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漫画背景素材作成の観点から見た3Dソフト『Fusion360』のおすすめポイント

こんにちは。オザイです。
今回は3Dメイキング記事を書こう~と思ったんですが、まず全体向けに私が使ってるソフトについて書いておく必要があるかなと思ったので書きました。
3Dモデリングに興味のある方は読んでってください。

一応私は8年間CADオペレーターとして働いた経験があり、3DCADにおける国内でほぼ唯一の資格である[3次元CAD利用技術者1級]を保持しておりますのでそれなりに情報としては信憑性があるかと思います。

Fusion360て何

Fusion360は天下のAutodesk社様が提供するミッドレンジ3DCADソフトです。

ミッドレンジというのは「3DCADのなかではまあまあ高機能」という意味です。
ハイエンド(めっちゃすごい)>ミッドレンジ(まあまあイイネ)>ローエンド(趣味ならいいかも)
の3つにランク分けされます。

Fusion360は主に家電製品や電子通信機器の業界で使われているりっぱなソフトなのですが、個人利用あるいはスタートアップ企業の要件を満たせば無料で使うことができ(※)、PCのスペックも3DCADの中ではそれほど要求されないので、個人で趣味として使っている方もわりといるみたいです。


以前は無料ですべての機能が使うことができたのですが、2020年に無料版は一部制限ができたり無料で使える条件が厳しくなったりしたので、今後も無料で使い続けられるかどうかは分かりません。(すべてはAutodesk様のご意思によるので)
ただ、おそらく[3Dの間口を広げて顧客を増やす]という意図があると思うので、全く無料で使えなくなることは向こう10年くらいはないんじゃないか…と個人的に予想しています。
年間ライセンスは6万円で、趣味として使うには高価ですが3Dソフトとしては安価なほうです。ただここも今後値上げされる可能性はありますね。

できること

・パラメトリック(後述します)+ヒストリーモデリング
→いちおうダイレクトモデリング・ノンヒストリーモデリングもできます。
・STL、OBJ、STEP、FBXなど基本的な拡張子での書き出し
→漫画での用途なら、クリスタで読めるOBJかFBXで書き出せればOKです。
・高機能レンダーによる直感的なレンダリング
→細かな設定をしなくても簡単にハイクオリティなCGを撮ることができます。

必要・推奨スペック

必須:64bitであること
推奨:
・CPUが8GB以上(4GBでもいけんこともない)
・グラボがNAVIDVかADVの4GB以上(インテルでもいけんこともない)

CPUとかグラボとか言われてもわかんないよー!!という方はとりあえず10万円以上のゲーミングPC買っとけば快適に動くかと思います。
ノートPCでも一応動くらしいですがどうだろ…私はあまり推奨しません。
ちなみに私はこれを使ってます。

Blenderとの違い

3Dに少し興味のある方なら他の3DソフトとしてBlenderは聞いたことがあるかな?と思います。
漫画向け3D素材クリエイターの方もBlenderをメインで使ってるという方結構多いんじゃないかな?
BlenderとFusion360の違いについて解説していきます。

Blenderて何

Blenderは完全無料の3Dフリーソフトです。
無料なんですが高機能で、ハイクオリティな3Dアニメーションを作れたり、細かい物理演算を指定してかなりリアルなCGを作れたりと、使い方次第でなんでも出来るらしいです。

ただその「なんでも出来る」が故にUIが結構難解で、直感的な操作には向いてなくて、使いこなすには積極的に習得する姿勢が必要です。

私はこのサイトで基本的な使い方は学習しましたが、メインのモデリングは前述のFusion360で行っています。

動画ソフトでいえば、AviUtlに雰囲気が似てるかな…と思います。あれも高機能フリーソフトで使い方次第でなんでも出来るけど、その分結構勉強しないと逆に何もできないという感じなので…

パラメトリックモデリングとダイレクトモデリング

Fusion360とBlender、色々と違いはあるのですが、最も大きな違いはここかと思います。

かんたんに言うと、
パラメトリックモデリングとは、寸法を細かく指定して、図面を書くように作っていくモデリング方法。

ダイレクトモデリングとは、粘土をひっぱったり押したり切ったりするようにしながら形状を近づけていっていくようなモデリング方法です。

こう書くとダイレクトモデリングのほうが初心者向けに聞こえますね。
Fusion360はやはり家電製品などの設計に使われるソフトなのでミリ単位での厳密な指定ができるのが良いところなのですが、漫画素材作成ではそこまでの厳密性が必要になる場面は少ないかも?
あと、私はもともと製図の仕事をしていたのでパラメトリックモデリングのほうが入りやすかったというのは大きいかもしれません。

実際Blenderはオタク的用途の使用人口がかなり多くて、そのぶんネットにリファレンスもたくさんあるので、そっちから入るのも全然良いと思います。あとBlenderは動作も軽いのでFusion360ほどスペック要求されないし。
ただ私はメインで使ってないのでお役に立てませんが…。
あと、製図って楽しいので、パラメトリックモデリングも習得できるととっても楽しいよ!

作れるもの、作り辛いもの

Fusion360で「作れないもの」というのは多分ほぼないのですが、モデリング方法の性質上、Blenderの方が作りやすいような場面はあります。

いちおうFusion360にもスカルプトというダイレクトモデリングにあたる機能があって、素晴らしい機能なんですが、これがまたけっこう制御が難しくて、
物理的に不可能な形状を作った場合、書き出しすることができません。

Blenderはどんな形状でも許してくれるのでそこは良いですね。


まとめ

まとめるとこんな感じです。

布や人物・動物のような有機的形状はBlenderのほうがおすすめですね。
でも机や椅子のような、直線的で硬いもの(?)はFusion360のほうが圧倒的に作りやすいと感じます。
自分が何を作りたいかで、検討してみるといいかと思います。

以上私が知る範囲についてお話しました。
次はこの前作ったトルソーのメイキング記事を書こうかな。
お付き合いいただきありがとうございました。


オザイ(3D屋さん)

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