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眼鏡ストラップ ・道具の話/その1

自分は眼鏡をかけているが、珍しい方でストラップも使っている。眼鏡のツルにシリコンリングを通し、その先に首にかける紐を繋ぐ。眼鏡を外すと、ネックレスのように胸元にぶら下がるようになる。

このスタイルにしたのはいつ頃からか、きっかけは近眼の進行である。老眼直前とよく揶揄されるのは心外だが、業務に日常生活に支障が出たためやむなしである。
仕事柄細かい物を見ることとパソコン画面を見ることが交互にある。そのせいか、眼鏡越しに細かい物を見るとピントが合わなくなってきた。裸眼ならかなり寄って見えるのだが、眼鏡越しにはブレてしまう。逆に、眼鏡がなければデスク上の液晶画面の文字すら追えない。乱視もあるため、眼鏡無しでは通勤にも不安がある。
このため、掛け外しがしやすくなるようにと考えたのが、眼鏡ストラップだった。

けれど、いざ探そうにもなかなか気に入る品がない。ほとんどが女性向けのデザインであったからだ。チェーンタイプは金色に星やハートが飾られていたり、色も明るい紫やピンク、エンジといった紐ばかり。
探し回った挙げ句、安価で真っ赤なタイプを購入した。色は全く趣味似合わないが、欲しいのはツルに通すリング部分だけだと気付いたので、購入直後に紐を解体し、リング部分のみを抽出した。そこに細い革紐を繋ぎ、初めての眼鏡ストラップを完成させたのだった。

普段はそのまま眼鏡をかけて過ごし、必要とあらば眼鏡を摘んで落とす。そうするとストラップのおかげて床に落ちることもなく胸元でぶら下がり、またすぐに掛け直せる。便利な道具を手に入れたと喜んでいたが、その寿命は予想以上に短かった。
冬場に作って夏を過ぎた頃、不意に革紐がちぎれたのだ。首筋に常に触れているから汗を吸い続けたのだろう。手入れされるわけでもなく、濡れて擦られ引っ張られていたのだ。眼鏡はあっさりと地面に落ちていった。
改善の余地がたくさん見つかった。まずは紐の素材だ。これは最終的にパラコードを採用した。柔らかく強度もあり、水洗いもできる。仕入先にも困らないし色の候補も多い。
次にリング部はシリコンの輪の部分のみが東急ハンズに売られていたので、部分だけ仕入れが叶った。更に紐とリングを縛る部分をアルミ紐にすることで、腐食や変色を回避できる。一世代前は真鍮糸だったので、緑青が出てしまった。

こうして試行錯誤を経て、現在の4代目ストラップを使っている。初代から、紛失や断線を経て今に至る。寿命も今までよりも最長で劣化も見られない。頼もしく眼鏡を支えていてくれる。仕事でも私生活でもつけ外しの機会は多く、最近は眼鏡を軽く投げるように外すクセがついてしまった。ストラップを洗って干してることを忘れて投げてしまったくらいだ。
これがなくては過ごせない道具の一つになって久しい。自分は今後コンタクトレンズには辿り着くことはないだろう。

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