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日本選手権2020冬を終えて~あるいは私が何故4cを捨てグルールを握ったか

 何となく、チームメンバーがグルールのnoteを書いていたのに触発されて始めてみました。フクロウと申します。はじめましての方はよろしくお願いします。

 とはいえ、個々のカードについては大体そのチームメイトであるハニミルさんが書いてくれているので、私はどっちかって言うとチームを立ち上げた人間視点と、メタゲームの推移からのデッキ選択の思考、それぞれ微妙に違う採用カードの中で私がそれを採用した理由、日本選手権2020冬の予選にまつわるエトセトラなどをお話していこうかなと。

・参考リンク

https://note.com/821369/n/n4f584121d786

・承前

 日本選手権2020冬の予選シーズン、最初の一か月はスタンダードとヒストリックの両フォーマットで行われていたのですが、人数の偏りがありヒストリックは不成立になる事が多く、スタンに出ざるを得ないという状況でした。本戦がヒストリックである事を考えれば、できればヒストリックで権利を取りたいという思いはあったのですが、背に腹は代えられない。そしてそのスタンダードの予選で割とあっさり権利を獲得してしまうのですが、今回特にスタンのお話をするつもりはないので、権利を取った時のリストを張るに留めておきます。

緑単フード

 ともあれ、これで予選シーズンの残った時間を抜ける為に目の色を変えてやるのではなく、本戦までにじっくりデッキを仕上げていければいい、という心の余裕が持てましたね。

・本格的にヒストリックへ

 冬の予選シーズン一か月が経過し、カラデシュリマスターが使用可能となってスタンダードがなくなり、本格的にヒストリックシーズンに入ったのですが、ここでまず最初の壁にぶち当たります。

 何握ればええねん……。

 カラデシュで大量に追加されたカードによって、デッキのアーキタイプは群雄割拠。とはいえ一線級で戦えるデッキはさほど多くないという印象。さんざ騒がれていた霊気池の驚異デッキは特に問題にならないと割と早々にチーム内でも結論付けられていました(実際割とすぐ消えた)。大雑把な記憶ですが、三週間くらい、自分で「これどうかな?」ってデッキを試してみてはゴミの束と結論付けて廃棄するって作業を繰り返していたと思います。

・4cミッドレンジ調整

 さて、そんな混沌としたメタゲームも、シーズンが進めばある程度環境は整理されていくものです。冬予選中期頃になって残っていたアーキタイプは大雑把に言うと……

・スゥルタイミッドレンジ
・4cミッドレンジ
・ゴブリン
・ラクドスアルカニスト
・カラーレスランプ
・オーラ
・ネオストーム
・アゾリウスコントロール
・王神系デッキ
・ジャンドサクリファイス

 大体この辺が主流だったかな、と思います。
 で、そんな環境の中でまず私が選択したのは4cミッドレンジでした。
 
一番大きな理由はヤシャーンの存在ですね。

4cミッドレンジ

※二回ほどデイリーで3-0していますが、これは二回目のリストです。

 ヤシャーンというカードがゴブリン、アルカニスト、ネオストーム、サクリファイスといった諸デッキにただいるだけで刺さり、その他の構造はスゥルタイと大きく変わらない。白を採用する事で多彩なメタカードを採用する事ができるといった点が一番私の目に魅力的に映りました。

 更にコピーリストを使うくらいならいっそ爆発四散する私なので、独自の技として「記憶ナーセット」コンボをこっそり仕込んでいました。

暗記ナーセット

 暗記で相手の重要カードをライブラリに戻し、ナーセットがいる状態で余波の記憶を打てば、こちらは七枚ドローできるのに相手はナーセットに阻害されて一枚しか引けないという、実質勝負を決める力を持ったコンボで、実際それで勝った勝負も少なくなく、チームメンバーからも概ね好評でした。
 しかし、デイリーではそこそこ勝つものの、ウィークリーを予選突破する人は現れない(一人、チーム外の方がリストコピって抜けてましたが)。
 手ごたえは悪くないのに結果に結びつかない、ここで少し焦りに似た気持ちが生まれ始めました。

・ヒストリック環境末期

 長いようで短い予選シーズンもいずれ終わりを迎え、本戦がやってきますが、この時点でまだ本選権利を獲得できていないチームメンバーがいました。更にメタゲームが進み、様々なデッキが淘汰され、あまつさえこのタイミングで要警戒デッキが新しく生まれ……

・スゥルタイミッドレンジ
・パラドックスエンジン
・ラクドスサクリファイス
・ゴブリン

 細かいデッキを含めるとキリがないですが、大体この辺がメタの中心点であったように思います。特に大きな環境の変化は「スゥルタイの一極化」が進み始めていた事です。別段スゥルタイが強くなったとかではなく、誰が握っても安定して戦えるスゥルタイは、多くのデッキ調整時間を取れない、他にベストなデッキを見出せないプレイヤーが握るには魅力的な選択肢となり、遂には支配的といってもいいレベルまでスゥルタイをTier1デッキへと押し上げていきました。
 対して、4cミッドレンジはスゥルタイには不利です。ヤシャーンはスゥルタイにとっては「ちょっとでかいただの4/4」でしかなく、特に阻害要素とはなり得ません。マナベースも4色であり、3色のスゥルタイと比して安定性でも劣ります。

 予選シーズン、最終週の土曜日。4cを握ったうちのチームメンバーは誰一人として四勝以上を上げられませんでした。事ここに至って、私は一つの決断を迫られる事になります――――即ち

 ここまで全ての時間をかけて調整してきた4cを捨てるという選択を。

 無論、かなり悩みましたが現実に勝てていないデッキに拘泥し、チーム全員が共倒れになる事は絶対にあってはならない事です。しかし、捨てるまではいいとして、じゃあ代わりになるデッキは?

 ここでまた悩みます。
 ここまでの日本選手権のデイリー、ウィークリーで結果を出してきたデッキをひっくり返しますが、どれも決定打に欠ける。更に夏のスタンダード、個人的呼称「スゥルタイ地獄の夏」を予感させる戦争の犠牲や精神のひずみが採用されはじめるに至って、こんな地獄のようなメタゲームに付き合ってられるか、という点からスゥルタイを握るのもなし。

・そこで国内(ニッセン)ではなく国外(Star City Games)のメタに着目

 幸い、今は欲しい情報にアクセスするのはそんなに難しくない時代。
 目につく限りのSCG大会のデータを浚って有望そうなデッキを探します。
 その中で一つ、そこそこの結果を出していながら、日本で全く見かけない一つのアーキタイプがある事に気付きました――――

 それが、グルールアグロです。

 もちろん、SCGとニッセンではメタゲームが違うので、SCGのデッキをそのまま持ち込んでも上手く行くとは限らない。割と遅い時間にデッキを引っ張ってきたので、あまり時間もない。その中でできる限りのリストの最適化とサイドボードの構築を行う必要がありましたが、その甲斐あって、予選を突破できていなかったメンバー、Daitoryoさんは6-0で権利獲得。またハニミルさんも4-2二回目で本選のバイを獲得という上々すぎる結果でした。

 グルールはスゥルタイに勝てる、この事実を多くのプレイヤーがおそらく把握していないであろうことは大きなアドバンテージだと感じました。どのスゥルタイも、スゥルタイミラーを制する為に、アグロへのガードを下げざるを得ない状況にあり、グルールアグロはそのメタゲームの隙を的確に突けるデッキなのだと。

 残り一週間、ラストチャンストライアルの時期には全員権利がある状態だったので、その時間を使ってグルールを完成形に持っていこうとチーム内で最後の追い込みが始まりました。

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・いくつかのカードについて

 うちのチームは、別に75枚全部同じリストを持ち込むことを是とはしていません。個人の趣味、傾向、好みなどから採用するカードしないカードもありますし、何なら一人だけ違うデッキを握るのもアリです。

①苦悩火

苦悩火

 「マナフラ受けはどうするか?」という議題から提案したカードです。アグロデッキにおいて単純なX火力はトドメに適すのではないかと言う点、5点以上ならカウンターも軽減もできないという効果はドビンの拒否権といったカウンターはもちろんの事、九つの命厳粛の半ロック状態すら突き抜けます(まぁ、こちらは砕骨の巨人の踏みつけという抜け道もあるのですが)。まぁ、結論から言うと一度も打つ機会はありませんでした!← 後議題出した人も採用しなかったので入れてたの多分私だけorz ただ、その事実がこのカードの有用性をそのまま決定づけはしないというかできないので、評価保留中です。

②戦闘の祝賀者

戦闘の祝賀者

 単品では何とも頼りない性能ですが、その真価はエンドに中隊でめくれた時にあります。相手が大技、全除去を打って一安心したところに中隊を叩き込み、そこに祝賀者がいれば、後は手札から速攻持ちを一体追加するくらいでリーサルが取れます。実際、それで取った勝負もありました。とはいえ、手札に来ると非常にしょんぼりするので一枚の採用です。

③ラノワールのエルフ

ラノエル

 チーム内で最も採用の是非、枚数の意見が割れたカードだと思います。4はいらない、中盤以降引いてきた時に弱く、中隊でめくれても大外れ。ただ、3マナ域が強いので1~3のステップアップは捨てがたく(炎樹族がいるんだから2マナ域を厚くしていくのがよくないか、という考え方もあったが、ここは折衷案を取った形だと理解してもらえると解りやすいかな)、二枚採用。

 特に私から説明を加える必要があるカードはこんくらいかな?

・で、実際のとこどうだったんよ?

DAY1
シミックパラドックス ×〇〇
サイドの刻み角はハニミルさんの提案で投入、これがぶっ刺さり勝ち。

赤寄せグルール 〇××
どっちかっていうと、赤単タッチ中隊(ガリアはいたけど)といった趣。
アナックスにしてやられた勝負でした。

スゥルタイ 〇××
なかしゅーのスゥルタイ。一本目は戦闘の祝賀者で取ったのですが、サイド後に肉儀場の叫びが三枚になるという構成で、一枚なら平気なグルールもさすがに二枚には耐えきれず二本目を取られ、三本目は土地3枚でスクリューしてアクロス戦争を置けなかった上、戦争の犠牲で土地二枚に減らされ積み。

スゥルタイ 〇×〇
スゥルタイに勝ちに来てるのにそうそう負けてやるわけにいかない。

赤茶ウギン ×〇〇
出ましたドメタ外。一本目は最速でウギンが着地し、何とか一枚目に対処しきったと思ったら二枚目登場、無理。二、三本目はマジで刻み角様最高。相手にしたい事させないまま殴り切りました。中隊最高。

スゥルタイ 〇〇
だからスゥルタイには負けてやらんと。

初日4-2でDAY2進出……なんですが、ここまでの対戦相手全員初日落ち。
オポネントが……4-2組で最下位orz 何とかなるのこれ?

DAY2
スゥルタイ 〇〇
スゥルタイ 〇〇
スゥルタイ ××

 思惑通りにスゥルタイだけ踏み。ここまではよかった……が、しかしやはりオポネントの低さがのしかかり、私がベスト8に残る可能性があるとしたら、上位組の人が奇数であぶれて私と階段当たりして、直接対決で勝つくらいしかないという状況……だったのですがまさかの逆階段当たりで下の人と当たり、トドメに負けるというねorz

 そんなこんなで、私の日本選手権2020冬は25位で終わりました。
 ファイナルのラストチャンストライアルは……どうしようね?
 さすがに一枠しかないのはきつすぎて抜けれる気はしないんだけど。
 ここまで来て投げ出すのも悔しいなーというのが正直な感想。

・最後に

 若干繰り返しになりますが、基本的なグルールデッキの扱いやカードチョイスについては、ハニミルさんのnoteを見ていただくのがいいかと思います。私は今のところ可視化されていなかった「何故グルールを選んだ?」というところに焦点を当てたのと、隙あらば自分語りをしてみようと思ってこの記事書きました← なにぶん初めてのnoteなので何かしら至らぬ事などあるかもしれませんが、やんわり指摘していただけると幸いです。質問ありましたら、こちらでもTwitterでも受け付けていますので、よかったら遠慮なく聞きに来てください。

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