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題名読書感想文:01 似たもの濃度の高い言葉

 似たものは見分けがつきにくい。当たり前の話ですけれども、それだけ我々は似たものに惑わされているとも言えます。

 例えば、私、以前に絵本作家のヨシタケシンスケさんの名前を間違って覚えていたどころか、その間違いも数パターンあったという、大変失礼な話をnoteに書きました。

 私は「ヨシタニ」と「ヨシタケ」の区別に加えて「シンスケ」と「ケンスケ」の区別もついていませんでした。名字2種類、名前2種類。つまり、考えられる間違いは3パターンとなります。

ヨシタニシンスケ
ヨシタケシンスケ(正解)
ヨシタニケンスケ
ヨシタケケンスケ

 ちなみに、今も正解を1番上に書こうとしてこうなったと正直に告白いたします。

 私の友人にも似たような症状に陥っている方がいまして、彼は次の芸能人がいつもごっちゃになると訴えております。

ふじいあきら
ふじいたかし(藤井隆)
ふじきなおひと(藤木直人)
うじきつよし

 ヨシタケシンスケさんの場合は見た目も似ていますが、友人によりますと上記の4名は音として聞くとよく分からなくなるんだそうです。確かに、パッと言われるとトランプを吐き出す人だったか「HOT!HOT!」言ってた人だったか、一瞬、判断に迷います。主な原因は名字でしょう。「ふじい」「ふじき」「うじき」という似た者同士のお陰で、下の名前が多少違っていようと混乱を生じさせるんです。

 この場合は名字が3種類、名前が4種類です。せっかくなので全パターン作ってみました。3×4=12パターンですね。

ふじいあきら(正解)
ふじいたかし(正解)
ふじいなおひと
ふじいつよし
ふじきあきら
ふじきたかし
ふじきなおひと(正解)
ふじきつよし
うじきあきら
うじきたかし
うじきなおひと
うじきつよし(正解)

 上記一覧を例の友人に見せたら地獄突きとかされそうなので、ここへ載せるだけに留めておきます。

 そう言えば、私の母は恐ろしいほど字が雑で、冷蔵庫に貼ってあるメモ書きは全て暗号化されているようなものでした。本人もたまに読めなくなるんですから、本当にどうしようもありません。

 母のような雑字人間の天敵と言えば「ガソリン」です。母は雑に書けば書くほどソとリとンの区別がなくなる人でございまして、「ガリリリ」だったり「ガソソソ」だったりしていました。もちろん、正解はガソリンです。

 いや、しかし待ってもらいたい。ガソリンが正解だなんて、ただの先入観です。別の言葉だった可能性もある。調査のため、こちらも全パターン作ってみました。間違えやすい文字は3種類、それが3つ続くんで3×3×3=27パターンですね。

ガリリリ ガリリソ ガリリン
ガリソリ ガリソソ ガリソン
ガリンリ ガリンソ ガリンン
ガソリリ ガソリソ ガソリン
ガソソリ ガソソソ ガソソン
ガソンリ ガソンソ ガソンン
ガンリリ ガンリソ ガンリン
ガンソリ ガンソソ ガンソン
ガンンリ ガンンソ ガンンン

 ひょっとすると入力ミスで全パターン揃ってないかもしれませんが、確認する気が全然起きませんので、ご勘弁くださればと存じます。

 ガソリン以外でありそうなのは、ガリソンですね。人名です。ギャリソンと表記する場合もあるようです。ガンリンですと、眼輪筋という筋肉があるようですが、残念ながら「眼輪」という単語はないようです。

 ガソリンのようにソとリとンが高濃度で含まれる単語もまた雑に書くと何が何だか分からなくなることでしょう。私がまず思い浮かんだのが吉本興業所属のピン芸人、ガリガリガリクソンさんです。「リ」「ソ」「ン」のどれかを5文字使っている。つまり、雑字人間が書くと3×3×3×3×3=243パターンの名前を生じさせる可能性がある。

 更に上を行くのがアメリカのミュージシャン、マリリン・マンソンさんです。3×3×3×3×3×3=729パターン。これ以上、たまたま「リ」「ソ」「ン」がたくさん使われた単語を見つけるのは難しそうです。

 そもそも、見分けがつきづらい言葉が珍しいんです。だから、見つかると「ややこしいなあ」と思うと同時にちょっと嬉しくもなるんです。先日も本屋をうろついておりますと、こんなタイトルの本がございました。「島の鳥類学―南西諸島の鳥をめぐる自然史」です。

 もちろん、ポイントは「島」と「鳥」です。著者は大学教授であり、書籍は専門書のようですから、「『島』と『鳥』を多用したタイトルにして世間を混乱に陥れてやろう」なんてアホの愉快犯みたいな考えでつけられたタイトルではない。真面目に考えた結果、なんかややこしくなってしまった、いわゆる天然ものです。

 間違えやすい文字は「島」と「鳥」の2種類で、それがタイトルに4カ所含まれています。つまり、2×2×2×2=16パターンです。マリリン・マンソンどころかガソリンにも及ばない数ではありますが、全種類を載せるとなかなか圧巻です。

島の島類学―南西諸島の島をめぐる自然史―
島の島類学―南西諸島の鳥をめぐる自然史―
島の島類学―南西諸鳥の島をめぐる自然史―
島の島類学―南西諸鳥の鳥をめぐる自然史―
島の鳥類学―南西諸島の島をめぐる自然史―
島の鳥類学―南西諸島の鳥をめぐる自然史―(正解)
島の鳥類学―南西諸鳥の島をめぐる自然史―
島の鳥類学―南西諸鳥の鳥をめぐる自然史―
鳥の島類学―南西諸島の島をめぐる自然史―
鳥の島類学―南西諸島の鳥をめぐる自然史―
鳥の島類学―南西諸鳥の島をめぐる自然史―
鳥の島類学―南西諸鳥の鳥をめぐる自然史―
鳥の鳥類学―南西諸島の島をめぐる自然史―
鳥の鳥類学―南西諸島の鳥をめぐる自然史―
鳥の鳥類学―南西諸鳥の島をめぐる自然史―
鳥の鳥類学―南西諸鳥の鳥をめぐる自然史―

 こんな感じで、タイトルだけ熟読して満足してしまう「読書」をやらかす時がたまにあります。今後も忘れた頃にそんな話を書くかもしれません。その際は、よろしくお願いします。

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