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光の物語

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中近世ヨーロッパの架空の国が舞台。隣国リーヴェニアから嫁いできた王女・アルメリーアと、王子ディアルの物語。政略結婚の相手として出会った二人は、互いの立場を自覚しつつも芽生えた恋を…
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2022年4月の記事一覧

小説「光の物語」第39話 〜新年5〜

「よい演説だったぞ、ディアル」 御前会議ののち、国王グスタフは息子をねぎらう。 「準備が整…

おやつ庵
2年前

小説「光の物語」第40話 〜新年6〜

「ナターリエ、何をしているの!あなたという人はほんとうに・・・」 サロンへ移動しながら娘…

おやつ庵
2年前

小説「光の物語」第41話 〜新年7〜

「それで、ナターリエ嬢は少しは打ち解けたのかい?」ディアルは尋ねた。 「ええ。本のお話を…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第42話 〜胎動1〜

厳しい寒さは緩み、春の気配を感じる季節になった。 王都を往来する人々も増え、あらゆる活動…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第43話 〜胎動2〜

「なんだか気もそぞろだな」 執務室のディアルをマティアスがからかう。 ディアルは先ほどから…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第44話 〜胎動3〜

砲兵隊の視察を終えたディアルは、マティアスや砲兵隊長のノイラート、その従者のゲオルグとと…

おやつ庵
2年前

小説「光の物語」第45話 〜胎動4〜

「今日のきみは一段ときれいだ」 自室へと歩きながら、ディアルは公務のために盛装した妻を優しく見つめる。 夫からの賛辞にアルメリーアは微笑み、彼の頬に唇を寄せた。 「クリスティーネ様、ほら、妃殿下がお帰りですわ」 その声が二人の耳に入り、キスの動きは途中で止まる。 廊下の片隅には貴族の令嬢達がたむろし、行儀見習いの少女クリスティーネを気遣わしげに取り囲んでいた。 当のクリスティーネは友人の一人に肩を抱かれ、泣きべそをかいている。 「まあ、クリスティーネ・・・どうしたの?」

小説「光の物語」第46話 〜胎動5〜

泣いていたクリスティーネは、話をするうちに少しずつ落ち着いた。 婚約者のリヒャルトと結婚…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第47話 〜胎動6〜

自室で着替えを済ませたアルメリーアは、長椅子に座って一人考え込んでいた。 もともとは、読…

おやつ庵
2年前

小説「光の物語」第48話 〜胎動7〜

「ブルゲンフェルトに嫁いだミーネからの便りだ」 雪も解けたある日、ディアルは執務室で一通…

おやつ庵
2年前

小説「光の物語」第49話 〜胎動8〜

「ナターリエ!いったい何度同じことを言わせるの!本当にあなたはどうしようもないわね」 響…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第50話 〜胎動9〜

ベーレンス夫人が退室した後、アルメリーアはふっと息をついて椅子の背にもたれかかった。 宮…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」まさかの50話突破!記念エッセイ

小説「光の物語」執筆を始めたのが今年の1月でした。 なんだかんだと楽しく書き進めるうちに…

おやつ庵
2年前
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小説「光の物語」第51話 〜胎動10〜

大広間の夜会でアルメリーアは社交をこなしていた。 ディアルは急な来客とかで少し遅れている。 夫がいてくれなければ美しく装ったかいもないが、物足りなさを隠して出席者たちの挨拶を受けていた。 行き交う人々を眺めながらも昨日見た光景が頭を離れない。 内気な伯爵令嬢ナターリエが、砲兵隊長の従者と恋仲に・・・。 身分違いの関係など彼女の両親はまず認めまい。 せめて彼が誠実な人物ならよいのだが・・・。 「妃殿下」 いつの間にかそばに来ていたマティアスが会釈する。 「相変わらずお美しい