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語呂合わせが記憶を阻む

 15年ほど解決できてない問題について書いてみます。

 昔から古文に対する興味がゼロで、授業で覚えさせられた百人一首だって今や一文字も思い出せません。下手したら短歌の文字数すら忘れるレベルです。何首か空で詠めた方が教養があると思われていいですよ、なんて勧められるも、あの歴史的仮名遣いで書かれた文章を見ると力が抜けて、覚えるどころじゃなくなってしまうんです。

 和歌に対してニワトリ以下の記憶力をいかんなく発揮する私に対し、友人が語呂合わせはどうだと提案してきました。古文の授業をやらなくなって久しい私にそこまで覚えさせたい理由は何なのかよく分かりませんが、せっかくの提案ですから乗ってみることにしました。友人が教えてくれた和歌は次の一首です。

憂かりける 人を初瀬の 山おろしよ はげしかれとは 祈らぬものを

 源俊頼朝臣が詠んだとされる歌です。これを友人はこう言いました。「『うっかりハゲ』と覚えなさい」。

 なんという覚え方だと憤る前に説明しますと、「憂かりける」がうっかり担当、「はげしかれとは」がハゲ担当です。いや、「ハゲ担当です」ではありません。なんという覚え方でしょう。友人にそう訴えると、こう返してきました。

「そのほうが覚えやすいじゃん」

 確かに、身も蓋もない表現のほうが覚えやすい。そして、語呂合わせは覚えるためにするものです。下ネタ満載語呂合わせを使って志望校に合格した人も知ってますし、これくらいのほうがいいのかもしれない。

 しかし、問題が生じました。語呂合わせの「うっかりハゲ」ばかり記憶に残って、肝心の和歌が全く頭に入ってこないのです。友人は会うたびに「あの和歌、覚えた?うっかりハゲ」と尋ねてくるも、私は「うっかりハゲ………うっかりハゲ………」と頭を抱えるだけで、全く和歌が思い出せない。友人もしつこいですが、私の忘却力も相当しつこいんです。

 結局、現在に至るまで「うっかりハゲ」だけ記憶に残り、和歌は頭に全く残っておりません。上記の和歌だってネットで検索してようやく見つけたものですし、作者の源俊頼朝臣に至っては読み方すらサッパリです。

 ここに載せておけば少しは覚えやすくなるかなと思い、わずかな望みで書いてみました。もう既に忘れかけてるんで、諦めムード満載ですが。

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