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M-1グランプリ2023予選動画感想 準々決勝その4

 M-1予選の時期になると、備忘録的な感じで感想を書き、書いたら書いたで勿体なくなってネットに載せるという癖が毎年蘇ります。そして、今年も蘇らせてしまいました。よろしくお願いいたします。

 今回はM-1グランプリ2023年の準々決勝動画に登場した芸人の感想となります。五十音順に書いておりまして、なかなかのボリュームとなっておりますが、よろしければどうぞご覧ください。


1.大仰天

 彼女のご両親に結婚の挨拶をする練習をするために、まずお父さんの練習をするネタです。
 コントに入るくだりとして「何かの練習をする」というものがございますが、更にそのコントに入る練習をするという、二重構造になっています。構造の性質上のものなのか、助走が長くなっておりまして、主な笑いどころが終盤の集中しているのが特徴です。

2.ダイヤモンド

 雑誌の発売日の覚え方を披露するネタです。
 「ツッコミが発売日に応じた位置に移動する」という形をひたすら繰り返していきます。ただ発売日を言うだけですとそこまで面白くはならないと思われますが、発売日に応じた場所に移動するシステムがまず笑いに繋がり、発売日の発表自体も同じものを繰り返して急に外したり、全く違うものを持ってきたり、自虐に近い要素を入れたりとかなり多彩です。

3.ダウ90000

 初デートに行く場所を考えるネタです。
 「エピソードトークを体験した本人ではなく別の人が話す」というシステム活用していく形となっています。ボケ4人の会話が自然で、いろんな人に話が飛ぶ割に見やすくなっています。

4.滝音

 おばあちゃんの話をするネタです。
 飄々としたボケとと独特なワードを活用するツッコミが特徴です。ボケの出所がとにかく見えず、ツッコミの言葉遣いが多彩で予想がつかない性質が笑いに大きく寄与しているものと考えられます。

5.ダブルヒガシ

 マンションの住民に引っ越しの挨拶へ行くネタです。
 ボケとツッコミが入れ替わっていく形ではあるんですが、「マンションの住民をふたりで手分けして挨拶しに行く」という前提条件を組み込むことで、ボケとツッコミが入れ替わる必然性を出している点が、これまでに披露されてきた「ボケとツッコミが入れ替わるスタイル」と大きく異なる点です。ボケに当たる人がマンションの変わった住民を演じることで、一度もコントから出ずにボケとツッコミの入れ替えるため、自然にネタへ入っていける効果を生み出していると考えられます。

6.男性ブランコ

 ピザ屋さんをやってみるネタです。
 焼くのを失敗するまでの過程で変化をつけ、笑ってもらう形となっています。ピザに寄せた語尾、焼けるまでの余計な言動、挽回のチャンスをもらおうとする行為など、ひとつのくだりがいくつかのパートに分かれており、くだりを繰り返すたびにそれぞれのパートで変化をつけています。

7.ちゃんぴおんず

 ちょんってするネタです。
 リズムに合わせて歳の差をいろんな言葉で表していく形がメインとなっております。あとはそのリズムネタを変形させたり、自分たちを賑やかしだと自称したりしています。

8.チューリップフィクサー

 早口言葉をするネタです。
 物騒な早口言葉をしたり、ひたすら同じ早口言葉をしたりし、ワチャワチャするところを楽しんでもらう形となっています。ボケのキャラクターが非常に特徴的であるため、当然ながらそれを活かそうとしています。

9.ツートライブ

 自転車の立ちこぎをやめさせるネタです。
 立ちこぎをものすごくヤバいものであるかのようにいい、あの手この手で辞めさせようとするおかしさを楽しんでもらう形となっています。何にもヤバくないものをヤバいものとして扱う手法はオーソドックスではございますけれども、遅刻を叱ると思いきや立ちこぎをやめさせようとする冒頭で観客の興味をグッと引き寄せる手腕が特筆すべき点です。

10.TCクラクション

 新しいキャラクターをつけようと、語尾を変えてみるネタです。
 「~でやんす」など語尾のイメージをうまく活用した形となっており、イメージ通りの用法から単なる偏見まで使い分けております。キャラクターの設定を語尾1点に絞ることで観客に分かりやすいおかしさを作り上げています。

11.THIS IS パン

 相方のために飲み会をセッティングするネタです。
 男女を無理矢理くっつけようとする友人という、よくある人物をとにかく馬鹿馬鹿しく演じきっております。後半はキューピッド役が入れ替わり、展開を早くすることで変化をつけています。

12.デルマパンゲ

 眠れない時に数える羊のイメージについてあれこれ言うネタです。
 ボケがちょっとした疑問を投げかけるとツッコミが回答し、その回答に対して更にボケが疑問を投げかけるという問答を繰り返していくうちによく分からない話になっていくところを笑ってもらう形になっています。ツッコミの回答がちゃんとしているようでいて理屈に穴があり、そこをボケが突くところが非常に自然で、笑いに繋がっています。

13.天才ピアニスト

 知り合いの社長からカニをもらうか牛肉をもらうか決めるネタです。
 「どっちでもいい」と言いつつ、言動からカニがよさそうな雰囲気を出すシステムをベースに最後までいく形となっています。パッと見では分からないものをツッコミが次々に捕まえていく姿を笑ってもらう意図が恐らくは存在し、思った通りの結果が出ているものと考えられます。

14.東京ホテイソン

 英語の必殺技をやってみるネタです。
 ツッコミに特定の形を持つスタイルです。それだけだと単調になりがちとの判断からか、エネルギーを貯めている相方をいじる形も作って変化をつけています。

15.とらふぐ

 ふたりのヤバさの違いを比較するネタです。
 スタート地点は「デートで奢ってもらう女性の主張に腹を立てる」ですが、そこからふたりのヤバさを端的な言葉で表現するくだりにうつり、後半では前半の伏線を次々と回収してきます。しゃべくり漫才の利点を活用し、自然な流れで話題を移行させることに成功しています。

 今回の感想は以上となります。ではまた。

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