム街で育ち、愛も家も持っていなかった黒人の大男、マイケル・オアーと、彼を家族に招き入れ育んだテューイ家の絆の物語です。
わたしはこの映画が本当に好きです。それは、この物語が、誰かをとことん信じ尊重し、自分の信念に従って愛を示し続ける。ということを伝えているからなのだと思います。
テューイ家の人達は、たとえマイケルが素晴らしい能力を持ち合わせていなかったとしても、ホームレス同然の彼を家族として愛し、迎え入れたでしょう。
そしてマイケルも、その無償の愛を受け止めて応え、家族として、愛と信頼の中で自分の才能を存分に開花させていきました。
ですからこのお話は、スポーツ選手のサクセスストーリーという枠に留まらない、大きな大きな信頼と愛の物語なのです。
心に残る数々のシーンがあります。
1人で食事をするマイケルのために、みんなで食卓を囲み、家族の食事の時間を味合わせようと試みる場面。
友人の差別的な発言に対し、「彼の苦労を知らないでこれ以上悪く言うなら、わたしはここから抜ける」と、宣言する母リー・アン。
弟分のSJを、事故の衝撃から身を挺して守るマイケル。たとえ自分の腕が傷だらけになったとしても。
厳格で古い考えのために、黒人差別を持っているいとこへ、躊躇いなくマイケルと共に写したクリスマスカードを送る家族。
ベットで、マイケルとSJに「花の好きな牛」の絵本を読み聞かせるリー・アン。マイケルを探しに、スラム街に乗り込むことも厭わない、強くて温かい母の姿がそこにあります。
全てのシーンに、愛と信頼、そして固い絆がありました。ほんとうに、観ているだけで幸せが溢れてきます。
わたしが最も好きな場面は、高い身体能力と保護本能があっても闘争心がなく、今一つアメフトに乗り気になれないマイケルに、リー・アンが諭す場面です。
「チームは家族。クオーターバッグはわたしだと思って。あの敵から家族を守るのよ。」
上位2%と言う高い保護本能を持つマイケルは、プレーの意味を理解し、自分の持っている本来の力を発揮します。そうやって、チームを勝利に導き、高校のスター選手に成長をしていくのです。
その後も、彼の道のりは順風満帆ではありませんでした。その度、母であるリー・アンはじめ家族全員が彼を支え、道を拓く手助けをし、マイケルもその思いに応え続けます。
そこから先のお話は、どうぞ映画をご覧になり確かめて下さいね。
最後に、マイケルが詩について書いたレポートの一節を紹介します。
勇気は難しい。誇りが人間を決める。大切なものを守る人には、誇りも勇気もある。詩人は伝えたかったんだ。 「誇りある人を目指して勇気を持て。」
愛と勇気と絆がもたらすサクセスストーリー。「しあわせの隠れ場所」は、身近に隠れている、ささやかで大切な幸せを思い出させてくれます。おうち時間が長くなっている今、是非ともお薦めしたい映画です♪
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