小説「光の物語」第51話 〜胎動10〜
大広間の夜会でアルメリーアは社交をこなしていた。
ディアルは急な来客とかで少し遅れている。
夫がいてくれなければ美しく装ったかいもないが、物足りなさを隠して出席者たちの挨拶を受けていた。
行き交う人々を眺めながらも昨日見た光景が頭を離れない。
内気な伯爵令嬢ナターリエが、砲兵隊長の従者と恋仲に・・・。
身分違いの関係など彼女の両親はまず認めまい。
せめて彼が誠実な人物ならよいのだが・・・。
「妃殿下」
いつの間にかそばに来ていたマティアスが会釈する。
「相変わらずお美しい