私にとって「快適で安定した姿勢」は何だろう
「体重がなかなか減らないから、ヨガで無理なくダイエットしたいな」
筋トレが苦手で、でもどうにか身体を絞りたいと、何ともわがままな理由でヨガスタジオの門を叩きました。今から8年ほど前のことです。
「このポーズを取ると胸が広がるので心肺機能を高めますよ」「肩こりの軽減になりますよ」「血流が良くなって痩せやすくなりますよ」などなど、インストラクションしていただく度に「こんなにゆっくりとした動作なのに良いことづくめだな~!」と激しい運動が苦手な私にとってヨガはまさにダイエットの救世主!得した気分で身体を動かしていました。
ヨガには「ヨーガスートラ」と呼ばれる哲学書が存在しています。この哲学書はヨガをやる時の心がまえや、日常生活で気をつけること、ヨガを実践して得られる効果などが2500年前に書かれたとは思えないほど、具体的に記されたものです。本書をはじめて読み、寝ているところを大声で起こされたような、大きな衝撃がありました。
ヨガの一つひとつのポーズはダイエット目的で作られたものだと思っていましたが哲学書にはポーズ(アーサナ)は「快適で安定した姿勢」のことを指すそうです。筋トレのように運動は負荷を加えてなんぼだと思っていたので、ヨガは単なるエクササイズではないらしいと悟りました。
スタジオでレッスンをすると、おおむね15~20人ほどの生徒さんと受けることになります。正面は大きな鏡があるので、どうしても自分と他の皆さんを比較して、「もっと正しくアーサナを取れるようになりたい」と無理をしがちでした。向上心は大切ですが、今の自分に適していない動作をするのはアーサナ本来の意味から離れてしまうので、以前に比べてずいぶんと自分の身体に気を配るようになりました。
一方で快適さを追求しすぎるあまり、楽なレッスンばかり受けてしまうのです。「人間やっぱり楽したい生き物なんだな・・・」自分の不甲斐なさを隠すために、他人事のような独り言をつぶやいて心の安定をはかっていますが、「快適で安定した姿勢」とは実践すればするほど奥行きのある言葉だと思っています。楽すぎてもダメだし、痛みが出るほど辛いのもダメ、ちょうど良い塩梅を探すのはすなわち、自分のしょうもない見栄やプライドと折り合いをつけていくことなのでしょう。一朝一夕にはできますまい。
そういえば今日6月21日は「国際ヨガの日」でした。すっかり忘れておりました。「人種、宗教、身体の状態などに関わらず、人類みんなでヨガは楽しめるからぜひやりましょう」インドのモディ首相がそんな風に提案してくれた日だと、勝手に理解しています。アーサナが自分にとって「快適で安定した姿勢」と表現していることからも、ヨガは人類みんなに開かれた健康法と言って間違いないと思います。身体の不自由な方も、肉体・精神面の病気を抱えている方も、老いも若きも、みんなが実践できるように様々なアーサナがあります。
ヨガが一過性のブームにとどまらず、みんなで楽しめるものとして根ざしていくことを願い、思い描いています。文章を通じて皆さんとも交流していきたいです。次の記事でもどうぞよろしくお願いいたします。