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本当にある不思議な農作物品種名③ 工芸作物・果樹編

 何となく農作物の品種名の一覧を見ていたんです。そうしたら、ちょこちょこ不思議な名前があったので、つい集めてしまいました。集めたら誰かに見せたくなる。私としてはいつものパターンにハマり、役立つ情報かどうかなんて全然検討せず、こうやって皆様にご紹介する形を選びました。いつもご迷惑をおかけしております。

 参考にしたのは農林認定品種データベースです。

https://www.agropedia.affrc.go.jp/agriknowledge/hinshu/

 上記サイトに載っている品種のうち、今回は「工芸作物・果樹」から個人的に不思議だなあと感じる名前を選んでみました。では、早速参ります。

いんど

 茶の品種。国名で、その上、ひらがなです。
 九州・四国・近畿・東海の温暖地帯における紅茶産地に適しており、品質は良好、特に香りがいい品種。名前の由来は不明ですが、インド雑種から生まれた品種ということが関係しているのではと予測できます。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001243

ろくろう

 茶の品種。ろくろではないようです。
 静岡県より西の霜が少ないところの栽培に適しており、香りがよく煎茶として用いるのがよろしい品種。名前の由来は今のところ不明ですが、旧系統名が「六郎」であることが関係していると予想できます。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001240

ごまぞう

 ゴマの品種。ポケモンです。いや、ごまの名前です。ポケモンは初作品が1996年に発売されたのに対し、当ごまぞうの育成が始まったのは1992年。こちらのほうがごまぞう歴は上です。
 関東より西の地方での栽培に適しており、機能性の高い食品素材としての利用が期待される品種。名前の由来は「ごまをイメージする愛称」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001088

たまみ

 ミカンの品種。辛うじて人の名前にもなりそうな名前です。
 温暖な柑橘栽培地域での栽培に適しており、香りが強くて味が良く、皮が非常にむきやすい品種。名前の由来は「清見の血を引き、甘く香り高い消費者に愛される果実となることを期待して」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001432

ミホコール

 ミカンの品種。ちょっと変わった名前の化学物質に見えなくもないです。
 生育期に風が弱く夏から秋にかけて雨が少ない地域での栽培に適しており、においも味も良くて病気に比較的強い品種。名前の由来は「親品種の三保早生より「ミホ」、アンコールより「コール」をとり、“ミホコール”とした」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001427

ぷちまる

 ミカンの品種。ゆるキャラ系の名前です。
 沖縄県を中心とした暖かな土地での栽培に適しており、皮は甘みが強く苦みがないため皮ごと食べられる品種。名前の由来は「小粒で丸く、愛らしい果物を表現」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001452

ぽろたん

 クリの品種。こんなあだ名で呼ばせてくれる人はきっとすごくいい人です。
 茨城県および新潟県より南での栽培に適しており、栗の中では実が大きく甘みも香りもあり皮もむけやすい品種。名前の由来は「早生の主力品種である「丹沢(たんざわ)」の子であり、渋皮がポロンと剥けるクリのイメージと広く愛されて欲しいという願いを込めて」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001541

ニコニコット

 アンズの品種。ただのニコニコでは飽き足らなかったのか、ちょっと文字が追加された名前です。
 従来のあんず栽培地域での栽培に適しており、自家結実性に加えて結実が極めて良好で、糖度が高く酸味が少ないため生食用に優れた品種。名前の由来は「豊産性で、果実が甘くおいしいため、生産者も消費者も笑顔になるあんず(アプリコット)であることから命名」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001830

きたろう

 リンゴの品種。妖怪と仲がよさそうな名前です。
 北海道から東北北部での栽培に適しており、糖度が高く生産性も高い品種。名前の由来は「黄色のリンゴであることを表現」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001464

もりのかがやき

 リンゴの品種。RPGの重要アイテムではありません。
 従来のリンゴ栽培地域での栽培に適しており、甘みが多くて酸味が少ない品種。名前の由来は「樹に着いた果実が陽の光を浴びてきらきら輝くイメージから命名された」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001470

缶桃2号

 モモの品種。「〇〇1号」みたいな品種名は「農林1号」を筆頭に多く見られますが、中でもこれが一番そのままな感じがします。他にも缶桃は5号、12号、14号の存在を確認しております。
 雨の少ない暖かな土地での栽培に適しており、缶詰製品に使いやすい品種。名前の由来は不明ですが、名が体を表していると思います。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001471

八郎

 ウメの品種。ろくろうの次は八郎ですが、こちらは漢字表記です。
 東北から九州にかけての従来の梅栽培地域での栽培に適しており、漬け梅に適した品種。名前の由来は「東北地方を中心に普及が期待されることから、この地方の昔話に出てくる男の名前を表現」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001581

加賀地蔵

 ウメの品種。とうとうお地蔵様が出てきてしまいました。
 東北から九州にかけての従来の梅栽培地域での栽培に適しており、青梅・漬け梅兼用種として利用できる品種。名前の由来は「両親(白加賀と地蔵梅)の名称に由来する表現」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001580

ゆがふ

 パイナップルの品種。何度見ても「打ち間違いか?」と思わせる優秀な名前です。
 沖縄本島北部や八重山など温暖な酸性土壌での栽培に適しており、甘くて酸味があり病害に強いため栽培が容易な品種。名前の由来は「豊かさを意味することから、食味が良く豊産性であることを示唆する」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001576

ソフトタッチ

 パイナップルの品種。農作物の品種らしからぬ名前としては超一流です。
 沖縄県の酸性土壌地帯での栽培に適しており、国内で初めて育成された生食用のパイナップル品種。名前の由来は「果肉が軟らかくて甘く、食味が良いことを表現」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001573

雲井

 ナシの品種。名字由来netによると雲井さんは全国におよそ980人いらっしゃるようです。
 静岡県より南の暖かい地域での栽培に適しており、果汁が多く甘みがやや少ない品種。名前の由来は「両親の一字ずつをとった」とのこと。ちなみに両親の名前は「石井早生」と「八雲」。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001498
https://myoji-yurai.net/

ゴールド二十世紀

 ナシの品種。名前の派手さでは随一です。
 国内の梨栽培地帯での栽培に適しており、「二十世紀」と呼ばれる品種に黒斑病の抵抗性を高めた品種。名前の由来は「『二十世紀』の黒斑病抵抗性を高めた、金のように価値のある品種を表す」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001512

てるのか

 イチゴの品種。由来が全く想像できないという意味において高性能な名前です。
 全国の促成栽培地帯での栽培に適しており、うどんこ病に極めて強く皮が強いため輸送に強く日持ちがする品種。名前の由来は「電照栽培に適するとともに、光沢・香気に富む果実をつける品種の意(照香)」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001318

ひみこ

 イチゴの品種。ひらがな表記でもすぐ分かる邪馬台国の有名人です。
 関東より西の一部従来種の栽培地域での栽培に適しており、病気に強くて収穫量が多く味が良い品種。名前の由来は「鮮やかな緋赤色、香気に富み、九州で育成により、邪馬台国の女王にあやかった」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001317

 いかがでしたでしょうか。名前というのはジャンルによってそれぞれ独特な雰囲気を漂わせていたリいなかったりするものですが、農作物の品種もまた、独特な理屈で名前がつけられているように思いました。

 それでは今回はこの辺で。次回は「蔬菜そさい」から選んだものをご紹介します。


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