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牛煮込み うちの味/その1

レシピというほどのものではないので、「うちの味」というタイトルにした。初回となるメニューは「牛煮込み」いわゆる牛丼のアタマである。
これは家族にも評判で、早ければ3日でほぼ食べきってしまう。鍋一杯に作ってもその速度で食べてもらえるのは、作り手としては嬉しいかぎりだ。
家の味なので、レシピというほどのものは無く、材料も作り方もその時々で変化するので、結果としておいしく出来上がればそれでいいと思っている。なのでこれから書く作り方は、個人的に代表的な作り方イメージなので、「こういうのもあるんだ」という程度に読んでいただけると幸いだ。

材料

・オーストラリア産牛肉肩切り落とし 2パック
※和牛は不可
・タマネギ 1コ半
・ゴボウ 1本
・糸こんにゃく(あれば)

調味料

・創味つゆ
・砂糖(三温糖)
・味醂
・鰹顆粒だし
・白ワイン
・粉末昆布茶

作り方

①牛肉は室温に戻し、ごぼうはささがきに。玉葱は櫛切りに、厚めと薄め半々にしておく。これは食感を残す用と、溶かして甘味を出す用になる。
糸こんにゃくは湯で洗っておく。

②薄切り玉葱を全て、火をつけず油も引かない鍋に入れ、ゆっくり加熱していく。しんなりしてキツネ色になってきたところで、水を入れて鍋肌の焦げを浮かせる。この時の水は焦げ取りのためだけなので、汁の量としてはカウントしない。

③次に、ゴボウ、糸こんにゃく、牛肉を入れる。そして水、調味料を入れてひたひたになる状態にする。
調味料の分量は、創味つゆ1に対して、砂糖・味醂は0.3ずつくらい。甘口にするなら増やす。顆粒だしと昆布茶は小さじ1ずつで、微調整もする。
白ワインは、以上の調味料を入れてからの味見で、量を決める。350ml小瓶の半分を目安に、そこから少なめ多めを選択する。砂糖が勝っていると多めに入れて酸味を出すし、あっさりにするなら少なめといったふうに。

「吉野家風」と言われる味付けに、昆布茶と白ワインが印象的であるので、自分も倣って使っている。結局のところ、重ったるい甘口にならないためなのだが、「なんとなく」使っている感もある。

④肉に火が通ったら、残りのタマネギを入れ上下を混ぜ合わせて落し蓋をして煮込む。火力は弱~中で、吹きこぼれない程度を維持し、そこから1時間くらいは放置する。アクは取らない。
時折味をみて、塩味・コク(甘味)・酸味を調整していく。この時の味見は汁と具材も確かめつつイメージに近づけていくので、調味料の分量が一定でない理由はここにある。

⑤定期的に具材の上下を入れ替え、都度味を調整し、味見と称してつまみ食いしながら煮込むこと約1時間。その後火を止め冷まして具材に味を入れ、食べる直前にまた加熱してから食卓へ。

完成

こうして出来上がったのは、固めの肉感に具材もしっかり主張する、およそ各社の牛丼のアタマとは別物の、かなり田舎くさい煮込みになった。浅炊きのしぐれ煮ともいえる。
加熱時間が長いため牛肉は歯ごたえ強めになり、ゴボウの土の味わいが全体をまとめている。タマネギは甘さを下支えしてくれているので、具材を一緒に口にいれたときに活躍してくれる。肉自体のうまみは抜けているが、汁全体に広がっているので、肉だけを食べると想像以上に味気ない。
けれど食べ応えは確かなもので、ご飯に乗せても、そのままおかずとしても存在感は強い仕上がりだ。

ただし、牛丼アタマと比較しては劣る部分もいくつかある。第一に、卵と合わない。コクが浅いので、卵黄に負けてしまう。ともすればクドく感じる甘さもないため、かなりあっさり味だからだろう。そして七味ともあまり相性が良くない。複雑なスパイスの風味が浮ついたように感じられてよろしくない。

基本的にそのままで完成しているともいえるので、味変をしないなら十分な出来上がりと思っている。これがマストではないことは自覚しているけれども、これはこれでと認めている。
さて、次回はどの料理を紹介しようか。もちろんダメな要素が多分にあるけれども、それはそれとして好きなものは仕方ない。


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