マガジンのカバー画像

野球のこと

82
野球の試合から、感じたことを綴っています。
運営しているクリエイター

#思うこと

連動

繋いだ心の糸の 能動的な 意図持つ連動が 堪らなく愛しい

「わたしの課題ではない」という考え方

「推し」という言葉ができたのはいつごろなのでしょうね。わたしがその言葉に出会ったのはここ数年のことで、世間でいうところの「推し活」とわたしが思う「応援道」は、似ているようで少し違うなぁと思ったのです。 そこから思いがめぐりめぐって、題名にあることを書いてみたくなりました。 応援をしていて陥りがちなのが、心を寄り添わせすぎることです。「推し」の活躍を見たり思いを知ることで、嬉しくなったり力をもらったりしているうちはいいのですが、どうやら苦しくなったり辛くなってしまったりもする

覚悟

「やるしかない」 その言葉に退路はない 休むことも 退くことも 道を降りることもせず ただ ひたすらに ひたむきに 歯を食いしばり 前へ前へと足を運ぶ めざす場所へ 必ず 必ず辿り着く そこに覚悟があるから 「やるしかない」 その言葉に胸が震える

祈る

それにも 意味は在るはず そんな言葉を 君に向かって放てやしない できることなら わたしの持ってる喜びを 少しずつでもすくい取り 集め束ねて届けたい その傷が癒せるものなら

球春を迎えて 2007春

土手の道を突き当たりまでいくと 小さな子どもたちが試合をする  川原の球場にたどり着く その道の果てまで走る野球部員たち 黒の帽子にグラウンドコート 白いユニに包まれた2本の足は  跳ねるような足取り 一瞬その姿が  まるで湿原に舞う鶴のように見えて 不覚にも涙が出そうになった どんなに憧れて どれほど大切に思っていても 踏み込むことの叶わない神聖な領域 子どものころから  野球好きな父とともによく観たプロ野球 王貞治のメモリアルアーチもテレビで観た 高校野球はPL学園

開幕前夜

ユニフォームに背番号をつけるのは 大抵 開幕前夜です いよいよ明日と 高まる想いを 一針ずつ縫い付けていくのです 後ろの襟から9センチ 袖の縫い目まで左右は11センチずつ 慎重に測ってマチ針をうち いつの間にか広くなった その背中に重ねてみてから ようやく針は動き出します 選ぶ糸はいつも透明 始めからそこにあったかのようにして ユニフォームの背中へと 背番号を写していくのです 一針目の願い事 どうか怪我をしませんように 二針目の願い事 精一杯の力が出せますように 透明

そうだ僕は

そうだ僕は あの時も光を見つけた 躓いても立ちあがった 迷っても揺らがなかった 傾いだ時は支えられた 仲間の存在を信じてこれた 心はいつもともにいた そうなんだ僕は どんな時も希望を見よう 足音も高らかに歩んでいこう 迷路も出口を信じて進める 共に歩んだ仲間はいつも 僕の心でひとつと成るんだ だから僕は 僕の足で未来へ進む 繋いだ糸の響きを胸に 目の前に続く僕の道を ずっと先の未来まで

問う

あの山に問う 僕の道は正しかったか 願い届かず道が途絶えるのは 何かが足りなかったからなのか 僕の言葉は正しかったか 思考し伝え束ねたかった 勝利を得るための声の形は 価値を問う 手に入れたかったものが ただ一つのものだとすれば それを僕は掴んでいない 苦しさと悔いを残して 本当に欲しかった歓喜の時を みんなのものにできなかった 山は応える 答えなどない 誇ればいい 自分自身に偽りなく 過ごした時に価値はある 磨いた核の輝きを誇れ その光を標に先へ進め 道は

透明な糸

スタンドは少し高めに席を取る グラウンドの隅々までを見渡して 9人をひとつの視界において 守りの回は祈りの時間 ピンチになればすることがある 9つに広がる1人1人を マウンドから順に視線で繋ぎ 想いの糸を張っていく  白球よ この糸を走り  手から手へと渡っておいで グラウンドに散らばるナインを 1本の糸で繋いだら 最後にマウンドからホームへと 幾重もの糸を張る 見えないけれどそこにある ナインの心を繋ぐ糸を 決して途切れることのないよう 祈りを込めて辿っていく 球

未来に

忘れられない場面がある 十才になったばかりの君が 正義のために流した涙を 正義のために発した怒声を 今も鮮明に覚えている その涙の一滴も 自分のためのものでなく その怒りの一片も 自分のためのものじゃない 鈍りかけた大人の魂を 揺さぶり目覚ませた その場面を その瞬間を その感情を 握りしめた拳と 震える唇と 赤く染まった瞳とともに 今もこの胸が覚えている 清廉なる魂よ 高く羽ばたけ 自らの道を真っすぐに歩め 数多の球児の未来とともに 君の未来に夢を見る 忘れ

例えば勝利が球体だとすれば

たとえば  勝利が球体だとすれば ほどほど高いところに浮いていて 運動会でおなじみの 大玉ほどのサイズがあります 一人ずつ代わる代わるに 跳びついてみても 弾かれるばかりで一向に 掴めるものではないようです ですから 日々の研鑽で磨いた技と 通わせ続けた思いの業とが  積もりに積もり 叩き上げた堅固な土台の上に立ち みんなの想いがいっせーのーでと 整う時がそのときです 球体は時折表面が程よく湿り 手のひらにしっかりとした 手応えを残す時もあれば 石鹸水を塗ったかのように