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笑いに関する名言集――お金のあるなし

 名言はたくさんあるのに、笑いに関する名言集がないことに疑問を覚え、こうやって作っている次第です。いや、それでは立派に書き過ぎです。ただ何となくやっているだけです。

 ここでは笑いに関する名言を以下のみっつのどれかに当てはまるものとしました。

・笑いに関係する言葉が入っている名言
・笑いに関係する仕事をした人の名言
・笑う余地がある名言

 今回はお金があったりなかったりしたことに言及している名言を集めました。まずは、イギリス文学のビッグネームが遺した言葉から参ります。

貧乏人けっこう。誰もお前のその貧乏を盗もうとはしないのだから。
ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)、「冬の夜ばなし―四幕三場」

世界名言辞典(明治書院、1966)

 ご存じ、現在に至るまで数百年にもわたって親しまれ続けている作品が大量にあるシェイクスピアの言葉でございます。

 確かに、世に泥棒は数いれど、他人の貧乏を盗む泥棒を聞いたことはありません。「それは泥棒と言うのか?」との疑問がよぎりますけれども、とにかく盗まれないのは事実です。盗まれないからっていいことがなさそうにも思えますが、そこを笑い飛ばすのが重要なのかもしれません。

 お金というものは昔から現在に至るまで存在していますから、最近の人間も当然ながらお金のあるなしに言及しています。例えば、これです。

銀行というのは、カネを借りる必要がないことを証明できる人にだけ、カネを貸す場所だ。
ボブ・ホープ(1903-2003)

アメリカン・ポップ・フレーズ: スーパースター206人名言・迷句(研究社、1996)

 ホープはアメリカ20世紀を代表するコメディアンでございまして、ブロードウェイでの出演はもちろん、映画、テレビ、ラジオ、果ては軍隊への慰安興行まで広く活躍した人物です。

 コメディアンとして長きにわたり一線で活躍したホープもお金に対していろいろ思うことがあったのでしょう。ですから、こんな毒舌をポロッと出すわけです。「返せそうな人に金を貸す」という、貸す側にとって当然の行動を皮肉った言葉ですね。

 続いてはこちら。

僕は3大ネットワークのトークショーをやるような大物なんかじゃないと思う。有名人というのは別な人たちだ――ジョニー・カーソンとかシルベスター・スタローンみたいに。僕なんか、なんとかメシを食っていこうとしているガキにすぎないという感じだな。
デイヴィッド・レターマン(1947- )

アメリカン・ポップ・フレーズ: スーパースター206人名言・迷句(研究社、1996)

 レターマンは現代アメリカを代表するコメディアンのひとりでございまして、アメリカ3大ネットワーク「NBC」「ABC」「CBS」の一角でございますCBSで30年にわたってトーク番組「レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・レターマン」の司会をやっていることでも知られます。

 レターマンが言及しているカーソンは著名なコメディアン、スタローンは著名な俳優でございます。

 「そんな彼らにとって自分はまだまだだ」と謙遜した言葉ではございますが、長年トーク番組の司会をやっていることからお察しの通り、そう言うレターマンもバリバリ大金持ちというオチがつく言葉でもございます。ちなみに、ウィキペディアによりますと、年収は4000万ドルとか。確かに「なんとかメシ」どころの騒ぎではございません。だとしたらどんなメシを食っているのか、という話です。

俺はただ歌いたかったんだ。ところが、歌ったら金をくれたんだ。ワクワクしちゃったよ。
トム・ジョーンズ(1960- )

アメリカン・ポップ・フレーズ: スーパースター206人名言・迷句(研究社、1996)

 ジョーンズはイギリス出身の歌手でございまして、「恋はメキ・メキ」などの曲で知られています。

 なんかものすごくあっけらかんとした名言と申しますか、好きでやってたら成功しちゃった人の典型みたいな言葉ですね。もちろん、その裏では数々の苦労があったのかもしれませんが、言葉からは幸せな人生を歩んでいるような印象を受けます。もしくは、この時かなり機嫌がよかったのか、どちらかです。

 アメリカやイギリスで著名な方々の言葉が続きましたが、日本でよく知られた人も名言もございます。

貧乏でも豊かな人生を送れる。
パトリック・ハーラン(1970- )

日めくり一日一語 あのひとの声が聞こえる 人生が変わる365日の名言(2022、講談社)

 パトリック・ハーラン、通称パックンはアメリカで生まれ日本で活躍するお笑い芸人でございまして、お笑いコンビ「パックンマックン」のボケを担当しています。

 パックンは幼少期に両親が離婚、そのうち父からの養育費が途絶え、生活保護を受けるなど貧しい生活を強いられたそうです。本人としては苦い経験であった反面、お金がかからない趣味として読書を選び、それが学力の向上に繋がってハーバード大学への入学に至るなど、決して悪いことばかりではなかったようです。それが、上記名言として現れているのだと推測されます。

 過去の貧しい生活をバネに成功した方はそれなりにいらっしゃいます。しかし、昔の生活をどう考えるかは人によるようです。

貧乏というものは、けっして魅力的なものでも、教訓的なものでもない。私にとって貧乏は、金持ちや上流階級の優雅さを過大評価することしか教えてくれなかった。
チャールズ・スペンサー・チャップリン(1889-1977)、「自叙伝」

世界名言辞典(明治書院、1966)

 映画史における最重要人物のひとりとも目されるご存じ喜劇王チャップリンの言葉でございます。

 チャップリンは貧しい時代を明らかに悪くとらえています。コンプレックスを抱いていたと言っていいのかもしれません。

 ただ、貧乏に対してポジティブだろうがネガティブだろうが成功する時は成功する、ということを、ふたりのお笑い人から知ることもできたと言えます。

◆ 今回の名言が載っていた書籍


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