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ダチョウ倶楽部からトリオの利点を何となく考えてみたんです

 先日、「アメトーーク!」にて「ダチョウ倶楽部を考えよう2時間SP」が放送されました。ちなみに私、以前にもnoteでダチョウ倶楽部について書きました。

 そして、今回、番組を見て改めてダチョウ倶楽部についてあれこれ思いましたので、もう少し書いてみようと思い立ちました。

 上島さんがいらっしゃった頃のダチョウ倶楽部は極端にトリオに特化したグループだったと思います。もちろん、他にもトリオのグループは多くいます。ただ、ネタはともかく、それ以外の現場になるとダチョウ倶楽部のように、3人の見事なコンビネーションで同じギャグをやったり、同じリアクション芸をやったりするグループは皆無に近い。

 先日のアメトーークではコンビとなったダチョウ倶楽部が新たなネタを披露していました。まだ手探りながらも、きちんと考えられた芸で場をわかし、ベテランの力を見せつけられた思いです。同時に、これまでやってきたくだりがうまく回らなかったりする場面を見ると、ダチョウ倶楽部がいかにトリオの利点を最大限に出せるよう追及してきたかを改めて感じさせられました。

 彼らが利用したトリオの利点とは何か。あげればキリがないでしょうが、彼らに最も恩恵があったもののひとつに「もめごとの種類が増す」というものがあるでしょう。

 お笑い芸人と言えば最近はコンビが圧倒的に多いですけれども、コンビが揉めるとなるとどうしても1対1のケンカになりがちです。これが3人となるともめごとに多くのバリエーションが出てきます。例えば、1対1のケンカとそれを仲裁する人があります。似たような形として1対1のケンカとそれを傍観する人というパターンもあります。

 他にも例えば2対1のもめごとがございます。おでんのくだりがその典型ですね。上島さんを寺門さんが羽交い絞めにし、肥後さんが上島さんにおでんを近づけるわけです。あとはひとりを仲間外れにするパターンも使われていましたね。熱湯を前にいつものくだりをしようとする上島さんを裏切り、肥後さんと寺門さんが先に熱湯へ入ってしまう、などなど。もちろん、ただの仲間はずれには終わらせず、番組のラストでは上島さんが他のふたりに説教するというコントを持ってくる。

 いわゆる「どうぞどうぞ」のくだりもトリオならではのもめごとをうまく活用した好例でしょう。アメトーークでも解説された通り、もともとはテレビ番組「ナイナイナ」にて偶然生まれたもので、最初はダチョウ倶楽部以外の人も参加していました。きっとダチョウ倶楽部はそのくだりを研究し、3人でもギリ成り立つと判断したため、彼らを代表するギャグにまで仕立て上げられたのだと思います。

 それに関連してダチョウ倶楽部が活用したトリオの利点に団体感があると思います。団体感。勢いで新しい言葉をひねり出してしまいましたが、コンビよりもひとり多いから団体っぽさがでるという当たり前の概念です。

 先ほども書きました通り、もめごとひとつ取ってもコンビだとどうしても1対1の関係性になってしまいますが、トリオだとその関係性が一気に複雑化します。つまり、うまく出来上がったトリオのくだりは、その複雑性をきちんと整理できているがゆえに、より多くの人が加わってもうまくいきやすいのではないか。私は勝手にそう思っています。

 「どうぞどうぞ」が3人以上で成り立つくだりだと先ほど書きました。それは、くだりの中心人物となる上島さんに対し、残りふたりが「その他大勢」になれるからです。ひとりで「その他大勢」にはなれませんし、逆に多ければ多いほど「その他大勢」としては文字通り不足がない。言い換えれば、ダチョウ倶楽部だけでもできるし、周囲を巻き込んでもできる、便利なくだりとなります。

 上島さんが地面を蹴ると反動で周囲のみんなが跳ねる、いわゆる「ジャンプ芸」もまた同様です。コンビだと跳ねてくれる人が相方ひとりだけとなり、「その他大勢」には見えづらい。トリオなら残されたふたりが「その他大勢」として跳ねることができる。もちろん、ジャンプする人が多い分には問題がありません。

 トリオになると団体感が一気に出しやすくなるため、周囲の人を巻き込んだくだりも作りやすかったのではないか。テレビを見ながら私はそんなことをひとり考えていました。翌朝、強烈な肩こりで目を覚ましたのは決して無関係ではないと思っています。

 このたび、ダチョウ倶楽部はコンビとして活動することとなりました。しかし、ダチョウ倶楽部の芸は今も変わらず多くの人が知っていますから、これからも世間はダチョウ倶楽部を楽しんでいくと思います。もちろん、それはトリオで頑張ってきた今までがあったからでしょう。今まで築いてきたものは、ちょっと形は変わるとは思いますが、まだまだ世間を楽しませてくれるでしょうし、何なら今までにない芸が生まれるきっかけになっているのかもしれません。

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