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模擬試験ではない模試の活用

「模試」とは「模擬試験」の略です。「模擬試験」というのは、入学試験や資格試験、検定試験などの「本試験」に出題形式・出題内容を似せた試験のことを言います。例えば、大学受験生向けに全問マークシート方式で実施されている模試は共通テストの形式に準拠しています。一方で、「駿台全国模試」や「全統記述模試」などの模試は、特定の試験の形式や内容に基づいたものではありません。模試ですが、「模擬試験」ではないと言えます。こうした模試は、いわゆる「実力テスト」として受験し、活用することが受験勉強において重要となります。

模試を受けると成績表が返ってきたときに、どうしても偏差値や合格判定が気になります。が、偏差値と合格判定はむしろ受け流してもらって構いません。たまたまその模試を受けた人たちのなかで学力を相対的に評価したものが偏差値ですが、その模試を受けた集団がそのままどこかの大学の特定の学部を受けるわけではありませんから、たいして意味はありません。合格判定については、出題傾向の違う試験の成績で判定しているわけで、志望大学の入試の得点との相関が明確でない限り、こちらもあくまでも参考程度に受けとめておくべきです。

模試で大事なことは、解けなかった問題がどのような問題で、それがなぜ解けなかったのか、あるいは勘で解けてしまった問題はどうすれば確実に解くことが可能になるのかを分析することです。そしてそのために必要な知識や技能を身につけてくために現状の学習に何を補っていけばいいのかを考え、実践していくのです。記述式の設問では採点講評にも目を通します。講評にはやや甘めに採点した旨が記載されていることがあります。これは本番での採点基準がそれより厳しいものであれば減点されることを意味しています。記述式でなく選択式で出題されたら次善の選択肢をつかまされて点を得られない状況に陥ることが予想されます。こうしてみていくと、その問題形式・採点基準でたまたまその得点となり、その成績に基づいて算出された偏差値と、判定された合格可能性が成績表に記載されているだけで、その前提となっている条件が変われば合格判定も変わってしまうことがわかります。この不安定要素を取り払うには、問題に解けなかったことで明らかになった知識や技能の不足を補う学習を実践するしかないのです。

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