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眠くなる薬が分からない

 花粉症の薬を処方してもらっているんです。その日も薬局でお薬を買う手続きをしておりますと、薬剤師さんが質問してきました。

「眠くなったりしませんでしたか」

 そんなことを聞かれると、私は「大丈夫です」と言って誤魔化すようにしています。誤魔化す理由は明確で、服用前より眠くなっているか分からないんです。なぜ分からないか。日頃からかなり寝ているんです。

 母によると「昔からよく寝ていた」とのことなので、どうやら生まれつきのようです。自己申告なので話半分に読んでいただきたいのですが、最高連続睡眠時間は14時間でございまして、1日のうち20時間を睡眠に費やした時もあります。

 今は体質が変化したのか、そこまで長くは寝なくなりました。それでも、9時間は余裕で寝れる。逆に寝ないと心身にすぐガタが来ます。調子が悪ければ機嫌も悪い。肌に謎の湿疹ができたりします。だから7時間は寝たいし、できれば8時間は夢の世界で暴れていたい。もちろん、9時間寝られたら最高です。いつかはまた14時間にチャレンジしたいとさえ思っている。

 しかし、そんなにたくさん寝ても目がギンギンになることは滅多にありません。むしろ、いつでも寝る用意があると言わんばかりにぼんやりしている。どんなに緊張していてもなぜかボーっとできるんです。大事な試験の直前でもぼんやりしていた私は悟りました。ああ、この体質はどうにもならないなと。眠気を完全に払拭する人生を諦めた瞬間です。

 常にこんな調子なので、薬で多少眠くなろうが、薬のせいで眠くなっているのか、もともとそれくらい眠いのか、いつも判断ができないんです。日常生活の支障をきたしていないというか、いつもと同じくらいの非常に小さな支障しかない。だから、薬剤師さんに「大丈夫」と答えているのは事実と言えば事実なんです。分からないなりに事実、と申しましょうか。

 昔話だと寝まくっているやつは大抵ぐうたらの象徴で、成功から最も遠い位置にいる存在です。全てのビリを総なめにしていると言ってもいい扱いです。でも、私はこれまでの人生で全てのビリを総なめにはできていない。だから、今の世の中は寝まくっててもやりかたによってはどうにかなるんじゃないかと勝手に思っています。ロングスリーパーの筆頭にはアインシュタインというビッグネームが君臨しているわけですし。

 そんなわけで皆さん、今日もおやすみなさい。

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