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くだらない #3


彼の最寄りについた
駅で合流して一緒にコンビニに入る

毎度の事だが彼は好きなものを
好きなだけ買ってくれた

彼の家まで他愛も無い話をしながら
冷たい風が吹く夜道を歩く

彼はコンビニにで買ったパルムを食べた

冷えた体が暖房の部屋で
ゆっくり暖められていく

体を2回合わせた

ベッドで2人くっついていると
彼が村上春樹の夜のくもざるをプレゼンし始めた

短編小説が36本入っているそうだ

その中から彼のお気に入りを2本
音読してくれた

子供の頃お母さんに絵本を読んでもらった時
くらい心地がよかった

内容がくだらなくて2人で笑い合った

「俺がこの先ずっと大切にしたい本だよ
貸すから読んでみて
くだらなすぎて世界が変わるよ」

彼はそう言って私のバッグに
村上春樹の夜のくもざるを入れていた

0時半
お酒で睡魔はマックス
寒いので布団で包まってうだうだ

私はいつも通り泊まる気でいたが
明日はお互いに朝がはやい
名残惜しいがお家へ帰ることになった


終電がギリギリ間に合う時間だが
駅まで歩いた所で
彼がタクシーを停めてくれた

私にそっとタクシー代を渡した
「これ、持って帰って」
「ありがとうございます」

お別れした後彼から一件のLINEが届いていた

「今日はありがとう本の感想きかせてね」

私と彼の関係が1番くだらないだろう

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