夫の実家リビングで昼寝する嫁

私がこれだ。
もうかれこれ8年やっている。

旦那の実家には、２ヶ月に１度くらい泊まりに行っている。約１時間半の距離なのだけど、孫との時間をなるべく作ってあげたいし、旦那は両親をとても大事にしているし、私も夫もお義母さんの作る手料理が食べたい。

義理ではなくて、会いにいきたい理由がある。

一人目を出産後私はいつもとても疲れていて、泊まりに行かせてもらうと「眠いだろうから、隣りの部屋で寝ておいで」と到着するなりお義母さんに言われてきた。
さすがにそれは申し訳ない、と思って子どもの話などしているうちに本当に眠くなって、気がつくとリビングのソファで寝てしまう。ハッと起きるといつも私に布がかけられていて、夕ご飯の美味しい匂いが漂っている。

私はその時、子どもに戻ったかのような安心感でいつもいっぱいになるのだ。
眠くなったら横になり、目が覚めるとお母さんがご飯を作ってくれている。
優しい出汁の香りや揚げ物の音が、途切れることなく優しく続くのを聴いている。
そんなことは、大人になったらもうできないと思っていた。

最初は、〈こんな嫁で大丈夫かな〉と心配もしたのだけど。
ある時私は自分の母に、この話をしてみた。すると私の母はこう言った。

「大丈夫。いつも手伝わないでごめんなさい。リビングで寝てしまってごめんなさい。こんな嫁ですみませんって正直に言ったらいい。」

思ってもみない答えが返ってきてびっくりしたけどそうしてみよう、と思った。

それからというもの、リビングで寝る嫁は毎回「 こんな嫁でごめんなさい 」と謝って帰るようになった。その時、お義母さんは、なぜかすごく可愛らしい顔で笑ってくれる。だから、産後ではおそらくなくなった今でも、私はついリビングで寝てしまうのだ。

いつか、息子がお嫁さんを連れてきたら私も、お嫁さんに「ゆっくり寝ておいで」と言おう。そして、「いつも子育て頑張っているね」ってそっと布をかけてあげるのだ。

おわり