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一流アスリートの涙【エッセイ】

阿部詩選手の涙を見て思ったこと。

「世界の舞台で戦う一流アスリートにしか流せない悔し涙、会場の詩コールの暖かさ、すごい!これがオリンピックか!」
素直にこれに尽きました。
試合後、おにぎりをほおばる詩選手をとらえた写真をXで見かけて、親のような気持ちでホッとしていました。

ただ、一晩明けて実家の家族LINEグループでは母と妹が
「あれはアカンわ〜勝った子が可哀想や〜」
「あなたは最後まで頑張って!の方が好感度良いのに。」
と水を差していました。
別に私から振った話でも無いので、何を言ってもいいんだけれど。
これについては返事もしていません。

教育現場で仕事をしていた時のこと。
新卒のペーペーでバレー部の副顧問を任されました。
その時のメインの顧問は県大会常連チームを作ったことのあるベテランの先生。
バレー経験もあって背が高く、体育の先生だったのでとても厳格。
プレーの質が悪いと雷を落とすタイプでしたが
「はちみ先生は優しいからあの子らのフォローしたってくださいね。」と私に役割をくださったり
合宿の差し入れの買い出しの際には「あいつら、どっちのスイーツの方が好きやと思います?ん〜どっちも買いましょか!」と袋いっぱいにプリンやらシュークリームやらを買ってニコニコしているのが印象的でした。
教員のイロハはその先生から教わりました。

その先生は全国大会も何度も経験してきているので、「一流にしか分からない高み」を部員に説いていました。
最も印象的だったのは
「決勝戦で負けた2位が流す涙と、3位決定戦で負けた4位が流す涙の重みは全く違う。2位が流すのは世界一悔しい涙。その違いが分かるようになるまで、みんな練習をしなければならない。」
積み重ねてきたもの、プレッシャー、それを乗り越えて高みに登った限られた人にしか見られない景色。
それを見せてあげたいと熱を入れる先生を見て、とても尊敬しました。
あ~私が言うとなんと安っぽいことか!笑

さて、話を戻しまして…
ヤフーニュースの中の朝日新聞デジタルの記事に阿部選手を破り、金メダルに輝いたウズベキスタンのディヨラ・ケルディヨロワ選手の記者会見の模様が載っていました。

「彼女はレジェンドで、完璧なチャンピオンです。私は試合がすべて終わるまで表情を変えたくなかったし、彼女をとても尊敬しているから、喜びたくなかったのです」

朝日新聞デジタル

詩選手との試合後、表情を引き締めたままの彼女の「礼」の姿勢がとても印象的でした。
海を渡り、柔道の、日本の「礼」の精神が広がっていることにも日本人として感動しました。
フランスは日本以上に柔道大国らしいですね!

それを踏まえたうえで、やはり今回の詩選手の涙については外野がとやかく言うことはナンセンスですし
同じ高みを見た人にしか彼女の悔しさは分からないのではないでしょうか。
詩選手に対して今も批判的なコメントが寄せられているのは心が痛いです。
今後の活躍、応援しています。

阿部一二三選手も大きなプレッシャーの中、金メダルおめでとうございました!
まだまだオリンピックは続きますが、なにせ夜なので体に無理のない範囲で楽しみたいですね。

ではまた次の機会に。

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