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騙される事への悩みと葛藤

一人暮らしをはじめ、数ヶ月が経ち生活も落ち着き、人並みに生計を立てることにやり甲斐生き甲斐を感じていました。

こんな俺でも、自分の力で生活が出来ている。と、自信がつき、仕事も一生懸命に取り組んでいました。

仕事の社長からも「いずれ親方にしていくから金をしっかり貯めておけ。」と、認められた気がして仕事にプライドを持つようにもなっていきました。

そんな中、1人の女性と付き合うようになります。
母親が共同経営で働いていた人の娘で、幼い頃から知っている女性でした。
僕の5つ年上で、子供が2人いるシングルマザーでした。
僕にとっての、初恋でもある人で付き合うまでに、時間はかかりませんでした。

結婚も視野に入れ、より仕事にも精を出して頑張っていました。
彼女だけでなく、その子供たちにも必要とされている。
それがすごく嬉しく励みになっていた。

「お金」ではなく、「心」で繋がれることに幸せを感じていたと思います。

ですが、付き合う中で違和感を覚えていくようになります。

僕はまだその頃は生真面目な所もあり、信頼できると感じたら疑うことをしないようになっていました。

僕は、自分の銀行の通帳とカードを彼女に渡し、任せていました。

僕も、家族を優先にし月5千円の小遣いと決め、生活やこれからの未来に向けてお金を貯めることに生きがいを感じていました。
前向きな日々を過ごしていたと思います。

違和感を感じるようになったのは、やたら夜になると『実家に行ってくる』と言って、子供は僕に預けて出て行くようなことがあり、帰りも朝方か、そのまま実家で寝て帰ってくるようになりました。

生活の中でも、なぜか彼女はそわそわしたり、
苛立っていたりと落ち付きがなくなっていました。
どうしたのか聞いても、『大丈夫、何もないよ』と言われ、それ以上話しをするのは、やめていました。

また、お金も貯めて行ってるのにも関わらず、ご飯が質素になっていってるのも、違和感を感じるようになりました。

付き合い、同棲して一年ほど経ったころに突如、彼女と子供の行方が分からなくなりました。

いつも通りに、仕事から帰るとやけに静かな部屋に不安を感じました。
彼女と子供の荷物だけがなくなっており、すぐに出て行ったのだと愕然としました。

すぐに、彼女の実家にも連絡しましたが、「本人の居場所も分からないし連絡も付かない」と言われ、ただただアテもなく探し回っていました。

そして、ふと「俺の通帳は、どうなったんだろう」と思い出し、部屋中を探しても見つからないため一度、紛失届を出して再発行しました。

その時の残高を知り、またもや愕然とし「やられた!」という思いだけでした。
必死に16から働き、親方になるため、そして家族になるために働いて貯めたお金、約300万近いお金が一銭も残らず消えてしまいました。

あとから、彼女の所在を知り真相を聞いたら、ただホストにハマっていたという、なんともやりきれない気持ちになったのを覚えています。

そして、僕自身も何かの糸が切れたように『もう二度と人を信じてたまるか。
騙されるくらいなら、こっちから騙してやる。』
という、悪循環な思考が芽生え、更に荒れた性格になっていきます。

世の中は、騙し騙され、騙した方が勝ちなんだと、自己の良心を捨てた瞬間でもありました。

まだ、心の弱かった僕はそうして荒れることで心の均衡を保っていたんだと思います。

ちょうど20歳になるくらいの頃だったと思います。
仕事の方でも、経営が傾き始め親方にする話が先延ばしになり、口論にも何度かなりました。

独立させることより、従業員のままでいさせてピンハネをすることを選んだ親方にも、不信感を抱き、溜まりに溜まった全ての鬱憤を吐き出すように、親方と喧嘩をし仕事を辞めました。

嫌なことが続き、僕自身何かに縋る思いもあったと思います。
その頃に背中一面に鳳凰の入れ墨を入れました。
いつか、こんな僕でも幸せが訪れ、羽ばたける日が来ますようにと。

更に荒れ、人を憎むことしか出来ずにいました。
そして、心の奥に閉まっていた『金と暴力』が顔を出し、取り憑かれたように自分の人生を壊して行くようになります。

他人を騙し、傷つけることにも何の感情も湧かなくなりました。

母親もその頃、別れた父と連絡を内緒で取っており、僕たちに内緒で養育費をもらっていたと聞き、僕はもう親すらも信じれなくなっていました。

もう二度と連絡しないと、父からの養育費も受け取らず、僕と母でしっかり働いて生きていこうと約束をしたにも拘らず、母は連絡を取り続けていたことに嫌悪感しかありませんでした。

父にも連絡し、二度と俺の親だと語るなと一方的に話した覚えがあります。

本当に何もかもが信じれなくなり、僕は荒れた生活に陥って行くようになります。

次回は、「荒れた生活から犯罪へ」として、
犯罪へ走っていく過程をお話ししていきたいと思います。

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