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【レシピのことば】「新」と「ひね」

レシピを紐解くと出てくるこの言葉。
今日は「新」と「ひね」です。


新玉ねぎや新じゃがいもが美味しい季節ですね。

新玉ねぎは、文字通り「新しい」玉ねぎなのですが、何が新しいのでしょうか?

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玉ねぎやじゃがいも、しょうがなど、ある時期になると「新」と名前がついて流通する野菜は、長期貯蔵が出来る野菜なので、スーパーや八百屋さんの店頭に通年並んでいます。

玉ねぎやじゃがいもは、旬の時期に収穫されてからしばらく貯蔵保存されていたものを、注文が入るたび、あるいは定期的に出荷しているので、収穫後すぐに出荷されて店頭に並ぶわけではないのです。
貯蔵することで、水分が抜けて甘味が増したり、ほくほくした食感になったりします。

それに比べて、「新」のつく野菜は収穫後貯蔵せずすぐに出荷するので、新玉ねぎや新じゃがいもと呼ばれます。
収穫後すぐに食べる新しい野菜だから「新」なのですね。

では、「新」がつかない普段店頭に並んでいる玉ねぎやじゃがいもは何と呼んだら良いのでしょうか?

普通に玉ねぎやじゃがいもと呼べば良いですか?

でも新玉ねぎも新じゃがいもも玉ねぎやじゃがいもであることに変わりありませんよね。

新じゃないなら古?旧?

新しい「新」と区別して「ひね」と呼びます。

新玉ねぎや新じゃがいもと明確に区別する場合、「ひねじゃがいも」や「ひねの玉ねぎ」「ひねた生姜」のような呼び方をします。

ちなみに漢字では「陳」と書き、

陳くれる(ひねくれる) … 古びる、古くさくなる

から来ています。(三省堂大辞林 第三版)

銀座マルディグラの名物「トスカーナ・フライドポテト」のレシピでは「ひね」じゃがいもが指定されています。
収穫したてで若く瑞々しいじゃがいもでは、あの味が出ないのですね。

新玉ねぎのスープ、新じゃがの煮物、のように、「新」の良さを活かしたレシピには、是非新しく瑞々しい収穫したての旬の野菜たちを使って下さい。

もちろん「新」が手に入らず「ひね」野菜を使っても作れますが、レシピ制作者の意図した味ではなくなるのをご了承の上でお作り下さいね。
そのくらい、全然別物なのです。


余談ですが、ある雑誌のレシピで「新じゃが」と指定のないじゃがいもを使ったレシピで「新鮮なじゃがいもをお使い下さい」と書いてあり、新鮮なじゃがいもって新じゃがのことじゃない?と頭の中が「???」となりました。
「新鮮」の定義は難しいですね。

試作のための食材費や、子供達が使いやすい調理器具の購入に使わせて頂きます!