見出し画像

M-1グランプリ2023予選動画感想 3回戦11月8日その4

 M-1予選の時期になると、備忘録的な感じで感想を書き、書いたら書いたで勿体なくなってネットに載せるという癖が毎年蘇ります。そして、今年も蘇らせてしまいました。よろしくお願いいたします。

 今回はM-1グランプリ2023年の11月8日に開催された予選3回戦動画に登場した芸人の感想となります。なかなかのボリュームとなっておりますが、よろしければどうぞご覧ください。


1.ドンココ/スーパーサイズ・ミー/熟瓜リコピン

1-1.ドンココ

 父に故郷のナイジェリアでの散骨をお願いされたネタです。
 父親がナイジェリア人のハーフで兄弟という特徴を総動員した形となっています。特徴の使い方としてはかなり真っ直ぐな印象です。

1-2.スーパーサイズ・ミー

 相方に男女の人間ドラマを見せつけるネタです。
 真剣な演技をしているふたりに対し、ひとりは変に冷静という比較で笑わせる形となっています。もちろん、オーバーな演技自体でも笑える要素はございます。

1-3.熟瓜リコピン

 父上の治療費を捻出するために春を売ろうとするネタです。
 独特な入りからギリギリを狙ったテーマでとにかく叫ぶ形となっています。説明的なしゃべりが多い特徴もございます。

2.鶴亀/アマレス兄弟/スロウライダー

2-1.鶴亀

 バイトの面接をせずに働こうとするネタです。
 「面接に受かった7年後にいきなり働きに来る」をベースに話が展開していきます。この出だしが最も特徴がございまして、あとは比較的オーソドックスな形と言えます。

2-2.アマレス兄弟

 アマレスの試合をするネタです。
 解説をしながら試合をするんですが、予想外な展開で相手がドンドン有利になってしまう形となっています。「ただ試合をしにきた」というスタンスを貫くことでも笑いを誘う形となっています。

2-3.スロウライダー

 パン屋をやってみるネタです。
 ボケが店員になる形の、お店のネタのオーソドックスな形だと考えられます。序盤に張った伏線を後半で回収する形もまた最近ではオーソドックスと言えます。

3.ザ・ギター/ランフィッシュ/ウバーバ

3-1.ザ・ギター

 ボンドについてそこまで信用していないと主張するネタです。
 非常に範囲の狭いテーマを掘り下げていく形となっています。後半ではアロンアルファを登場させ、比較で笑わせようと試みています。

3-2.ランフィッシュ

 バカが変なアドバイスをするネタです。
 「俺バカだからさ」と前置きして本当にバカなことを言う、という形を基本として話を進めるネタです。テーマは女性医師に一目惚れをしてしまい、バカな相方に相談をする、というものになっており、それに沿ってバカを終始貫いています。

3-3.ウバーバ

 偶然見かけた元カノの自転車を撤去してもらったネタです。
 全体を通して何の脈絡もなく変な現象が起こり続ける形となっていて、普通の立ち話みたいにしゃべっていながら、場面は一貫して混沌へ突き進んでいます。スタイルはしゃべくり漫才なんですが、内容がたちまちよく分からなくなるネタです。

4.デニス/周遊/鬼越トマホーク

4-1.デニス

 様々なドラマの海外リメイク版を考えてみるネタです。
 昔の日本ドラマが海外リメイクされていると言って、特定の国や地方にローカライズしておかしくなった作品を次々と紹介していく形となっています。ボケの外見を考慮し、中東が強めとなっています。

4-2.周遊

 ナンパをしてみるネタです。
 ナンパをしてみたら変な人だったという、王道寄りのテーマとなっています。ダメかと思ったら全然OKさったり、土地にかなり無茶苦茶な偏見を持っていたりと、特定のくだりを繰り返してウケを狙っているものと考えられます。

4-3.鬼越トマホーク

 同窓会に行く行かないで喧嘩するネタです。
 喧嘩しながら現れて、そのまま言い争いを笑ってもらう形となっています。怒鳴り合いながらも明らかにおかしな言い回しを用いたり、変に冷静だったりすることで笑いを誘っています。意外と相方に手を出さなかったりと、やりすぎないよう調整しているように見えます。

5.じぐざぐ/世界クジラ/にぼしいわし

5-1.じぐざぐ

 恥ずかしいことを話すネタです。
 ボケはチャンスがあればすかさずダジャレを挟み込んでくるスタイルで、特に今回は椎名桔平さんを多用しています。繰り返しも軽いノリでここまでやられると特殊なおかしさがにじみ出て参りますし、椎名桔平さんのダジャレ自体も発展させることで単調さを払拭しています。

5-2.世界クジラ

 ハリーポッターのハーマイオニーのモノマネを繰り返し続けるネタです。
 ずっとハーマイオニーのモノマネをしながらも、微妙な変化から何が起きているのかを相方が推測していく形となっています。全体的な話の流れはあまり一貫性がなく、「ハーマイオニーがどんな状態なのか」に焦点を当て、その状況の変化で笑いを誘っています。

5-3.にぼしいわし

 音楽なしで歌っているネタです。
 序盤は文学的な独白に対して、相方が脱力気味の指摘をするわけですが、やがて相方はその独白の状態を「音楽がないだけで歌っている」状態だと指摘し、以降は歌っているかどうかをしゃべりの内容で判別するという、非常に独特な形となっています。そんな特殊な形ではありますが、いわゆる「あるある」を間に挟むなどして観客を置いて行かないよう調整しています。

6.まんじゅう大帝国/オダウエダ/Let Me Show You THE まごころ

6-1.まんじゅう大帝国

 オセロが好きだから生活の様々な場面で角を重視するネタです。
 最初はオセロのために角を重視する生活を送る話をし、角っぽい別の言葉を登場させて話を変化させています。オセロを上達させるために見当違いなことばかりしている点を笑ってもらうことでは一貫しています。

6-2.オダウエダ

 今はない中華料理店を再現するネタです。
 変な店員が変な料理を振る舞うまでは王道的な形でございますけれども、コントをしている場面が相方の頭の中に存在する世界と定義してしまうところが独特です。その定義は後半、変な店員に追いかけられる場面で活きており、「現実に戻ることで逃げ切りを図るも失敗する」などの場面で活用されています。

6-3.Let Me Show You THE まごころ

 相方に誕生日に料理を振る舞うネタです。
 歌やリズム、独特な言い方がネタの大半を占める独特な形となっています。似たような別の言葉を繋げる方法は比較的オーソドックスな形であり、観客を置いてけぼりにしない仕組みにもなっていると思われます。

7.ぽんぽこ/太鵬/リニア

7-1.ぽんぽこ

 知らないおじさんに腕を噛まれ、復讐を試みるネタです。
 冒頭から理解が難しい話が続いていくわけなんですが、ボケのキャラクターも相まってそこまで不自然に聞こえないという、独特なスタイルとなっています。明るくしゃべるため、物騒なセリフがそこまで怖く聞こえず、ギャップで笑わす効果も期待できるものと考えられます。

7-2.太鵬

 世界で活躍する日本人F1レーサーをやってみるネタです。
 ストーリーに沿って掛け合いが繰り返されるオーソドックスな形となっています。ボケやツッコミの形を次々に変化させ、観客の退屈を防ごうと試みています。

7-3.リニア

 人の意見に流されず、自分の意見を言えるようトレーニングするネタです。
 冒頭でボケが「人の意見に流されやすい」という悩みを告白し、実際に流されやすいところを観客に見せ、ツッコミ主導でトレーニングを重ねて自分の意見を言えるようになった途端、ツッコミがやりづらさを感じてやっぱりボケに自分の意見を言わせないようにするという流れになっています。「自分の意見は持った方がいい」という一般論は支持するものの、いざ自分にとって不都合な意見を言われるとその支持を反故にするという、人の心理をうまく突いた形となっています。終盤、ツッコミが無茶苦茶なことを言っているようにも聞こえるんですが、でも何となく気持ちが分かる、その共感が大きな笑いに繋がったものと考えられます。

 今回の感想は以上になります。ではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?