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ぼくの本棚

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心震わせられた一文から。読書の足跡。
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#三浦綾子

【読書】 塩狩峠 三浦綾子

【読書】 塩狩峠 三浦綾子

一粒の麦、地に落ちて死なずは、唯一つにて在らん、もし死ねば、多くの実を結ぶべし。

 こんな生き方ができたなら。『塩狩峠』を読み終えてそう思う。麦の粒は、死んで地に落ちれば、次の生の養分となり、命はつながれていく。だからこそ一人じゃない。そして、本作品は小説という形を取りながら、実話をもとにしている。

 何のために生きるのか。そんな問いをいつも自分に投げかけている。「意味などない」という人もいる

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【読書】ひつじが丘 三浦綾子

【読書】ひつじが丘 三浦綾子

愛とはゆるすこと、ゆるしつづけることー一人の人間を愛し続けることのむずかしさ

 「愛」という言葉の重み。「あなたを愛している」言葉にするのは、恐ろしく簡単だと思う。教会で行われる結婚式で「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」という神父の問いに、「誓

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