見出し画像

正確な時刻を示そうとしない時計たち

 友人がスマートウォッチを私に見せてきました。何でも、血圧を測るために買ったとのこと。他にも心拍数や体温も測れるそうで、なかなかに多機能なようです。

 しかし、時間が5分遅れてるんです。友人に理由を聞いても「分からない」とのこと。バグってるのが時計なのか友人なのかは分かりませんが、どう設定しても必ず5分キッチリ遅れてしまうそうです。

 せっかくのスマートウォッチなのに随分不便そうな時計だなあと友人に感想を漏らしますと、友人は「いや、ちょうど5分遅れてるんだから、それを頭に入れて使えばいい」と涼しい顔です。「それに、合ってる時計はその辺にいくらでもある」とか言ってて、スマートウォッチ漫談でも聞かされてる気分になりました。

 人のことを偉そうに言える立場にありません。私はイベントの景品でもらった置時計を使っています。電池で針が動く、ゴリゴリのアナログ時計です。最新鋭のスマートウォッチとは対極の位置にあると言ってもいい。

 この置時計がどれだけ時刻を合わせても、気づくとちょうど5分進んでるんです。理由はよく分かりませんが、いつの間にかそんな機能がついていました。まあ、その時計に従えば、早く家を出ることはあっても遅刻することはない。というわけで、私はその時計を今も使っています。

 最新鋭の時計は5分遅れ、伝統的な時計は5分進んでいる。なんか落語のオチみたいな話だなあと思いましたが、たぶんそんな落語はありません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?