見出し画像

固定ギアの自転車による環島(台湾一周)の記録 その2

2023年4月28日から5月4日までの七日間、自転車で台湾を一周した。今回は、旅行の全体行程、初日の走り出しまでを書きたいと思う。


環島をした理由や準備などはこちら


旅行の全体行程

俯瞰図、赤丸が宿泊地

1日目 台北(タイペイ)〜峨眉(オーメイ)       100km
2日目 峨眉(オーメイ)〜嘉義(ジアイー)       200km
3日目 嘉義(ジアイー)〜高雄(カオシォン)      120km
4日目 高雄(カオシォン)〜墾丁 (ケンティン )120km
5日目 墾丁 (ケンティン )〜台東(タイトン) 150km
6日目 台東(タイトン)〜羅東(ルオドン)    260km
     ※花蓮(ホアリエン)〜羅東間(100km)は電車を利用
7日目 羅東(ルオドン)〜台北(タイペイ)    100km

総走行距離 950km
1日平均       135km
1日最長    200km
1日最短          100km

 距離は概算で、獲得標高はおそらく5,000m~6,000mくらいではないだろうか。そこまで無茶苦茶な登り坂はないといった感じだが、固定ギアの僕は普通にしんどかった。
 6日目は花蓮〜羅東間で電車を使った。この区間を繋ぐ唯一の幹線道路である「蘇花公路(スファこうろ)」は「台湾で最も美しく最も危険な道」と言われており、環島でも唯一の電車利用推奨区間である。一応自転車でも走れないこともないようだが、山にへばりつくように延びる狭隘な道路、落石、大型ダンプ、トンネルなど危険要素が多く、僕は電車に乗ってスルーした。自分の中の原理主義的な部分が少し揺らいだが、人工的に舗装された道でリスクを冒したくなかったし、そもそも旅行は命をかけてまですることではない。
 これに、台湾での桃園国際空港〜台北までのバス、日本での空港から自宅までの電車での行き帰りを加えたものが、旅行の全体行程となる。

初日の走り出しまで

 朝4時に起床。始発の電車で関西国際空港に向かう。ピストバイクで比較的軽量と言えども、輪行での移動は結構辛い。

桃園国際空港での写真。収納全長は長いが、電車の中では縦にするとさほど邪魔にはならない

 なんとか空港に着き、チェックインカウンターでチケットの受け取りと手荷物の預入を行う。今回はもちろん自転車を預けるが、この時点でタイヤの空気を抜いているか確認されるので、並ぶ前に空気を抜いておいた方がスムーズだった。(僕は抜いていなかった)

一応「FRAGILE」というシールを貼ってくれるが、破損などがあった場合はあくまで自己責任

 「頼むから走れる状態で着いてください」と祈るような思いでベルトコンベアの上を流れていく自転車を見送った後、手荷物検査を経て搭乗ゲートに向かった。釣り道具などの機内に持ち込めるか自信のないものは輪行袋の中に入れておいたので、手荷物検査は問題なく通過できた。

 ということで、3時間弱のフライトを経て台湾に到着。

桃園国際空港の入国ゲート

 入国ゲートで提出する入国カードには宿泊場所を書く欄があるが、台湾一周予定で特に宿は決めていなかったので、「環島」と書いて提出した。あわよくば、「加油!(頑張って)」の一言と共に笑顔でゲートから送り出してくれることを期待していたが、入国審査官の首を少し傾げさせただけで、「書き直して」の一言と共に入国カードを返されてしまった。その後、初日の到着予定場所付近の宿をBooking.comで調べ、出てきた宿の住所を適当に書けば大丈夫だったので、宿を決めずに環島をする方は嘘でもどこか適当な宿の住所を書くことをお勧めする。
 無事に入国審査を通過した後は、桃園国際空港から台北までのバスのチケットを買わなければならない。桃園国際空港からは自転車で出ることはできず、交通手段としてはバス・タクシー・MRT(電車)があるが、バスが一番安かったのでバスにした。バスの待ち時間が1時間ほどあったので、現金の入手や、空港にある無料の浄水器で水を補給したり、自転車のタイヤに空気を入れたりして時間を潰した。現金の入手はクレジットカードのキャッシングにした。

空港内の浄水器(無料)
バス乗り場。1819便のチケットを買い、5番乗り場で乗車。
バスチケット。横長のものは自転車の預入票。

 1時間ほどバスに揺られ、台北駅に到着。
 自転車も無事。問題なく走り出せそう。

バス降り場の広場で自転車を組み立て出発

 最初にペダルを踏み込んで自転車で走り出した瞬間は感動的だった。最悪、飛行機での運搬でフレームが曲がって走れない状況も想定していたが、何も問題なく、毎日通勤で乗っている自転車で異国の地を走っている。いつもと同じようにサドルに跨り、いつもと同じようにトゥストラップに足を入れてペダルを漕ぎ、いつもと同じスピードで走っている。でも、そこは台北。台湾最大の都市。自分の自転車を持ってきて良かったと心の底から思った。

信号待ち。台湾の主流はバイク。

 無事自転車で走れることになり安心してお腹が空いたので、スタート地点の松山駅までの間にあった店で、ルーロー飯と青菜の炒め物を食べる。毎日食べれそうな感じの味で美味しかった。ルーロー飯は日本の方がゴージャスかもしれない。青菜の炒め物は塩とニンニクが効いていておいしかった。

ルーロー飯と青菜の炒め物、300円くらい。

 台北駅から松山駅までは意外に遠かったが、環島のモニュメントがある松山駅前に無事到着。

スタートでありゴールでもあるゼロ地点のモニュメント

 パソコンの画面上でしか見ていなかった場所に自分がいることが不思議だった。そして、ここから台湾を一周してまたここに還ってくることも、この時点ではピンとこず、なんだか不思議な感じがした。
 何はともあれスタート地点に立てたのだから、あとは漕ぐだけだ。

 (次回へ続く) 


【閑話】旅行費用について

 旅行をするには多少お金がいる。今回の旅行費用の内訳は以下の通り。

・交通費
 航空券代 61,033円
 桃園空港〜台北までの往復バス代 2,300円
 関西空港〜自宅までの往復電車代 3,210円

・宿泊費
 5泊分 13,080円

・食費
 7日分 31,500円

・お土産代
 ヌガーとパイナップルケーキ 6,727円

合計 117,850円

 食費は好きなものを好きなだけ食べていたのでもう少し安くあげることはできる。宿泊費は大体2,000円前後がどの町でも底値といった感じだった。当日予約であれば安くなっていたりする。その日の到着予定の町と時間が分かった時点でBooking.comで予約するというサイクルで宿は確保していた。野宿を積極的に行えば宿泊費はもう少し安くなる。

 これが高いか安いかは分からないが、これくらいの代金を支払えば、素晴らしい台湾一周旅行ができるということだ。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?