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尾瀬のミニ観察~第4回~

前回は、「エゾリンドウ」を紹介しましたが、今回は「リュウキンカ」についてご紹介します。

(4)「リュウキンカ」

 この花には人間には見えない模様がある。
 花は直径3cm前後。花びらは、私たちには金一色に輝いてみえる。しかし、紫外線だけを通すフィルターをかけて撮影すると、下の写真のように、花の中心部は紫外線を反射せず黒く写る。紫外線を色として識別できる昆虫は、この模様で餌のある花の中心部を知り、効率よく餌が食べられるのだ。尾瀬で実物とこの写真とを比べて見よう。花は人間のためでなく昆虫のために咲いているのだ、と実感できるはずだ。 

筆者紹介
田中 肇(たなか はじめ)
フラワーエコロジスト
専門は花生態学
著書は「花と昆虫がつくる自然」(保育社 尾瀬の花の生態を多く取上げた)、「花の顔」(山と渓谷社)ほか多数

(2009年3月発行「はるかな尾瀬」より抜粋)

次回は、「ニッコウキスゲ」についてご紹介します!