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OWL magazine 旅とサッカーを紡ぐWeb雑誌

サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポーターは紛れもなく「主役」です。OWL m… もっと読む
スポーツと旅を通じて人の繋がりが生まれ、人の繋がりによって、新たな旅が生まれていきます。旅を消費す… もっと詳しく
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【世界杯紀行】「自分たちのサッカー」が通用せず、王国のプライドは打ち砕かれ、やたらと消耗した大会<2014年@ブラジル>

「日本代表のワールドカップの目標は何か?」  そう問われたら、多くのサッカーファンは「ベスト8」と答えることだろう。2002年の日韓大会、10年の南アフリカ大会、そして18年のロシア大会でベスト16を達成している日本。とりわけ4年前のラウンド16では、ベルギー相手にあと一歩というところでベスト8に到達できず、開催地の名を冠して「ロストフの14秒」と呼ばれている。  もっとも、日本の目標が「ベスト8」に落ち着いたのは、わりと最近の話である。2010年大会では、当時の岡田武史

【新・蹴日本紀行】おんせん県でのフットボール旅と2002年の記憶<大分〜別府篇>

 3年ぶりに行動制限なしとなった今年のGW、皆さんはどう過ごされただろうか? 私は取材のため、久々に大分県を巡っていた。今年は2002年のワールドカップ日韓大会開催から20年。あの大会が開催地やキャンプ地となった地域に、どのようなレガシーを残したのかを取材する旅である。  OWL magazineが「旅への回帰」を宣言しているのに合わせて、私のほうも今月は「ライターなるには日記」をお休みして、久々に旅の物語を綴ることにしたい。題して『新・蹴日本紀行』。そのオリジナルは、こち

初連載を後押ししたネット黎明期とサッカーブーム〜ライターなるには日記【第9回】<裏>

 今回のテーマは「ライターが連載を持つことの意味」について。私が初めて連載を持たせていただいたのは、フリーランスとしてのキャリアをスタートさせて2年近くになろうとしていた、1998年11月のことである。すでにこの年に『幻のサッカー王国』(勁草書房)でブックライターデビューを果たしていたとはいえ、当時の私はまったく無名の書き手でしかなかった。  そんな当時の私に、連載の機会を与えてくれたのが、NECクリエイティブ(当時)が編集・制作を担当するインターネットサイト「サッカークリ

初連載を後押ししたネット黎明期とサッカーブーム〜ライターなるには日記【第9回】<表>

 4月4日、サッカー本大賞2022の受賞作が発表された。各賞の発表と全作品の選評はこちら。  エントリー作品の著者や翻訳者は、事前にテキストもしくは動画でメッセージを送ることになっていた。今回は徹壱堂の宣伝も兼ねて、1分ほどの動画を作ったので、ご興味ある方はご覧いただきたい。  残念ながら大賞は逃したものの《気軽に旅に出られない時代だからこそ、未知の場所に思いを馳せるこんな本が必要なのだと思う》という幅允孝さんの評価のとおり、アウェイ旅に持っていくと楽しい一冊だと自負して

ブックライターとデザイナーの理想的な関係性とは?〜ライターなるには日記【第8回】<裏>

 先日(録画ではあるが)久々に民放のバラエティ番組を視聴した。3月14日の夜にテレビ朝日でOAされた『激レアさんを連れてきた。』に、松本光平選手が出演していたからだ。  SNS上での「神回」という評価も納得できる内容。おかげさまで私が構成を担当した『前だけを見る力』の売り上げにも(わずかながらではあるが)貢献することとなった。「オワコン」扱いされて久しいTVだが、まだまだ根強い力を持っていることを、あらためて実感した次第だ。 『前だけを見る力』のカバーデザインは、版元であ

ブックライターとデザイナーの理想的な関係性とは?〜ライターなるには日記【第8回】<表>

 今年の「サッカー本大賞」の読者投票が、3月10日で終了した。優秀作品に選ばれたのは12作。選手ものあり、旅ものあり、歴史ものあり、ハードなジャーナリズムあり。活字離れと言われて久しい昨今だが、2021年は思いのほか、サッカー本の佳作が揃い踏みした年であったと言えよう。  こうしてエントリー作品を並べてみると、書籍の内容だけでなく、カバーデザインのバリエーションを見比べてみるのも楽しい。手にとってもらえるチャンスを増やすという意味で、やはり書籍は「見た目」が大事だ。  今

あなたにとって、どちらが大事?「賞を獲ること」と「本が売れること」〜ライターなるには日記【第7回】<裏>

 今年も「サッカー本大賞」の季節がやってきた。素晴らしい作品が並ぶ中、昨年夏に上梓した拙著『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』、そしてOWL magazine編『”サッカー旅”を食べ尽くせ! すたすたぐるぐる 埼玉編』もノミネートされている。  こちらをご覧いただければわかるが、今回は例年以上に力作揃い。『すたすたぐるぐる』は読者賞を獲得できそうだが、私の『蹴日本紀行』は各賞を受賞するのは難しそう。15年にわたる国内取材の総決算としての自負はあるが、それを上回

あなたにとって、どちらが大事?「賞を獲ること」と「本が売れること」〜ライターなるには日記【第7回】<表>

 私が構成を担当した、松本光平著『前だけを見る力 失明危機に陥った僕が世界一に挑む理由』が発売されて3週間が過ぎた。さすがに10冊以上も書籍を世に送り出していると、完成した書籍をしみじみ手に取ることはない(少なくとも私の場合は)。私がそこで考えるのは「売らねば」──。それだけである。  現代のブックライターに求められる条件のひとつ、それが「売る力」なのだと思う。私の経験で言えば、書籍の販売にも時間と労力を割いてくれる編集者は、ここ20年でめっきり減った。理由はいくつか考えら

ゆるふわサポが期待する2022年のJリーグ

こんにちは!OWL magazineアンバサダーの桝井かほです。 最近は、デジっちが1番の楽しみです。Jリーグの開幕が近づき、ワクワクが止まりません……!遠征の妄想と、推しへの期待で胸がいっぱいです。 今回の記事は、Jリーグへの期待を膨らませながら書きます。 Jリーグ開幕に寄せて待ちに待ったJリーグの開幕がもうすぐですね。 毎年、オフの期間はリズムが崩れてしまいます。 平日は思い切り仕事をして、週末にサッカー観戦をする。限られた時間を目一杯使って、さまざまな土地に足

昨日は奈良で、今日は大阪。山のちJFL in 秋の関西!

夜行バスは早朝の京都駅八条口へと到着した。この時間から営業している駅前のなか卯に心を動かされながらも、ここから更に近鉄電車へと乗り換える。 向かう先は、奈良だ。 この日、私の応援する東京武蔵野ユナイテッドFCは敵地で奈良クラブと対戦を控えていた。久々のアウェイ遠征に、否が応でもテンションが上がっていく。 奈良観光は朝が勝負だ。奈良に遠征に行く方がいたら、ぜひ早起きをして早朝から街へ繰り出してみてほしい。寺社仏閣の多い奈良は、朝から観光できる見所が多いからだ。眠そうな顔を

台割の向こう側に完成品が見えた時〜ライターなるには日記【第4回】<表>

 信州に向かう新幹線の中で、この原稿を書いている。今回は『すたすたぐるぐる』の取材。 先日発売された埼玉編につづき、今度は信州・長野編ということで、北信越リーグ1部のアルティスタ浅間を中心に、東信地方を取材する。  こちらが現在、絶賛発売中の埼玉編。このシリーズは年4冊出すとのことなので、残り46都道府県をコンプリートするのは2032年くらいになりそうだ。私がこのほど上梓した『蹴日本紀行』も、15年にわたる国内取材がベースになっている。ぜひ気長に、そして着実に続けていってほ

バラ売りライターがブックライターになるために〜ライターなるには日記【第3回】<表>

──書き手の50代って、いろいろ大変なんですね。 佐山 というか「50代は結構大変だよ」ってこと、あまり上の世代から聞かされないでしょ? 避けられない現実としてのステージに差し掛かっているんだ、覚悟はできてますかってことは、もっとアドバイスされたほうがいいと思いますね。  わが「心の師」佐山一郎さんへのインタビューからの引用である。お話を伺ったのは2013年、今から8年前である。宇都宮徹壱ウェブマガジンでのコンテンツであるが、今年5月に無料公開としたので、興味のある方はぜ

【新連載】ライターなるには日記〜1990年代の経験を2020年代の若者に伝えることの是非について<表>

 いきなりの新連載である。が、その前に、新著『蹴日本紀行 47都道府県のフットボールのある風景』の話から始めることにしたい。  実はこの本、OWL magazineの影響をかなり受けていることを、ご存じであろうか? おそらく当のOWL関係者も、この話を聞いたら「え、そうなの?」と驚くかもしれない。  OWL magazineに寄稿を始めたのは2019年2月。本書の企画がスタートしたのは、同年11月であった。「旅とフットボール」というテーマ、テキストと写真とのマッチング、

7/31発売『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』より先行公開 【長崎県】空と海と半島と時々コミネ先生

 昨年11月よりnoteにて展開し、OWL magazineでも掲載していた「フットボールの白地図」。かねてより予告していたとおり、写真集『蹴日本紀行 47都道府県フットボールのある風景』として、7月31日に発売されることとなった。  そこで今月は3回にわたって、その世界観をOWL magazineの読者の皆さんに共有している。3回目となる今回はまず、本書のカバーデザインをご覧いただくことにしょう。  ご覧のとおり、縦横の比率が少し寸詰まりになっている。これは「変形四六版」