英文法はもはや「秘密の知識」
日ごろ大学受験生に接していて「こんなこともわからないのか」と言いたくなることがないわけではありません。しかし、絶対に言いません。彼らが勉強を避けてきたからわからないのではなく、そうしたことを学ぶ機会がこれまでになかった、あるいは学ぶ必要性を感じてこなかったからだということがわかるからです。
英語が飛び交わない、日本語だけで生活できる環境で英語を学ぶには、英語の文法を学ぶことが必要です。しかもそれは英語を使っているうちに自然に気づくのを待つだけでは不十分で、意識的に、時には体系的に学ぶことが必要です。英語の授業のあいだだけで英語漬けにしても、授業は週に数時間にしかなりませんから、文法学習をしなくてよい理由にはなりません。
しかし、大学受験までに文法を学べる機会はそう多くありません。受験に特化したカリキュラムをもつ学校でも、ただ問題集を解いているだけで、文法知識を理解するようにはなっていないことが多いようです。また、共通テストのように、文法知識を直接問う設問がまったく出題されない試験問題をみて、文法学習の必要性を感じていない受験生が増えてきています。こうなると、たとえ塾や予備校で英文法の講座が設置されていたとしても、それを受講したいとは思わなくなります。
こうなってくると、文法知識の欠如を指摘されても、「この先生は大学入試の傾向と関係ないところで何を言っているのだろう?」と思う受験生も出てきます。正確な理解と表現を支えるのは語彙や文法の正確な知識です。この知識の不足を実感させられる機会は入試問題を解けばいくらでもあるでしょう。問題はその実感が得られるまでに時間のかかる受験生が多いここと、実感が得られたときに英文法の学習を支援する環境が十分ではないことです。
あれっ、どうしよう?とちょっとでも思ったら、持田もお手伝いします。