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『竜になれ、馬になれ』文庫本が発売

8月9日に発売になりました!
『竜になれ、馬になれ』の文庫本です。

単行本と同じく植田たてりさんのイラストを、デザインをアルビレオさんに手掛けていただきました。
帯の推薦文は、中学受験カウンセラーである安浪京子先生に素晴らしいお言葉をいただきました。

『竜になれ、馬になれ』光文社文庫

単行本当初は児童向けには考えずに執筆したのだけれど、出版後に中学受験の入試問題や模試に使っていただくことが多く、またその影響なのか、主人公ハルと同じ小学六年くらいの子供たちから感想をいただいた。

拙著では初めてテスト問題に使ってもらえたもので、これをきっかけに『たこせんと蜻蛉玉』や『きみの鐘が鳴る』でも多く問題は課題図書として取り上げていただけるようになったように思う。
帯にあります大手進学塾SAPIXはじめ、いくつかの塾で使っていただき、それをきっかけに子供たちが本を買ってくれるなんて、こんなに嬉しいことはない。

このスマホ時代において、比較的読書週間のあるわたしですら、サブスクの動画配信に時間を割いていて、読書が減っている。
読書が日常的な行為でなくなりつつある中で、子供向けの本や児童書はまだまだ元気があるようです。
親というは自分は読まなくても、子供には読ませたいと思うのでしょう。よくわかります、笑

わたしも子供たちにどうすれば本を好きになってもらえるか(フィクション嫌いの次男に手こずってます)、読書の楽しさをいかに持ち続けさせられるか(物語大好きの長男は読書から離れてアニメと漫画に完全移行)、わたしも試行錯誤しているから。

本というのは、あらゆる娯楽の中でも能動的な行為であるから面倒な部分がありますが、だからこそ自分にとって自由度が高いもの。
なので、自分以外の誰か(著者)が表したものでありながら、脳内で自分オリジナルにアレンジすることができる。
よく、本は読者の手に渡れば、その物語は読者のもの、と言われるのはそれゆえでしょう。
そう考えると、めちゃくちゃお得な娯楽だと思いませんか。

『花束みたいな恋をした』という映画の中で、恋人である男女が一つのポータブルでイヤホンを右と左、一つずつ分け合って聴いていたところ(同じくものを聴いているね♡という甘いシーン)、近くにいた自称音楽プロデューサーという男に、右と左で合わさって一つの音楽として完成するのだから、イヤホンは右と左で分けたら違う音楽なの!といったことを言われて説教されるという場面があって、わたしはすごく好きなんだけど、小説なんてもっとそう。
同じものを読んでも、お互いに脳内に構築している世界はまったく違うはず。
もちろん映像でもそういう側面はあるけど、すでに視覚、聴覚で提供されているから、自分のオーダーメイド度は低くなる。

一冊の物語を友人や恋人や家族とシェアして感想を言い合うことは、お互いの脳内世界や感受性、アンテナの張っているポイントなど、普段はなかなか分かり得ないことを伝え合うことでもあるのかもしれない。

そして、どんなに大好きな人とシェアしても、自分が読んだ小説の世界は「自分だけ」のものだ。
それが読書の醍醐味のように思う。

そんなわけで、ぜひ『竜になれ、馬になれ』もお手に取っていただけると嬉しいです。

後ろの紹介文はこんな感じ
『あとがき』を書くの、けっこう好き



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