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発達障害の私が逮捕された話⑨(完)

前回、警官との取り調べや弁護士との面会、裁判所での出来事についてお話ししました。今回は、最後の裁判所での出来事と釈放後についてお伝えします。


本日、裁判所に向かい釈放される。そう思うと心臓の音がドクドクと鳴り、落ち着かずにいられなかった。


「126番、出てこい」


同じ部屋の二人から「元気でな」と言われ、私も挨拶をして出た。私服に着替え、裁判所に向かう護送車に乗る。

裁判所に到着し、いつもの牢屋の待合室に入る。私服だったので、別の収容者から「今日出るの?」と聞かれ、頷いた。そこからは早かった。


警官に呼ばれ、牢屋から出る。警官に連れられて罪状を読み上げられた部屋に入る。目の前に一枚の紙が置かれていた。


罰金刑


そう書かれた紙が目の前に置かれていた。その後、警官に連れられて罰金を支払った。


「犯罪しそうじゃないのに珍しいね、なにしたの?」途中、警官にそう言われた。


なんて返事をしたか覚えてない。


久しぶりに外に出た。


いつもスリッパだったのでスニーカーの感触がなんだか気持ち悪い。


ただ、アスファルトをしっかりと感じる。


天気は気持ちがいいくらい晴れていた。


そう考えているといつの間にか走っていた。


被害者のこと、親のこと、これからのこと。


いろいろ考えていて、何を考えているのかわからない。


ただ走っていた。


裁判所から自宅までの距離は遠く、電車を乗り継ぐ。


時折、背後を確認する。


何かが追ってきている恐怖があった。


一秒でも早く自宅につきたい。


そう思い走る。


誰の視線も気にせず、


馬のようにひたすら走っていた。



そして自宅の前に到着する。


息が切れている。


心臓が飛び出しそうだ。


吐きそうになる。


手が震えながら玄関のドアを開けた。



「おかえり。」




「ただいま。」




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