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題名読書感想文:13 入門書は想像以上に多彩だと知りました

 題名だけ読んで感想文を書くという、世界一努力を怠った読書感想文をチマチマ展開しております。今回のテーマは「入門書」です。

 書籍でも一大分野と言っていいジャンルに「入門書」がございます。何か学ぼうと思い立った時、必要となる書籍でございますね。

 誰でも必ず初めての時はあり、そして人が学ぼうと思い立つ分野は多岐にわたっています。膨大な数と言っていい。そのため、ビギナー向けの本こと入門書は大量に出版されており、今もなお出版され続けています。

 しかし、非常に不思議な話なんですが、何にでも初めてはあるはずなのに、「入門」的なワードと組み合わせると不思議な雰囲気が出てしまうものがあるんです。例えば「役員1年目の教科書」です。

 世の役員は誰しも初めての時があるんです。でも、「役員」というベテラン感と「1年生」という新人感がミスマッチすぎて、日本語として間違ってるように聞こえるんです。「冷たいお湯」みたいな感じで。何なら私、最初にこのタイトルを見た時、「そういやあ、役員にも1年目ってあるんだな」と思ってしまいました。

 役員があるなら、当然ながら社長の入門書もあります。例えば、「はじめて社長になるときに読む本」です。

 社長だって初めてはあるわけで、当然ながら本で勉強したい方もいらっしゃるはずです。そんな需要を見越して出版される本がある。ただ、役員1年生に比べてタイトルに「冷たいお湯」感がどうも薄い。「役員1年生」という言葉選びが原因かもしれません。

 ところで、入門書には文章関係のものが多く見られます。手紙の書き方から、取引先へのメールの書き方、プレゼン用の資料、小説や脚本などの創作系、それこそ読書感想文の本もございますし、堅いところでは論文を始め、公文書や契約書、法律や条例の書き方なんてのもあります。

 文章の入門書には「文例集」というものがございます。章のめたもの、というわけで、見本となる文章があれこれたくさん収録されており、読者は用途に応じてその文例を参考に文章を書くわけです。何なら雛形を集めたものだってございます。いわゆるテンプレートというやつですね。細部を変えればあら不思議、誰でも立派に活用できる文章の出来上がり、というわけです。

 しかし、「告訴状・告発状モデル文例集」なんてものもあるんです。

 細部を変えればあら不思議、誰でも立派に告訴できる文書の出来上がり。なんてノリにはとてもなれないほど、「告訴状・告発状」という言葉が禍々しいんです。もちろん、告訴状や告発状は必要だから存在しており、存在していれば初めて書く人がいるわけですから、有用性のあるありがたい書籍ではあるとは思うんですが、「文例集」というビギナー感がある言葉と対比が目を引くタイトルになっています。

 さて、入門者は鍛錬を重ねていくうち、徐々に成長してゆき、場合によっては業界を代表する人になったりします。ただ、誰もがそうなるとは限りません。中には何らかの理由で挫折を余儀なくしたり、そこそこの地位で満足したりする方もいらっしゃいます。どれがいい悪いではなく、いろんな方が出てくるという事実がある。

 当然ながら、入門するうちからトップを狙う気なんてさらさらなく、自分はちょっと楽しめればそれでいいし、何なら見栄えが良ければ最高、なんて方もいらっしゃるはずです。そして、そういう人をピンポイントで狙った書籍がございます。そういう本はもうタイトルから「そんな感じっすよ」とにおわせまくっている。プンプンです。その好例が「リコーダー これが吹けりゃ~人気者! ちょっと吹けるとサマになる! 大ネタ小ネタ 100曲」です。

 軽い調子のタイトルが気軽さを演出しまくっています。「あんまりバリバリ努力したくないけど、でも周りの人たちを「おっ」と思わせたい皆さん、こんなのどうですか」という空気がムンムンしている。いろいろと割り切って出版された感じが清々しいです。

 ちなみに、「これが吹けりゃ~人気者!」はシリーズになっており、いろんな楽器の本がありました。具体的にはフルート、トランペット、トロンボーン、オカリナ、クラリネット、ハーモニカ、ピアノです。

 一般人がちょっといい目を見ようとするには購入および所持が大変そうな楽器もチラホラ確認できますけれども、そういうのは「親戚のおじさんに譲ってもらったけど持て余してる」みたいなパターンを狙ったのだと勝手に納得しました。

 文章の書き方や楽器の演奏方法の他にも比較的多い入門書は芸術関係です。絵画だったり彫刻だったり、当然ながらデザインのような商業的な色合いが強いものまで、芸術関係に絞っても入門書の種類は多岐にわたっています。

 入門書業界は多岐にわたりすぎて、痒いところに手が届きまくっているのが現状のようで、こんな本もございます。「フォトグラファーのためのセクシーポーズBOOK」です。

 確かに、その手のポーズだって時間をかけて洗練された結果が現在なわけで、日々あれこれ工夫を凝らしていればノウハウが貯まってくるはずなんです、セクシーポーズの。ノウハウが貯まってくれば当然ながら他人に教える機会が出てくるわけで、入門書があればいいなとの需要が出てくるんです、セクシーポーズの。

 ちなみに「フォトグラファーのためのセクシーポーズBOOK」は「ベッド&バスルーム編」も確認できました。

 セクシーポーズも場所によって適切なものが存在しているらしいとの予想ができると共に、セクシーポーズに適した環境があるらしいとの推測ができる書籍名です。

 もちろん、「セクシー」ではなく「美しさ」を強調したものもございます。

 「美しいポートレートを撮るためのポージングの教科書」なんですけれども、アマゾンのページを確認すると「セクシー」との差が曖昧な印象を受けます。恐らく、「美しい」と「セクシー」は相反するものではなく、場合によっては両立するものなのでしょう。だからなのか、「美しいえちえちポーズ図鑑」という両立した部分を狙った書籍もございました。

 なんか不穏な方面に来てしまったな、とオドオドしてきたところへ、アマゾンからお勧めされたのが「パンツ専門ポーズ集」でした。

 世の中、いろんな専門があるとは思っていましたけれども、「パンツ専門ポーズ」なる専門が存在しているとは考えてもみませんでした。だんだん際どくなって不安を覚えて参りましたが、アマゾン的には18歳未満の制限もかけていないので、大丈夫みたいです。何がどう大丈夫なのか、いまいちよく分かっていませんが。

 制限のかかっているものもありました。「ヌード・ポーズ・コレクション」がそれです。さすがに直接リンクを貼るのはお控えいたしますけれども、いわゆる裸婦を描いたり立体作品にしたりするためのポーズを集めたもののようです。そのような書籍はいくつか出版が確認されており、当然ながら「メール・ヌード・コレクション」のような、男性のポーズを記したものもございます。

 そこで思うのは、いろんなポーズに良し悪しがあるらしい、という点です。より良い作品を残そうと研鑽を重ねる方がいらっしゃる一方で、より良いポーズを求めて試行錯誤されている方がいらっしゃるのでしょう。そして、そんな分野にもやっぱり目指す人がいて、書籍を買う形でヌード・ポーズの門を叩く人がいるということなんだと思います。

 最後に芸術関係でもうひとつ。

 カメラの登場によって、写真は人々の生活に組み込まれてゆき、趣味で楽しむ人はもちろん、写真で飯を食う人も現れ、表現方法のひとつとして写真が芸術のひとつとして扱われることも珍しくありません。当然ながら、写真撮影の入門書もあるわけですが、その中に他とは異なる角度の入門書を発見しました。

 「人見知りでも女の子を撮りたい! 」。確かにそういう方も当然ながらいらっしゃると思います。下手するとトラブルになりかねない。でも、自分も相手も嫌な思いをせず、ちゃんと撮影したい。そんな需要に応えた本だと思われます。

 もちろん、需要があるのは何となく察していた方もいらっしゃったでしょうけれども、実際に本として売り出しているとは。世の中、本当にいろんな本があると痛感いたします。

 新しいものが生まれれば、それに付随して新しいビギナーが生まれてくる。そうすれば、新しい入門書が発売される場合もあるでしょう。中にはきっと予想もつかない入門書が出るに違いありません。今後の入門書も目が離せません。

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