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本当にある不思議な農作物品種名④ 蔬菜編

 何となく農作物の品種名の一覧を見ていたんです。そうしたら、ちょこちょこ不思議な名前があったので、つい集めてしまいました。集めたら誰かに見せたくなる。私としてはいつものパターンにハマり、役立つ情報かどうかなんて全然検討せず、こうやって皆様にご紹介する形を選びました。いつもご迷惑をおかけしております。

 参考にしたのは農林認定品種データベースです。

 上記サイトに載っている品種のうち、今回は「蔬菜そさい」から個人的に不思議だなあと感じる名前を選んでみました。ちなみに蔬菜は野菜とほぼ同じ意味だそうです。では、早速参ります。

あきめき

 ハクサイの品種。何かの擬音にも見えます。
 北海道から九州での栽培に適しており、病気に強いため少ない農薬での栽培が可能な品種。名前の由来は「ハクサイの消費が拡大し始める「秋」と、兆しやはじまりを意味する「めく」を合わせた」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001914

あのみのり

 ナスの品種。早口言葉の一部分かのようです。
 関東より北の半促成栽培(前半はハウス内で、後半はハウスのカバーを取り除いて育てること)地域での栽培に適しており、結実を促進する処理が不要で枝を整えるのが楽な品種。名前の由来は「『あの』で育成地・三重県安濃(あのう)を表現し、省力的栽培でも収穫できる(みのる)ことを『みのり』で表現した」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001366
https://www.weblio.jp/content/半促成栽培

アシスト

 ナスの品種。どこでどうするのかは分かりませんが、とにかくアシストするようです。
 東海・近畿より西での栽培に適しており、病気に強く収穫量が多いなど育てるのが容易な品種。名前の由来は「穂木を助けるの意」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001364

リコボール

 トマトの品種。ボールと付いているためか、とにかく球状の工業製品に見える名前です。
 中部地域より北での栽培に適しており、リコピンの含有量が高く収穫量に優れた品種。名前の由来は今のところ不明ですが、リコピンが関わっていそうです。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001360

ホールファイン

 トマトの品種。「良い穴(hole)」かと思いそうになりますが、「そういやあ、トマトだからホールトマトのほうのホール(whole)だよな」と思い直す。私にとってはそんな名前です。
 中部地域より北での栽培に適しており、果実が硬く皮をむいた後の品質に優れた品種。名前の由来は「ホールトマトとしての加工適性が優れることを示した」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001359

らくゆたか

 トマトの品種。自治体の施設みたいな名前です。温泉とかそういうリラックスできる系の。
 中部高冷地での栽培に適しており、収穫量が多くジュース加工を前提とした品種。名前の由来は「楽に収穫でき、豊産性であることを表す」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001358

春麗

 トマトの品種。名前がもろにストリートファイターです。中国の刑事ですが、格好が極めて刑事っぽくない女性格闘家です。
 近畿・中部・関東・東北地方のハウス栽培地域での栽培に適しており、見た目が綺麗で生食用に適した品種。名前の由来は「果実が美しいことと、春に出荷されるような半促成栽培で最も能力を発揮することを表す」とのこと。ちなみに読みは「しゅんれい」で、ストリートファイターの春麗よりも登場が先です。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001341

たのも

 トマトの品種。道場破りでの一言を彷彿とさせます。
 特定の病害が多い地域での栽培に適しており、葉カビ病などに極めて強い品種。名前の由来は「育成地(塩尻)を「たのもの里)というに由来する。また広く適し、たのもしいの意」とのこと。ちなみに、検索しても塩尻に「たのもの里」はなく、代わりに「憑(たのめ)の里」はありました。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001337
http://www.shiojiri.info/~ryouono/modules/tinyd0/index.php?id=27

つかま

 トマトの品種。諸事情により言いたいことを言いきれず、途中で止まってしまったかのようです。
 特定の病害が多い地域での栽培に適しており、多湿の土壌で大きな実をつける生食用の品種。名前の由来は「育成地の松本一帯を「つかまの里」と呼ぶことによる」とのこと。こちらはちゃんと検索で「筑摩(つかま)」が出てきます。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001335

久留米ピンク

 トマトの品種。名前だけなら久留米レンジャーの一員です。
 特定の病害が多い地域での栽培に適しており、病気に抵抗性を持った生食用の品種。名前の由来は「桃紅の果色と育生地(久留米)を表す」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001345

アールス輝

 メロンの品種。ご両親のどちらかが海外出身の役者っぽい名前です。
 全国のメロン栽培地域での栽培に適しており、害虫のワタアブラムシやいくつかの病気に抵抗性があり香りと糖度が高い品種。名前の由来は「太陽の輝きを受け、おいしく育った輝くようなアールス系メロン」とのこと。他にもアールス一門がいくつかある模様。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001382

台パワー

 トウガラシの品種。私もいろんなパワーを見てきましたが、初めて見るパワーです。
 全国のトウガラシ類栽培地域での栽培に適しており、病気に抵抗性がある品種。名前の由来は「複数の病害に力(パワー)を発揮する台木用品種であることを表現したものである」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001884

サラダオカメ

 ヤーコンの品種。サラダとオカメの思わぬコラボレーションです。
 寒高冷地での栽培に適しており、塊根の糖含有量が高く、収量が多い品種。名前の由来は「サラダに適し、イモの形がゴツゴツしていることから」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001406

ウリズン

 シカクマメの品種。新種の哺乳類みたいな名前です。
 亜熱帯地域での栽培に適しており、収穫までの日数が従来の種類より非常に短く収穫量が多い品種。名前の由来は「沖縄の方言で「若夏」(4~5月)をさす。極早生で夏に採れるの意」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001416

クエルリッチ

 タマネギの品種。たくさん食べられそうだったり、高級そうだったり、あれこれ想像させる名前です。
 春まき露地移植栽培地帯での栽培に適しており、抗酸化作用・抗炎症作用・抗動脈硬化作用で知られる「ケルセチン(quercetin:クェルセチンとも)」含有量が安定して高い品種。名前の由来は「ケルセチンを豊富に含むたまねぎの意。Quer-rich」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001401
https://ja.wikipedia.org/wiki/クェルセチン

フラヌイ

 タマネギの品種。不知火の親戚に見えます。発音が似ているだけですが。
 北海道の上川地方を中心とした地帯での栽培に適しており、形が一定で貯蔵性に優れた品種。名前の由来は「普及対象地帯である乾腐病多発地の富良野のアイヌ名にちなむとともに、父系統が富良野の系統に由来することを表す」とのこと。

参考
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/4010001394

 いかがでしたでしょうか。名前というのはジャンルによってそれぞれ独特な雰囲気を漂わせていたリいなかったりするものですが、農作物の品種もまた、独特な理屈で名前がつけられているように思いました。

 それでは今回はこの辺で。次回は「花卉かき・飼料作物・蚕糸業」から選んだものをご紹介します。

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