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大学受験生に夏はないのか?

昔、母に「おまえは荒川の下で拾われたんだ」と言われたことがあります。そうです。持田は河底人なのです。

うそです。この母の言葉は実家近くの橋梁である「荒川大橋」の下と言うべきところを「荒川」と言ってしまった言い間違えです。似た言い方に「受験生に夏はない」と言う人がいます。これは実害のある言い方で、夏は受験生にもあります。夏をないことにすれば熱中症への対策を怠ることにつながり、命に関わります。

ことばの教え手なので、こういうことば遣いも気になるわけですが、ここから本題です。大手予備校は法的には専門学校の一形態で、一般の学校と同様に「学期」が設定されています。そして、学期を埋めるように在学生(=校外生)にも開放した季節講習会が行われます。予備校生には学校暦の上でも「夏」が存在するわけです。一般企業が運営する予備校も、同様の年間スケジュールとなっているところが多いようです。

さて、学校暦上「夏」が存在する予備校生ですが、「夏休み」は事実上ありません。通常授業がない期間も、受験勉強を進める必要があります。このときに自律した受験生であれば何ら問題なく受験勉強が進められます。

2年連続で同様の記事を書いていますが、今年の方が踏み込んだ書き方をしています。

実際は自律性の高い受験生は少数派で、多くは予備校に過度に依存している受験生か、自称「自分でできる」受験生です。前者は夏期講習の受講と、通常授業の復習が追いつかない状況に陥りがちですし、後者は学習から方向性が失われ、何のために何をやるべきかという認識ができていないにもかかわらず、巷で人気の参考書に手を出して勉強しているつもりになっていたりします。

大学受験生にも「夏」はあります。そしてその「夏」は、大半の受験生にとって無為な夏に終わります。「夏を制するものは受験を制す」とも言われますが、夏を制すことできている受験生は極めて少ない、というのが偽らざる実感です。


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