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受験勉強の大局観

入試問題が解けるようになるには(過去の)入試問題を解かなければならないという思い込みが、受験生のみならず、中学や高校の先生方、そして塾や予備校の先生方にもあるようです。しかし、入試問題がどのような知識、どのような能力を問うものであるのかを分析できれば、そうした知識や能力を身につけるような学習をすればよいのであって、必ずしも入試問題を解かなければならないということにはなりません。むしろ、闇雲に過去問を解いているだけでは入試問題が解けるようにはならないということもあり得ます。

英語や国語(古典を含む)の入試問題を解くうえで必要なことは、文章が読めることです。そして、英語の入試問題には英作文問題がありますし、国語にも現代文を中心にまとまった論述を求める問題があり課すから、文章が書けることも重要になります。つまり、簡単に言えば、読み書きができれば入試問題は解けるということになります。頻出問題の解法をマスターなどというものに惑わされるよりも、文章の読み書きの能力・技術を身につけることを優先させることのほうが出題傾向の突然の変化にも対応できるという点で重要なのです。

文章の読み書きということでいうと、国語のほうは早い段階からこの練習に積極的に取り組んでいくこととなります。書く方は論理的に書くことが中心になりますが、読む方は一通りのテクストタイプをバランスよく読んでいくことも大切です。小説や詩は入試に出ないからやらないというのではなく、そこでのことばの働きに着目して文章を深く読むことを学ぶことが、英語学習を含め、いろいろなところで役立ってきます。

英語のほうは、まずは文章を射程に入れつつ、文の読み書きが正確にできることを当面の目標として文法や語彙の学習に力を入れるべきです。日英語の比較対照の中で英語のしくみをしっかりと学んでいくのです。このあたりは国語での深い読みの学習との相乗効果が期待できるところです。これと同時に英語では難しい構文を含まない簡単な文章を使って、パラグラフのしくみに習熟していくようにします。作文の対策としては200~250字程度の日本語作文の練習を、英文法の学習と同時に進めていくと効果的です。この短作文の力は強化を越えて国公立大学の二次試験問題の解答能力を支えるものとなります。

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