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髪で絵を描く

 現代医学の弱点のひとつに、平均を用いている点があるとうかがいました。現代医学は様々な人の健康をチェックしてその平均がいいと考え、その平均的な方がベストだとされる習慣を皆さんに勧めるのがメジャーな方法のひとつなんだそうです。これがなぜ弱点かと申しますと、平均から激しく離れた地点がベストな方々には適用できないからだそうです。

 極端な例を申し上げますと、炭酸飲料「ドクターペッパー」を毎日3本飲む生活を続けておきながら100歳を超えて生きていらっしゃった方が存在します。その女性は「医者はみんな(炭酸飲料が)健康に悪いと言いました。しかし、忠告した彼らの方が先に亡くなって、私は生きています」という、よくできた小噺みたいな強烈な一言を残していらっしゃいます。

 また、122歳まで生きた女性はタバコが大好きで「『わざわざ火をつけてくれる介護の人に申し訳ないから』という理由で117歳で禁煙」という桁違いすぎてよく分からないエピソードを残してらっしゃいます。

 こういう極端な方々がいらっしゃいますと「平均って何だろう」と考えてしまいます。もちろん、極端な例は少数な割に目立ちますから、誰にでも当てはまる事象ではございませんが、平均ピッタリな人も思ったより少なく、ほとんど全ての人は平均の上か下にズレることになります。平均を重視する医学的判断ですと、現実と異なる結果が出てくる。厄介なのは自分が平均から極端にズレているのか微妙にズレている程度なのか時に判断しにくい点でございまして、科学が発達した現在でも予想のつかない人生を強いられている一因となっています。

 ただし、平均が存在する限り、そこから大きく外れるものもまたちょこちょこ出現するのは事実のようです。

 ところで、どうも老化のペースは一定ではないらしいようです。体調とかストレスによってグッと老け込む時もあれば、緩やかに年齢を重ねる場合もある。時にはちょっと若くなることもあると言えばあるようです。

 例えば、年齢を重ねてくると出てくるのが白髪です。生理現象なので仕方がないわけなんですが、状況によっては白髪の増えるペースが加速したり、逆に黒髪へ戻ったりすることもあるんだそうです。黒髪に戻る。老化への道のりは一方通行だとばかり思っていた私には非常と意外でした。「あ、戻るんだ」といった感じです。

 ちなみに、軽く調べますと、白髪は老化が原因のものが多いようなのですが、ストレスが原因のものや、栄養や睡眠が足りないことによって起きるものもあるようです。

 ご存じの通り、老化はどうしようもありません。身体の特定部分に力をグッと入れたらその間だけ老化が止まるシステムが人体に備わっていればいいと思いますが、そんな頭の悪い夢物語がそうそうあるわけがない。それに比べればストレスや栄養、睡眠はまだ自分の意志で何とかなる。

 つまり、摂生した生活を一時的に不摂生な暮らしに変更し、また摂生した生活に戻せば黒髪の間に白髪のゾーンを作ることができるわけです。何なら、摂生と不摂生を繰り返すメリハリのついた生活を続けていれば、黒と白の縞々ヘアーができる可能性を示唆しているわけです。何なら、卓越した縞々ヘアークリエイターならば、計算し尽くされた生活を送ることで髪の1本1本をそれぞれ異なる縞模様にし、髪で絵を描けるようになるのでしょう。

 そんな超人いるわけない。私もそう考えてしまいそうになります。しかし、世の中には平均から大きく外れるものが少なからず存在しているんです。髪を染めずに、自身の生理現象を駆使して自在に絵を描く人がいても珍しくはない。何しろ、地球上には70億人を上回る人類がいるわけです。そして、こうしている間にも新たな人類が生まれている。

 私は可能性に賭けたいと思っております。

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