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日本維新の会 梅村みずほ 参議院議員@共同親権 令和5年3月9日

第211回国会 参議院 法務委員会

第2号 令和5年3月9日


118 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 日本維新の会の梅村みずほでございます。本日もよろしくお願いいたします。
 さて、一昨日の大臣所信で齋藤大臣はこうおっしゃいました。子供に深い傷を負わせる児童虐待については、政府で取りまとめた「児童虐待防止対策の更なる推進について」も踏まえ、関係機関と連携し、その根絶に取り組んでまいります。
 実は、私の手元にその取りまとめがあるわけなんですけれども、児童虐待防止の更なる推進についてに即し法務省ができることは何か、大臣にお伺いいたします。

119 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 まず、児童虐待は決してあってはならず、政府を挙げてその根絶に取り組んでいるところであります。
 法務省では、令和4年9月に決定されました政府方針、「児童虐待防止対策の更なる推進について」も踏まえ、関係府省庁と連携しつつ、児童虐待の発生予防、早期発見や、児童虐待発生時の迅速、的確な対応に取り組んでいるところであります。
 例えば、人権擁護機関における人権相談等を通じた児童虐待の早期発見、早期対応、法務少年支援センターにおける地域の子供やその保護者等への支援、検察庁における警察及び児童相談所との情報共有及び代表者聴取などを実施しているところであります。
 また、昨年12月には民法等の一部を改正する法律が成立し、子の利益の保護の観点から民法の懲戒権に関する規定等の見直しが行われたところでございます。
 引き続き、政府の一員として、関係府省庁や児童相談所等の関係機関と緊密に連携しながら、児童虐待防止対策に全力で取り組んでまいります。

120 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 ありがとうございます。
 改めまして、前回の国会で民法改正、懲戒権を削除していただきまして、心から感謝申し上げます。
 また、大臣、先ほど言っていただきましたように、人権相談であるとか地域一体となって子供の相談、フォローをしていくということでありますとか、警察等代表者聴取というものも取り組んでいらっしゃるということで、想像し得るものを全てやっていこうという姿勢はうかがうことができます。けれども、この辺り足りていないのではないですかというところをちょっと御指摘申し上げたいと思います。
 その前に、配付資料の1枚目、御覧くださいませ。東京都あきる野市で五歳の男の子が母親の交際相手から暴行を受け脳死状態になっていた事件ですけれども、昨日動きがありまして、男の子亡くなりました。年間の出生数が80万人を割っていますこの日本で元気に生まれてくれたのに、大人になることができなかった男の子に対して心から御冥福をお祈りしたく思います。  また、5年前の3月、ちょうど今頃ですけれども、目黒区の虐待死事件、船戸結愛ちゃんの御命日がございました。これも、母親の新しいパートナーによる暴行によって彼女の命が奪われたわけでございます。じいじ、ばあばと慕っていた親族は、結愛を返してほしいというふうに涙ながらに訴えていたというふうに記事にあって、私も拝読をしたことがございます。
 配付資料2枚目、御覧くださいませ。この辺りが欠けていませんかと御指摘申し上げると言っていた点なんですけれども、「児童虐待防止対策の更なる推進について」、項目が大きく10項目あるんですけれども、ここには触れられて一部いたんですけれども、御覧いただきたいと思います。
 児童虐待による死亡事例等を踏まえ、親の交際相手等に対しても、子供の安全確保の観点から調査等の必要な対応を講ずることや云々ということで、先ほど御覧いただきました記事、脳死から亡くなった事件もリンクいたしますけれども、親の交際相手というところにも御注意を払っていただいているというのが受け取れます。
 一方で、下の下線、御覧ください。支援に関わるNPOや子供食堂など多様な民間機関の要対協への参画を進め云々とあるんですね。
 ここで、誰か忘れていませんかということなんです。血のつながったもう片方の父親ないし母親、その祖父母はどこに行ったのかと、私たちは悲惨な子供のニュースを目にするたびに思うわけです。社会の様々な機関によってセーフティーネットを多層にしていくというのは言わずもがな大切なことなんですけれども、血のつながった生みの父母や祖父母、親戚、全く蚊帳の外のようにこの項目を見ると思えてしまうわけなんです。
 日本は単独親権国家で、夫婦が離婚すれば、親権を持たない親や祖父母、いとこ、親族等と子供とのつながりがほぼ断絶状態になるというケースも珍しくございません。親子の交流、面会交流が、やろうと思えばできますよとはいえ、実際に満足に行われているかといったら、そういう現状にはないと承知をしております。
 そこで、お伺いいたします。
 1の2の質問要旨になりますけれども、虐待児の親が離婚していた場合、親権を持たない親が別居時の被虐待事実を知るすべは法的に担保されていないと解釈しているが、間違いないでしょうか。大臣、お願いいたします。

121 金子修

○政府参考人(金子修君)
 現行民法等の解釈に関わる部分を私から御説明します。
 児童相談所が同居親による児童虐待を認知した場合において、親権を有していない別居親に対してその児童虐待の情報を提供する仕組みはないものと承知しています。
 また、父母の離婚後に、親権を有していない別居親が同居親による子の虐待の事実を調査するようなことを直接の目的とする手段については、民法には規定がございません。
 もっとも、民法766条第1項及び第2項によれば、父母が離婚する際に又は離婚後に、親子交流に関する事項につき、父母の協議により、又は家庭裁判所が定めるとされておりまして、別居親がこの親子交流の機会に子と接する中で同居親による虐待の事実を知ることはあり得るものと考えられます。

122 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 ありがとうございます。
 お答えいただきましたように、親子交流の中で子供の方から訴えてくれれば知ることができる場合もありますよということだと思いますけれども、かなりのレアケースだと思いますし、法的にそういった被虐待の事実を別居親が把握することができる法的な担保というのはないというふうに私は理解しております。
 今月3日の予算委員会、嘉田由紀子議員の質疑において明らかになったのは、ひとり親世帯における虐待死割合の高さです。
 子供を有する世帯は日本で1122万世帯ということなんですけれども、うち一人親の家庭は72万世帯、全体の6・5%です。父母がいる世帯が10数倍ということで圧倒的に多いので、過去4年間の虐待死の件数自体は父母のそろった家庭が上回ることになります。
 一方で、日本の全虐待死のうち、ひとり親家庭で起きているケースがどれぐらいの割合なのかというと、極めて高い実情がございます。ひとり親世帯は、子を持つ世帯割合に比して6・5%にもかかわらず、内縁関係の者やひとり親本人からの虐待によって殺された子供というのは、全被害者のうち35%を占めるということですね。
 虐待死は、何度も虐待通告を受けている事例がたくさんあります。その事実を児相が別居親に知らせることというのはできないんですね。もちろん、別居親に問題のある場合も一定数あるとは思うんですけれども、反対に、遠く幸せを祈っていた血を分けた我が子が虐待によって変わり果てた姿になるならば、なぜ守ってやれなかったのかと、生き地獄を過ごすことになります。
 社会的なセーフティーネットを充実させる必要性はもちろんあるんですけれども、加えて、生みの親やその親族とのセーフティーネットも必要ではないかと思います。児相から連絡が必須となるシステムが必要ではないかと思いますが、齋藤大臣、いかがでしょうか。

123 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 先ほども申し上げましたけど、私は、児童虐待の防止は非常に重要な課題であって、関係機関とも連携して全力で取り組んでいく必要があると認識しています。私の地元の野田市で、かつて虐待で女の子が亡くなるということもありましたので、非常に生で重要性を感じているところであります。
 法務省は家族法制を所管しているわけですが、その見直しの議論の中でも、共同親権制度の導入が児童虐待の防止にも資するとの意見があるということは承知をしております。こうした意見は、共同親権制度を導入すれば、例えば児童相談所が同居親による虐待を認知した場面において別居親にその情報を提供可能となる、結果として別居親による子の救済の機会が増えるのではないかということを指摘するものと理解をしています。
 ただ、父母の離婚後の親権制度の在り方につきましては、現在、法制審議会において調査審議が進められていることでありますので、諮問をした立場である私が具体的な意見を述べるということは差し控えるべきだろうと思っておりますが、法制審議会では御指摘の点も含めて様々な角度からの充実した審議がされることを期待しているということであります。

124 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 大臣は、事の重要性、大変深く理解してくださっていると思います。
 先ほども述べました船戸結愛ちゃんですけれども、前のパパがよかったとおっしゃっていました。そのSOSを私たちは忘れてはいけないと思います。
 脳死から死亡に至った、今回、先ほど記事御覧いただきました男の子については、交際相手の男性との同居から僅か2か月ほどと推察できますので、児相にはかかっていないんですね。そういったケースもあるんですけれども、共同親権や共同養育、親子交流というものがこの2か月の間に何回かあれば防げた、そういった可能性も排除できないというふうに私は思っております。
 齋藤大臣は一昨日の所信表明において、困難を抱える子供たちへの取組を進めるために、父母の離婚等に伴う子の養育の在り方について、所要の制度の見直しについて検討するとともに、運用上の対応にも取り組んでまいりますと述べておられます。
 まさに、困難を抱える子供たちへの取組を進めるために、ここからは、もう既にワードとして出ておりますけれども、親権制度、家族法について引き続きお伺いしてまいります。
 配付資料の3枚目を御覧くださいませ。
 以前、この委員会でも申し上げましたけれども、片方の親がもう一方の親のネガティブイメージを植え付けるなどして子供がその親を嫌悪するといったような、片親疎外と呼ばれるようなものですね、諸外国では家庭内暴力ないしは虐待とみなされています。
 単独親権制度のデメリットとしてこの片親疎外が問題視されているということは把握していらっしゃるか、大臣に確認をさせてください。

125 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 離婚後の父母の親権制度に関し、いわゆる共同親権制度を支持する立場の方からは、同居親の別居親に対する行動や態度等が子の心身に悪い影響を生じさせる等の意見が述べられていることは承知をしております。

126 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 法制審の議論の中で御承知おきいただいているということです。
 続いて質問いたします。
 親権を自分のものにしたいというような気持ちが働いて、虚偽のDVを訴えるケースがあるのは把握していらっしゃいますでしょうか。

127 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 離婚などの裁判手続におきまして、当事者の一方が自己の立場を有利にする目的でいわゆるDVを受けたという虚偽の主張をしている場合もあるとして、そのような当事者の対応を批判する意見があることは承知をしております。

128 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 意見があるということでお答えをいただきましたけれども、私、この件につきまして、菅政権時代、加藤官房長官にお尋ねしたことがございます。
 当時の加藤官房長官、こうおっしゃっていました。虚偽DVによって長期間子供と引き離されることについては、ケース・バイ・ケースではありますが、これにより心身に有害な影響を及ぼしたものと認められる場合には配偶者からの暴力に該当するもの、つまりは精神的DVですね、に該当する可能性もあり得るというふうに御答弁をいただいておりますので、しっかりとそちらも踏まえていただければと思います。
 この点は、今国会提出でDV法改正案が出てきますけれども、考慮に値すると思って、私は個人的に思っております。
 では、続いてですけれども、別居親が子供に会えない苦しみから自殺をするケースがあることは、大臣、把握していらっしゃいますか。

129 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 個別具体的にこのケースというふうに把握しているものではありませんが、別居親が子に会えないことを理由に自死するケースがあるという報道には接したことがございます。

130 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 先月も北海道でありました。子供に会える日の希望と会えない絶望の間で何とか1日1日をつなぎ止めているという親がこの日本にはたくさんいらっしゃるんですね。その方の残されたお母様、自分の息子は自殺し、たった1人しかいない孫にも会えていない。お母様は、息子は法律に殺されたも同然ですとおっしゃっていました。
 父親の自殺だけではありません。産後うつをきっかけに夫との関係が悪化してDVを受けていた女性、その後、本人の同意なく医療保護入院というのが日本ではできてしまいますので、入院をさせられてしまって、その後にまた家から追い出されるなどして子供に会えないまま5年間耐え忍ばれましたが、たまらなくなって命を絶たれたお母様もいらっしゃいます。残された、その母親のお母様、おばあちゃまですね、こうおっしゃっています。娘は死んでしまったけれども、孫には必ず会えると信じていますと、あの子が孫のために用意しておいたクリスマスプレゼントの絵本を渡したいですとおっしゃっています。母親が亡くなったとき、お子さんは3歳代で、今15歳だそうです。
 死ぬ前にたった1人の孫に会わせてくださいという訴え、私、祖父母の方々から数多くいただいております。で、お伺いしたいんですけれども、済みません、質問要旨の⑦に飛ばせてください。祖父母と孫の関係が絶たれるケースがあることについて、大臣はどのようにお考えでしょうか。

131 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 父母の離婚後の子の養育の在り方については、父母のみではなく祖父母など多くの人の関与によって子供の心身の成長を図るべきという考え方など、様々な意見があるものと承知をしております。
 法制審議会では、子と父母の親子交流についての規律のみならず、子と祖父母との間の交流に関する規律についても議論がされているところでございます。引き続き、法制審議会においては、子の最善の利益を確保する観点から、本件についても充実した調査審議が行われることを期待をしております。

132 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 大臣も、この法の不備といいますか、この今の法体系の中で、母親による面会交流の申立てが増加していることも御存じなのではないかなと思います。そして、母親も自殺したり、祖母が悲しんだりと、この共同親権、単独親権の問題というのは、男性だけではなくて女性の被害者も子供に会えないということで起こっているということも既に御存じだとは思いますけれども、重々御理解いただきたいと思うんですね。
 また、これまで日本を支えてこられた祖父母世代の高齢者の方々に、こういった生きがいである孫を奪うというのは、私はちょっと罰当たりだと本当に思っているわけなんです。残された余生を孫と一緒に楽しんでもらいたいというのは大臣も同じ思いかと思います。
 ある母親は、国賠訴訟のさなかに思い半ばで旅立った息子の代わりに裁判の原告を引き継ぎました。最終期日の今月2日、こう陳述されています。もう何年も前から共同親権の法改正がなされていないことの問題があるのに、法律が変わることなく、息子は子供たちに会うことができないまま亡くなってしまいました、息子は私の宝物でした、息子の無念を親として知っているからこそ、裁判を引き継ぐことに決めました、このような悲しい親子断絶を孫たちに残したくありません。お母様は現在85歳です。
 こうした問題をめぐる国賠訴訟というのはほかにも数多く、種類も多くございまして、配付資料の5番目になりますけれども、居所指定権の侵害でもあります子供の連れ去りをめぐる損害賠償請求事件、1月25日に判決の出た裁判なんですけれども、新聞記事が表面、裏面は判決文の抜粋ということで御覧いただけますでしょうか。
 裏面の方を御覧いただきますと、下の方の下線、「したがって、原告らが主張する刑事法、民事法及び親権の行使に係る手続規定が現に存在するとはいえず、本件立法不作為が認められるというべきである。」。その上の下線ですけれども、「国際機関によるこれらの勧告が、日本の家族法制度に一定の問題提起をするものであることは明らかである。」ということで、臨時国会でも、私、これはもう国際問題だとハーグ条約を話題に出しまして訴えましたけれども、この2点、東京地裁でも指摘されていますが、どのように受け止めていらっしゃいますか。

133 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 本件は、原告らが国を被告として、婚姻中の一方の親が他方の親の同意なく未成年の子を連れ去ることを防止する立法措置を怠っていたことを理由として国家賠償請求をした事案と承知をしています。
 お尋ねの判決につきましては、原告らの請求はいずれも棄却されており、国家賠償法上の違法な立法不作為はないとの国の主張が認められたものと受け止めているところでございます。

134 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 お金を払うところまではいかないよねというようなメッセージに私は受け取っておりますけれども、法には問題があるよねというふうに同時に言っているとも解釈をしております。やはりこれだけの訴訟が起こっていて、苦しい方々が増え続けなければ法律が動かないという現状がございます。
 それでは、続いての質問に移らせていただきたいと思うんですけれども、要旨の5番目、2の5になります。
 配偶者からのDVの事実がない離婚相談案件において、DVを理由に離婚すれば親権や慰謝料などで有利に働くという持ちかけ方をする弁護士の存在について把握しているか、大臣にお伺いをいたします。

135 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 御指摘のような助言をする弁護士が存在をするという意見があることは承知をしていますが、法務省として個別具体的なケースを把握しているというわけではありませんので、法務大臣として個々の訴訟活動に対して答弁することは差し控えたいんですが、その上で一般論を申し上げれば、我が国の裁判実務において、親権者指定等の判断に当たっては、個別具体的な主張や証拠に照らして、DVの有無も含めた様々な事情を考慮して判断されるものと承知をしております。

136 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 ありがとうございます。
 では、更にお伺いいたします。
 今日はちょっと順番いろいろ前後しまして済みませんが、2の4になります。また、委員の皆様におかれましては、資料の4番御覧くださいませ。  40代の男性が、元妻と元妻に連れ出しを、子の連れ去りと言われる問題に関してですけれども、連れ出しを助言した代理人弁護士らに1100円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審ということで、高裁は元妻と弁護士2人に110万円の賠償を命じたということで、弁護士が連れ去りを助言するケースがあることを把握されているか、そのようなケースについて一言大臣から伺いたいです。

137 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 国が当事者となっている訴訟ではございませんので詳細は把握していないんですが、御指摘のような判決がなされたことは報道により承知をしているところであります。
 そして、個別の判決の内容やその中で問題とされた個々の弁護士の活動について、法務大臣としてはちょっとコメントするのは差し控えたいなと思っています。

138 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 ありがとうございます。なかなか答えにくい質問だとは分かりながらも質問させていただきました。
 添付資料にはないんですけれども、昨日、日本女性法律家協会が、先月17日をもって締め切られましたパブリックコメントに意見を寄せられているんですね。共同親権に賛成である旨を明確にお示しいただいています。皆様のお手元に配付できないのが残念なんですけれども、この内容は、昨日、日本女性法律家協会のホームページにて、家族法制の見直しに関する中間試案についての意見書と子供の成育環境のための制度改革の提言として公表されています。ちょっと冒頭だけ読ませていただきたいと思います。
 「当協会は、1950年に設立された、女性の裁判官、検察官、弁護士及び法学者からなる団体であり、長年にわたり、家族の問題に深く関心を寄せて研究会を持ち、研究を重ねているところ、現在、法制審議会家族法制部会で検討されている家族法制の見直しに関する中間試案に対する、当協会の家族法制研究会の意見は、次のとおりである。
 「家族法制の見直しに関する中間試案」は、父母の子に対する共同養育責任を明確に規定し、これを踏まえて、親子の交流・養育費の支払い義務等についての法整備のほか、離婚後の共同親権制度の導入を図るとする。その方向性について本研究会としては、子の最善の利益を保護し、子どもの権利条約の基本理念に沿うものとして賛同する。」。
 以下続くわけなんですけれども、この意見書の中、結構分厚いんですが、面会交流の課題とか、子の連れ去りの事案が少なくないことも含めて非常に多角的に、そして専門的な知見から御意見が述べられておりますので、しっかりと大臣にはお目通しいただきたいというふうに思っております。
 さて、パブリックコメントですけれども、ここで確認をさせてください。大臣でなくとも結構です。パブリックコメントの中に、諸外国の政府、大使館等から寄せられたコメントはあるでしょうか。

139 金子修

○政府参考人(金子修君)
 パブリックコメントの手続において寄せられた意見につきましては現在精査中です。どういった団体からどのような意見が寄せられたかも含めて、今後まとめた形で御報告するということになりますので、現段階ではお答えを差し控えたいと思います。

140 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 内容は教えていただかなくてもいいんですけれども、諸外国の政府、大使館からあったかどうかというのは把握していらっしゃらないんですか。

141 金子修

○政府参考人(金子修君)
 具体的な国名等は差し控えたいとは思いますけれども、外国の在日大使館から寄せられたものもあるというふうに承知しています。

142 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 先ほどの国賠の判決文でもありましたし、私も昨年の臨時国会で質問をさせていただきました。各国、やはりハーグ条約違反だということで、国際結婚の場合に現にトラブルになっているわけです。海外ではテレビショーなんかでも特集が組まれたりしているわけなんですね。今後、更に問題というのは進んでいくと思われます。内容が分かりましたらまた公表されると思いますので、私も注視をしております。
 では、続いてお伺いをいたします。
 諸外国で単独親権を採用している国を教えてください。

143 金子修

○政府参考人(金子修君)
 法務省が海外24か国を対象として父母の離婚後の親権制度等について調査した結果によりますと、調査対象国のうち、父母の離婚後にその一方のみが親権者となる、いわゆる単独親権制度を採用している国はインド及びトルコのみでございました。

144 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 ありがとうございます。
 ほとんどの国は共同親権、共同監護という形になっているかと思いますけれども、たまに耳にするのが、そういう国も揺り戻しが起こっているんだよというような声ですね。実際に、共同親権制度から単独親権制度への見直しや揺り戻しはあるのでしょうか。

145 金子修

○政府参考人(金子修君)
 御質問のその揺り戻しということの定義によりますが、少なくとも法務省が調査した限りにおいては、いわゆる制度として離婚後共同親権制度から離婚後単独親権制度への法改正をした国があるということは承知しておりません。
 また、そのような具体的な法改正を検討している国があるということも承知しておりません。

146 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 法務省としては確認していらっしゃらないという御返答でした。ありがとうございます。
 憲法98条2項の条約遵守義務、子どもの権利条約7条、9条、37条、すなわち子供が父母から養育される権利、分離されない権利、接触を維持する権利に照らしても早急に法案を取りまとめる必要があると考えております。もちろん、その制度設計きめ細やかにというのは重要なことなんですけれども、スピード感も大事だというのは齋藤大臣御自身もおっしゃっていたことなんですが、いかがでしょうか。

147 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君) 
 まず申し上げなくちゃいけないのは、我が国は児童の権利に関する条約等を誠実に遵守をしているという、その上で、いずれにしましても、父母の離婚後の子の養育の在り方を検討するに当たりましては、子の利益が適切に確保されること、これが重要であるという認識であります。
 その上で、父母の離婚後の親権制度の在り方につきましては、繰り返しになりますが、現在、法制審議会において調査審議が進められていることから、諮問した立場であります私から具体的な意見を述べることはやはり差し控えたいということですが、国民の間の様々な意見に幅広く耳を傾けながらしっかりと議論を重ねることが重要であると認識しています。
 法制審議会におきましては、今後、パブリックコメントの手続において国民から寄せられた様々な御意見も参考にしつつ、先ほど御紹介ありましたが、子の利益の観点からも充実した調査審議がスピード感を持って行われることを期待しておりますし、それを事務方としてもしっかりサポートをしていきたいと考えています。

148 梅村みずほ

○梅村みずほ君 さきの臨時国会から、この通常国会で出してください、大臣、というふうにお願いしてまいりました。ちょっと通告していないんですけれども、大臣、なぜ私がこの国会で法案出してほしいと言ったか、お分かりになりますか。

149 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 いや、済みません。前回の質疑のことを今つまびらかには思い出せないので、申し訳ありません。

150 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 人の命が懸かっているからです。
 先ほども申しましたように、皆さん1日1日ぎりぎりのところで生きていらっしゃるんですね。虐待も、今、命を失うかもしれない子供いると思いますよ、日本に。これ、人の命の問題であって、もちろん丁寧な議論大事なんです。でも、人の命が、この通常国会終わって、また衆議院選挙ありますとなって大臣が替わるかもしれない。大臣が替わったら、また一からやり直しかと。
 これは私も、いろんな大臣に陳情といいますか、要望もさせていただきましたけれども、理解というのが本当に大臣によって様々ではないかなと思っているのが私個人の意見なんです。人の痛みというのを、この問題による人の痛みというのを重々理解されている方でないと決断が下せない、それぐらいヘビーなんですね、非常に。
 これは、そのDVの問題も御承知のようにネックになっていますし、けれども、私はDV問題はDV対策によって解決するのが一義的だと思っておりますし、今国会で配偶者暴力防止法の改正案が出てきますね。内閣府、仕事が早いなと思っていて、だからといって法務省の皆さんが仕事ができないというんではなくて、それだけ非常に重いテーマだということなんです。
 ですから、大臣の立場で申し上げられないというふうに手を離すんじゃなくて、決められないんじゃないかと思っていただきたいんです。何とかまとめなきゃいけないけれども、重い、荷が重過ぎて進められないとなってはいないかと。
 ですので、今国会で諦めたくないんです。今国会で出していただけませんか。

151 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 ここは、法制審に審議をお願いしている立場で、法制審議会で議論が行われているわけでありますので、私にできることは、その審議ができるだけスピード感を持って進んでいくように事務方として最大限サポートしていくということが限界ではないかと思っています。

152 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 ありがとうございます。
 私は、政治家として、まずは最大多数の最大幸福を考える必要があるだろうと思っています。DVがなくても、虐待がなくても、お父さん、お母さんに会いたいなと思っている子供というのはたくさんいます。
 今日は、私の席の隣に音喜多駿議員がいらっしゃいまして、ステップファミリーです。音喜多家は仲よくやっていらっしゃるわけなんですけれども、お子さんと親御さんの関係が良好、でも、そうでない家庭もたくさんあることは御存じだと思います。家族の在り方が多様になっていて、ステップファミリーになって居場所がない、新しいパートナーと元々の親が新しい子供をもうけたと、自分が居心地が悪いんだという子供、たくさんいると思いますよ。
 子供の自殺は512人で過去最高になりました。不登校の児童もたくさん増えていて、それがこの問題によるものではないと、まあ全部がもちろんないわけです。複合的な要因があって、それはやっぱり分からないんですけれども、中には家庭問題、特に家庭内での居心地が悪いということで追い詰められている子供たちがいるということです。
 やはり、私は、子供の命が懸かっていると思うと大臣に早く早くとせかすものではありますけれども、齋藤大臣がそういった子供たちの命の重みを、そして子供たちの養育に親が必要であるということを分かってくださる方だと信じているので申し上げております。
 では、質問要旨ですけれども、今日はたくさん質問を用意したにもかかわらず消化し切れず大変申し訳ないんですけれども、これ聞いておきましょう。
 10年前、第2次安倍政権以来、法務大臣何人替わったか、法務省に、要旨15番目ですけれども、お尋ねします。

153 金子修

○政府参考人(金子修君)
 委員御指摘の第2次安倍政権の発足が平成24年12月26日と承知していますけれども、この日から現在まで法務大臣は合計11人の方が就任しています。
 また、第2次安倍政権発足時に就任された谷垣禎一元法務大臣から数えますと、合計12回にわたり法務大臣が交代しているということになります。

154 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 10年で12回交代、上川大臣が3回就任されていますので、延べだとちょっと数字が変わってくるんですけれども、ここが当事者の皆さんの危機感なんです。
 ボールを次の方へ次の方へ、これはちょっと私には荷が重いとなると、次の方となってしまう。またそうなるんじゃないかとおびえながら諦めずにやっている。でも、親権の問題ですから、子供が成年になるともう何もないわけですね。

 私も何年か当事者団体の方々とお付き合いをさせていただいていて、先生、ありがとうございましたと、もうすぐ私の子供は成年を迎えますと、私はこの集会にはもう来ませんというふうに、本当もぬけの殻です。で、大丈夫かなと、自死なさらないかなと不安に思いながら見送ったことがあります。
 御紹介したいのが、皆様にお配りしている最後の配付資料でございますけれども、アメリカは多くの州で共同親権を採用しているわけなんですけれども、このアメリカで共同親権を導入するに当たって大変大きな影響力を持ったという方がカレン・デクローという方なんですね。彼女は大変有名なフェミニストでいらっしゃいまして、こういった言葉を残していらっしゃいます。
 もし離婚をするようなことがあるならば共同親権とすることを強く勧めます、共同養育は、男性や子供にとって公正なだけでなく、女性にとっても最善の選択です、女性の権利や責任に対するフェミニスト活動を4半世紀以上も見詰めてきた結果、私は共同養育は女性にとってすばらしいと結論付けます、それは、教育、訓練、仕事、キャリア、専門、レジャーを求める女性親に時間と機会を与えるものです、男性を除外し、女性と子供だけが永遠の愛のきずなの衣服で包まれているかのようなことを示す科学的、論理的、合理的な根拠は一つとして存在しません、私たちのほとんどは、女性には男性ができることは全てできると認識しています、今、私たちも、男性には女性ができることは全てできると認めるときですというふうにあります。

 親権を争えば94%女性側に行くというのが日本の実態でございます。やはり、子供はお母さんといるのがいいだろうというふうに思っている国民もおりますし、私の中にも、やっぱり自分も2人の子供を産んでいますから、そういった思いというのは残ってはおりますけれども、やはり貧困の家庭、シングルが非常に多いわけですね。必死に子供を育てながら働いて、お給料も上がらない、疲れ切っている。そうしたら、やっぱり暴力も増えてくるのは当たり前のことだと思っています。ですから、女性と子供を鉄の鎖できつく結び付けているのはこの単独親権制度なのではないかというふうに私は思っています。女性をもっと自由に働かせてあげられるためにも、女性には自由が、時間が、選択が必要だと思います。
 この点について大臣にお伺いしたいんですけれども、女性活躍という視点で見ても、この共同親権制度というのは推奨すべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

155 齋藤健

○国務大臣(齋藤健君)
 父母の離婚後の親権制度の在り方、これについては今のお話も含めて様々な角度からの検討が必要なんだろうと思います。その検討の観点の1つとして、例えば、父母の離婚後の子の養育の負担が父母の一方のみに偏ることがないよう、離婚後も父母が共同で子の養育を担っていくことが女性の社会での活躍の観点からも有意義であるという御意見を御紹介いただいたというふうに受け止めております。
 もっとも、繰り返しになりますけど、現在、法制審議会において調査審議が進められていますので、法務大臣として具体的な、いいとか悪いとか意見を述べるのはちょっと差し控えたいと思っております。

156 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 ありがとうございます。
 法制審議会が速やかに審議を終了して、法案が取りまとめられることを心から願っております。
 今日はあと2分ほどになりましたので、しつこくしつこくこの家族法について、また虐待防止についてこの法務委員会でも質問してまいりましたけれども、今日の質問要旨で5番目に用意していたのは宗教問題についてという項目でございます。
 旧統一教会についての対応について大臣の所信で御発言がありましたが、今、光が当たり始めているのがエホバの証人の2世の問題です。私はエホバの証人の2世であります。ですので、最近はテレビをひねるたびに自分の昔を思い出しながら報道を拝見しております。
 統一教会の付け足しではエホバはありません。数多くの子供たちが長きにわたって苦しんできました。今も苦しんでいる子供たちがいます。報道では、高校生のお子さんが高校を卒業したらすぐに家を出たいと思っている、けれども、親族全員がエホバの信者なので身寄りもないし行くところがないんだというような発言も報道の中であったところでございます。
 そこで、質問の5の2になります。
 家族からの忌避について、人権擁護の観点から第3者の団体が干渉することに関し、法務省としてどのような対策が取れるのか、大臣にお伺いします。

157 鎌田隆志

○政府参考人(鎌田隆志君)
 お尋ねのような宗教団体に係る事案に関し取ることができる対策につきましては、個別具体の事案における事実関係に即して判断されるべき事柄ですので一概に述べることは困難でありますが、あえて一般論として申し上げるならば、宗教に起因する問題によって家族との交流が果たされない場合には、法テラスや法務局における相談対応ということが考えられます。これら相談におきまして、相談者の話をまずはよく聞き、家族との交流が果たされない具体的な理由や、それにより生じている具体的な不利益をお聞きするということになります。
 その上で、例えば、相談者が子供である場合には、学校、児童相談所等と連携して対応策を検討したり、また、子供であるかどうかにかかわらず、家族との交流が果たせないことにより心の悩みを抱える方の場合には精神保健福祉センターを紹介したり、生活困窮といった経済的な悩みを抱える方の場合には生活困窮者自立相談支援機関とも緊密に連携するなどし、事案の内容に応じて適切に対処していくこととなると考えられます。

158 梅村みずほ

○梅村みずほ君
 この問題、厚労省は非常に迅速に動いていらっしゃるなという感想を持っております。
 今日は詳しく御紹介できませんが、参考資料の7番、8番、9番、エホバの証人にまつわるものです。9番は、表向きホームページでうたっています。「仲間との交友から遠のいている人たちを避けることはしません。」、でも実態は違います。研究者用、実は内部向けの冊子の内容というのもホームページ上にあります。それが7番、8番。またお時間があるときに御覧いただければ幸いでございます。
 この問題、引き続き、法務委員会でも取り上げられるチャンスがありましたらお尋ねしたいと思います。
 以上で終了します。ありがとうございました。


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