![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145126807/rectangle_large_type_2_ad0ae4a8beb26869dd71267b62e5fc1b.jpeg?width=1200)
発達障害の私が逮捕された話⑨(完)
前回、警官との取り調べや弁護士との面会、裁判所での出来事についてお話ししました。今回は、最後の裁判所での出来事と釈放後についてお伝えします。
本日、裁判所に向かい釈放される。そう思うと心臓の音がドクドクと鳴り、落ち着かずにいられなかった。
「126番、出てこい」
同じ部屋の二人から「元気でな」と言われ、私も挨拶をして出た。私服に着替え、裁判所に向かう護送車に乗る。
裁判所に到着し、いつもの牢屋の待合室に入る。私服だったので、別の収容者から「今日出るの?」と聞かれ、頷いた。そこからは早かった。
警官に呼ばれ、牢屋から出る。警官に連れられて罪状を読み上げられた部屋に入る。目の前に一枚の紙が置かれていた。
罰金刑
そう書かれた紙が目の前に置かれていた。その後、警官に連れられて罰金を支払った。
「犯罪しそうじゃないのに珍しいね、なにしたの?」途中、警官にそう言われた。
なんて返事をしたか覚えてない。
久しぶりに外に出た。
いつもスリッパだったのでスニーカーの感触がなんだか気持ち悪い。
ただ、アスファルトをしっかりと感じる。
天気は気持ちがいいくらい晴れていた。
そう考えているといつの間にか走っていた。
被害者のこと、親のこと、これからのこと。
いろいろ考えていて、何を考えているのかわからない。
ただ走っていた。
裁判所から自宅までの距離は遠く、電車を乗り継ぐ。
時折、背後を確認する。
何かが追ってきている恐怖があった。
一秒でも早く自宅につきたい。
そう思い走る。
誰の視線も気にせず、
馬のようにひたすら走っていた。
そして自宅の前に到着する。
息が切れている。
心臓が飛び出しそうだ。
吐きそうになる。
手が震えながら玄関のドアを開けた。
「おかえり。」
「ただいま。」
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?