公益財団法人尾瀬保護財団

公益財団法人尾瀬保護財団は、尾瀬国立公園をフィールドとして「尾瀬での体験と感動を、自然…

公益財団法人尾瀬保護財団

公益財団法人尾瀬保護財団は、尾瀬国立公園をフィールドとして「尾瀬での体験と感動を、自然を守る力に変える」をミッションに掲げ、様々な活動を展開しています。 公式サイト:https://www.oze-fnd.or.jp/

マガジン

  • 尾瀬のミニ観察 ~全31回~

    尾瀬の植物の特徴や不思議について、全31回にわたってお届けします。 毎週更新しますので、尾瀬や自然、植物にご興味がおありの方は、是非ご購読下さい!

  • 尾瀬の四季・ルート紹介

    尾瀬保護財団事務局職員が尾瀬を歩いた様子を紹介しています。尾瀬の四季や各ルートの様子をご覧ください。

最近の記事

尾瀬のミニ観察~第11回~

 前回は、「ツルニンジン」を紹介しましたが、今回は「花びらって何?」についてご紹介します。 (11)「花びらって何?」 今回はちょっと安心する話題です。 「ニリンソウの白い花びらは」などと説明しているとき「白いのは花びらではなく萼片だ」と訂正された経験はありませんか。花びら=花弁 と思い込まれていますが「花びら」とは、花の目立つ部分をさし示す一般に使われる言葉です。植物学的に定義された学術用語ではないので、文部省の「学術用語集」には載っていません。  ですから、ゴマナの舌

    • 尾瀬のミニ観察~第10回~

      前回は、「タテヤマリンドウ」を紹介しましたが、今回は「ツルニンジン」についてご紹介します。 (10)「ツルニンジン」 (花期:8月~9月)  花の色は鮮やかなものだけとは限らず、スズメバチやハエの仲間に好まれる花は、地味な緑色や褐色だ。  ツルニンジンの花は直径3cmもあるのに下向きに咲き緑色で目立たない。花の中をのぞくと、底には青紫色の星形のマークがあり、星のとがった先端に蜜が光っている。私は訪れたクロスズメバチの一種をみた。背は花粉で白くなり、花の中心に立つ雌しべに触

      • 尾瀬のミニ観察~第9回~

        前回は、「ワタスゲ」を紹介しましたが、今回は「タテヤマリンドウ」についてご紹介します。 (9)「タテヤマリンドウ」 (果実:6月~7月)  尾瀬ヶ原が最も美しいのは雨の日だ。そして植物たちは晴れた日とは違う振る舞いを見せてくれる。  雨の日、花は閉じているが、それとは反対に実が開く。淡黄色で楕円形の唇を大きく開いて雨粒を待つ。唇の中にたまった雨水の底には、胡麻のようなタネが沈んでいる。この唇の中に大きな雨粒が落ちると、タネは水と共に遠くに弾き飛ばされるのだ。と、書いたが私

        • 尾瀬のミニ観察~第8回~

          前回は、「ザゼンソウ」を紹介しましたが、今回は「ワタスゲ」についてご紹介します。 (8)「ワタスゲ」 (花期:5~6月)  ワタスゲの花の穂はツクシのような姿で枯れ草の中に立つ。それは、真っ白なわた毛と対照的な黒い鱗片につつまれていて目立たない。  ワタスゲは風媒花なのに花どきには背が低い。そのため早く開花しないと、周囲の草に囲まれて風をさえぎられ、花粉を遠くまで飛ばせなくなる。そこで鱗片を黒くし、日光を吸収して穂を暖めていると考えられる。こうして、暖まった穂は生理活性が

        尾瀬のミニ観察~第11回~

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        • 尾瀬のミニ観察 ~全31回~
          7本
        • 尾瀬の四季・ルート紹介
          13本

        記事

          尾瀬のミニ観察~第7回~

           前回は、「ウメバチソウ」を紹介しましたが、今回は「ザゼンソウ」についてご紹介します。 (7)「ザゼンソウ」 (花期:5月上旬~6月上旬)  ザゼンソウは、案内していただかないと発見できない地味な植物だが、ユニークな花の姿に人気がある。紫褐色の苞がまだとんがり帽子形でわずかに隙間ができたとき、中では雌しべが花粉を待つ状態になっている。気温が0度に近いときでも、その苞の中は、10度以上に保たれている。この温かさと、臭いでハエの仲間を誘い花粉を運ばせるのだという。たぶん晴れた

          尾瀬のミニ観察~第7回~

          尾瀬のミニ観察~第6回~

           前回は、「ニッコウキスゲ」を紹介しましたが、今回は「ウメバチソウ」についてご紹介します。 (6)「ウメバチソウ」  秋、星のように点々と咲く白い花。その5枚の花弁に囲まれて、黄色く小さい粒々がいくつも光っている。「おー蜜がこんなに」と思って触れても、粘らないし取れることもない。これは蜜に見せかけた偽物なのだ。この粒々を支える細い柄は、緑色の手のひら状のところに集まっている。ルーペで見ると、その手のひらに透明な液が盛り上がっている。それが本当の蜜なのだ。  花は粒々で昆虫

          尾瀬のミニ観察~第6回~

          尾瀬のミニ観察~第5回~

           前回は、「リュウキンカ」を紹介しましたが、今回は「ニッコウキスゲ」についてご紹介します。 (5)「ニッコウキスゲ」 (花期:7月上旬~8月上旬)  尾瀬を黄色く染めるニッコウキスゲ。  この花には蜜や花粉を求めてセセリチョウ、マルハナバチ、ハナアブなど様々な昆虫が来る。しかし、それら昆虫は花に比して小さすぎ、雌しべの先にはほとんど触れない。蜜を吸うとき雌しべの先にも触れて、花粉を媒介するのはアゲハチョウの仲間だけ。蜜を吸いながら羽をはたはたと動かして雄しべに触れ、羽につ

          尾瀬のミニ観察~第5回~

          尾瀬のミニ観察~第4回~

          前回は、「エゾリンドウ」を紹介しましたが、今回は「リュウキンカ」についてご紹介します。 (4)「リュウキンカ」  この花には人間には見えない模様がある。  花は直径3cm前後。花びらは、私たちには金一色に輝いてみえる。しかし、紫外線だけを通すフィルターをかけて撮影すると、下の写真のように、花の中心部は紫外線を反射せず黒く写る。紫外線を色として識別できる昆虫は、この模様で餌のある花の中心部を知り、効率よく餌が食べられるのだ。尾瀬で実物とこの写真とを比べて見よう。花は人間のた

          尾瀬のミニ観察~第4回~

          尾瀬のミニ観察~第3回~

           前回は、「キンコウカ」を紹介しましたが、今回は「エゾリンドウ」についてご紹介します。 (3)「エゾリンドウ」  花は閉じていることが多く、昆虫が来るのか心配になるが、それには理由がある。  山の天候は変わりやすく、うっかり咲いていると、にわか雨が花に入り、花粉を水浸しにして生殖能力を奪われてしまう。花はそれを防ぐためちょっと曇ると閉じるが、頭のいいマルハナバチに受粉を任せているので安心だ。マルハナバチは花びらをこじ開けて入り、蜜を吸う。 そして「こんにちは」と出てきたと

          尾瀬のミニ観察~第3回~

          尾瀬のミニ観察~第2回~

          前回は、「サワギキョウ」を紹介しましたが、今回は「キンコウカ」についてご紹介します。 (2)「キンコウカ」  昆虫をちょっとだます花だ。  この花には蜜がなく、花粉を運ぶマルハナバチやハナアブへの報酬は花粉だけ。花粉は昆虫にとって蛋白質に富んだ貴重な食品だが、蜜とは違ってその再生産はできない。花は花粉がなくなっても昆虫には来てもらいたいので、雄しべに花粉のような肌触りの、金色の細かい毛を沢山生やして「花粉がまだあるよ」と昆虫をだます。この花に出会ったら虫メガネで、昆虫を誘

          尾瀬のミニ観察~第2回~

          尾瀬のミニ観察~第1回~

           これから31回にわたり、「尾瀬のミニ観察」ということで、尾瀬に生育する植物の特徴や不思議についてのショートコラムをお届けします。第1回は「サワギキョウ」をご紹介します。毎週更新しますので、是非ご購読ください。 (1)「サワギキョウ」  紫色が美しいサワギキョウの花に触れてみよう。  花びらは手の指のように5つに裂けて、マルハナバチが来るのを待っている。花びらの上に弓のように伸びているのが、雄しべだ。穂の上の方に咲いている花の、雄しべの先を指で3秒ほどそっと触れていると、

          尾瀬のミニ観察~第1回~

          2022.10.4 紅葉の尾瀬ヶ原

          2022年10月4日(火)天気:晴れのち曇り 最新の情報は、尾瀬保護財団HPからご確認ください。 ● 紅葉の見頃は年によって異なります。湿原の紅葉(草紅葉)は例年9月中旬~下旬が見頃で、木々の紅葉は例年10月上旬~中旬が見頃です。 ● 日差しがあったり歩いているとまだまだ暑さを感じる一方で、休憩中などは風があると肌寒さも感じます。体温調節のできる格好がお勧めです。 1.山ノ鼻~牛首2.牛首~見晴最新の情報は、尾瀬保護財団HPからご確認ください。 最後までご覧いただきありが

          2022.10.4 紅葉の尾瀬ヶ原

          2022.10.3 紅葉の尾瀬沼一周

          2022年10月3日(月) 天気:晴れ時々曇り 最新の情報は、尾瀬保護財団HPからご確認ください。 紅葉の尾瀬沼を一周しました。 尾瀬沼北岸は、比較的なだらかで湿原と森が交差する湖畔の道。位置関係から燧ヶ岳は望めませんが、尾瀬沼の湖畔を歩くことができます。 尾瀬沼南岸は、斜面を横切るようなルートで湖畔の森が続く道。尾瀬沼や所々で燧ヶ岳を望みながら歩くことができます。 どちらかというと、尾瀬沼南岸の方が歩きごたえがあるルートになっています。 1.一ノ瀬~尾瀬沼ビジターセンタ

          2022.10.3 紅葉の尾瀬沼一周

          【県・登山口別】尾瀬へのアクセス-ふくしま尾瀬編-

           尾瀬国立公園には、福島県檜枝岐村、福島県南会津町、群馬県片品村、新潟県魚沼市からアクセスするルートがあります。  本ページでは、福島県檜枝岐村、福島県南会津町からのアクセスについてご紹介します。   福島県側には以下8つの入山口があり、尾瀬の各方面にアクセスすることができます。 1.御池 燧ヶ岳や尾瀬沼、尾瀬ヶ原、会津駒ヶ岳(大杉岳経由)への入山口で御池ロッジや御池休憩所、公衆トイレが整備されています。  国道352号線沿いには「御池古道」があり、ブナの原生林内を散策す

          【県・登山口別】尾瀬へのアクセス-ふくしま尾瀬編-

          2022.8.12 会津駒ヶ岳

          2022年8月12日(金)天気:曇り 尾瀬国立公園・会津駒ヶ岳に滝沢登山口から登りました。 滝沢登山口から会津駒ヶ岳のコースタイムは、片道約4時間です。 ● 会津駒ヶ岳の見どころは、何と言っても「稜線に広がる湿原」。四季折々様々な高山植物が楽しめます。 ● 会津駒ヶ岳は、夏山開きが毎年7月の第1土曜日に行われます。 ●山の天気は変わりやすいので早出早着で行動しましょう。 ●大津岐峠やキリンテ登山口、御池方面は人通りの少ないルートです。 1.滝沢登山口から駒の大池2.駒の大

          2022.8.11 田代山

          2022年8月11日(木)天気:曇り 尾瀬国立公園・田代山に南会津町・猿倉登山口から登りました。 猿倉登山口から田代山山頂のコースタイムは、片道約2時間です。 ● 田代山の見どころは、何と言っても「広大な山頂湿原」。四季折々様々な高山植物が楽しめます。 ● 田代山の山開きは、毎年6月の第2日曜日です。 1.猿倉登山口2.田代山山頂尾瀬リピーターの方でも田代山に行ったことがある方は少ないのではないでしょうか。 田代山も尾瀬国立公園の仲間、ぜひ一度訪れてみてください。 最新