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M-1グランプリ2023予選動画感想 準々決勝その2

 M-1予選の時期になると、備忘録的な感じで感想を書き、書いたら書いたで勿体なくなってネットに載せるという癖が毎年蘇ります。そして、今年も蘇らせてしまいました。よろしくお願いいたします。

 今回はM-1グランプリ2023年の準々決勝動画に登場した芸人の感想となります。五十音順に書いておりまして、なかなかのボリュームとなっておりますが、よろしければどうぞご覧ください。


1.からし蓮根

 レンタル彼氏をやってみるネタです。
 特定のストーリーに沿ってボケとツッコミを繰り返していくオーソドックスな形がベースとなっています。不意を突く笑いが大いにハマっておりまして、前半の背の高さを気にする箇所と後半のレンタル自転車の料金で何かに気づこうとする箇所が該当します。

2.カラタチ

 アイドルオタクとアニメオタクが互いの現状を言い合うネタです。
 2種類のオタクというキャラクターを観客に提示し、以降はそのキャラクターに則って話を展開していくわけなんですが、ちゃんとした独自性のある「あるある」やズレてるけど言いたいことはよく分かるというお笑い的には適した例えをうまく駆使している点が特徴です。比較的新しく、かつ広範に流布した言葉を違和感なくネタに組み込んでいるところも特筆すべき点であり、動きが少ない分、言葉遣いの卓越性で笑いを取っています。

3.祇園

 妻からお使いを頼まれるネタです。
 前半はおよそみっつのものを頼まれ、その不穏な組み合わせから不穏な連想をすることで笑ってもらう形を続けます。買い忘れたり、買うものが増えたり減らされたりと若干の変化を見せつつ、終盤で妻に狙われていることを知っているがゆえの買い忘れだと種明かしすることで、前半の奇妙な買い方を伏線として回収していきます。終盤のどんでん返しがしっかり決まっている印象です。

4.きっと君はくるさ

 趣味でドミノを並べている人の家に彼女が遊びに来るネタです。
 特殊な人にまともな彼女が付き合う形となっています。簡単な表現で端的に、しかし観客の予想をしっかり裏切るツッコミが非常に印象的でした。これははたから見ているより相当難しいはずです。

5.きつね日和

 相方の顔を絵描き歌にするネタです。
 熱量高めの、特定の形でツッコむスタイルを特徴としています。絵描き歌に採用するものを一通り聞いて、そこから連想されるものをツッコむ形となっています。いくつかの絵描き歌を並べるという基本形に、ツッコミのタイミングや歌に採用されるものなどを変えてゆくことで単調さを防ごうとしています。

6.キュウ

 たくさんの肩書を抱え込んでいる人のネタです。
 「〇〇じゃねえんだからよ」という基本的なツッコミの、〇〇のところに誰も聞いたことのない肩書を入れ込んでみたものの、実はボケがその〇〇だった、という形を基本形として、他にも特殊な肩書を抱え込んだり、その肩書は持っていなかったり、言われたものに近いけど別の肩書を持っていたりと変化をつけて行きます。多くの肩書が出てくると、今度はそれぞれの肩書が矛盾するような現象が起こるなど互いに影響しあう混沌へと突入していきます。下手すると訳が分からなくなる構成となっていますが、肩書の名前が「ハングリーマン」だったり「ザ・忍耐」だったりと、身も蓋もないほど分かりやすい名前を敢えて採用することで対応できています。

7.9番街レトロ

 落としたプライドを探すネタです。
 「落ちているプライドを拾って相方に入れると、そのプライドに応じた発言をする」という独特なシステムを用いています。途中からは「こっちのほうは若い人が言いそうなプライド」などの法則性を出すなどして変化させています。独自システムに入るまでの流れに気を遣っており、日常的な話題を入口にすることで観客が独自システムへ自然に入って来れるようにしています。

8.金魚番長

 女性とのデート中に自慢しているところがあったら指摘してもらうネタです。
 同じ場面を何度か繰り返すわけですが、前回スルーしたボケをツッコんだり、前回失敗したところを雑に成功させたりと、徹底して前やった場面をフリにしていくところが特徴です。「自慢認定されるところがおかしい」という単独でも使えるボケもまたフリのひとつでしかなくなっています。

9.キンボシ

 初心者にゴルフを教えるネタです。
 滅茶苦茶な初心者を相方が訂正するというオーソドックスな形をベースに話が進んでいきます。特に強いのはツッコミの例えで、ちょっと溜めて言うものほど外していません。

10.ぐろう

 傘をよく紛失する人へアドバイスするネタです。
 会話をしながら場面が進行してゆくしゃべくり漫才となっており、前半は傘のアドバイス、後半は相合傘をドーナッツに例える構成です。訳の分からない話をしていると言えばそうなのですが、その中にもキチンとした理屈があり、それが観客の納得と繋がった時に大きな笑いが出ている印象です。

11.黒帯

 トム・クルーズの最後の作品をやってみるネタです。
 翻訳風の会話をしながら引退作品を発表する形を複数回繰り返す構成となっています。「作品がおかしい」という基本を押さえつつ、終盤ではまともそうな作品をフリとして、前に出したおかしな作品の要素を詰め込み、ちょっと特殊な伏線回収をしています。

12.ケビンス

 相方の葬式へ行く練習をするネタです。
 ボケがコントに出てくる全ての人物を担当し、相方がコントの外側からツッコんでいく形となっています。ボケはやたら明るく言動が派手ではありますが人物の使い分けもキチンとやってのけ、ツッコミは自然な言葉遣いでありながらボケのおかしな点を端的に説明しきる手腕がございます。

13.コーツ

 いわゆる「四天王」の一番弱いやつの肩を持つネタです。
 「『やつは四天王の中で最弱』とか悪口を言うなら、そもそもなぜ弱いやつから戦いに行かせるのか」という、観客の納得を誘う疑問を中心に話を展開していきます。ボケが割と正論なのにちゃんとボケの役割を果しており、どちらがボケなのか判断が難しいという特徴があります。

14.サブマごり押し

 相方を未来人だと疑うネタです。
 序盤に伏線をバラまいておき、中盤になってから本題に入り、序盤の伏線を徐々に回収していく形になっています。本題ではツッコミの一発屋としての活動などを陰謀論と繋げつつ、伏線を回収しています。

15.三遊間

 将来設立する高校の名前を考えるネタです。
 名前から連想できることをなるべく具体的に、かつ偏見たっぷりに、それでいてどこか共感を得られるようなものを話していく形となっています。高校の種類は多岐にわたり、伏線回収にも活用しています。

 今回の感想は以上となります。ではまた。

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