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自分のせいにしすぎたゆえに

 全人類をふたつに分けるとしたら、いろんな分け方があると思います。例えば、人間、何か失敗すると他人のせいにしがちな人と自分のせいにしがちな人がいる。私はどちらかというと自分のせいにしがちです。そう書くとなんかいい格好しているように見られるかもしれませんが、そんなことはありません。ちょっと極端な時があるからです。

 とある商業施設で買い物をしていた時です。買い物をしてようがしてまいが尿意というやつは所かまわず襲ってくる怪物でして、その時もしっかり尿意に襲われた私はトイレへと向かいました。

 トイレはなかなか危険な施設です。入り口が男性用と女性用に分かれているのは当然ではありますが、往々にしてそのふたつ入り口が互いに近いんです。隣同士なんて珍しくない。もちろん、大抵はどっちがどっちか看板などで分かりやすく表示してあるため間違えずに済むんですが、まれにどっちがどっちか分かりにくい作りだったり、私が何か考え事をしていたりすると、1万回に1回くらいの割合でうっかり入り間違えてしまいそうになるんです。実際にやらかしてしまった日には逮捕も免れないわけで、これだけは何としても防ぎたい。うっかりじゃ困るんです。

 その時の私は、やや強めの尿意に焦っておりましたが、幸いにも男性用と女性用の区別がつきやすいタイプの入り口でしたので、ささっと男性用のほうに入りました。あとは己の欲望をぶちまけて、手を洗って出てくれば任務完了です。

 と思ったのですが、トイレに入った私は固まりました。トイレの小さいほうの便器に先客がいたのですが、ピンクのシャツを着ておかっぱの髪型をしていて、体格は少々ふくよかな感じの方でした。「やべっ、いよいよ間違って女性用トイレに入ってしまった」と思いました。もう気分は両手に手錠です。

 しかし、よく見たらおかっぱでピンクのシャツを着た少々ふくよかな男性でした。そもそも小さいほうの便器で立って用を足してるんですから間違いようがないんですが、いつもの癖で自分が間違えたと思ってしまいました。

 いろんなものを自分のせいにする癖は、それはそれで厄介なものです。まあ、全ての災厄は自分のせい、なんて考えからは遥かに遠いレベルですから、特に改善する気もなく現在に至っています。

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