ふくろう丸

社会人G。イラストを描いています。 noteでは文章も書いていきたいです。

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最近の記事

誰もが誰かを食べている―『ボーンズ アンド オール』

 ルカ・グァダニーノ監督の映画『ボーンズ アンド オール』を観た。  人肉を食べたいという欲望を持つ18歳の少女マレン(テイラー・ラッセル)が、父親に捨てられ母親に会いに行くためにアメリカの各地を渡り歩くという物語だ。マレンは道中で同じく食人の少年リー(ティモシー・シャラメ)と出会い、旅を共にする中で互いに惹かれあっていく。カニバリズムというショッキングな素材を扱っており、ゴア描写やホラーシーンも満載だが、話の軸は孤独を抱えた若者同士のラブストーリーである。 「孤独」への共

    • 映画『エゴイスト』感想・批評(ネタバレあり)

       映画『エゴイスト』を観た。  公開前のビジュアルの雰囲気と、鈴木亮平がゲイを演じるということで気になっていた作品だ。予告などから、2016年公開の映画『怒り』におけるゲイ描写(妻夫木聡と綾野剛が男性カップルを演じ、「発展場」やマッチングアプリが登場した)に近いリアリティも感じ、2023年の今ならさらにどこまで描けるのかという期待もあった。事前に原作小説も読んでいたので、ストーリーはおさえたうえでの鑑賞となった。 あらすじ(ネタバレあり)  小説は2004年から始まり、2

      • 【詩・春が苦しい人へ】咲かなくたっていいんだし

        町でうわさの並木通りは、甘い淡いピンクのカーペット いちご味の消しゴムと目的化するスケジュール帳 きっと死体も埋まってる なにかをはじめなきゃ。歩きださなきゃ。 ひらひらの請求書たち ぼくは何を返せるだろう? まだなにももらっていないのに ぴかぴかの炊飯器とティファールにちっぽけな自分の顔が映ってる 毎日変わる部屋の大きさ 茶碗がさっそく割れてしまった 戻せないんだって 泣いてしまった あの夜の自分に言いたいのは春の過ちは世界のおわりじゃないってこと 桜は新年度なんてこ

        • おとこたちの「カジュアルダウン」

          先日、休日出勤をした。 立て込んでいた年度末の業務をちょっとでも進めるためで、私の他にも何人かの同僚が出勤をしていた。 え?在宅でできないの?という私の職場へのツッコミはおいとくとして、このたびの休日出勤で、私が特に印象に残ったことがある。それは「男性の装い」についてだ。今回はこのことについて書いてみようと思う。 休日出勤とカジュアルダウン 私はいまの部署にちょうど1年前に異動してきたのだが、この職場での休日出勤は今回がはじめてである。休日といえど出勤なのでと、特に何

        誰もが誰かを食べている―『ボーンズ アンド オール』

          カミングアウトとアイデンティティとLOVE THE COMLEXITY

          2回目の投稿。またまたまじめでパーソナルな話題になってしまいそうだが、せっかくなので、引き続きLGBTQ+関連のお話で書いてみようと思う。 人によって程度の差はあれ、われわれLGBTQ+の人間にとって、カミングアウトっていうのは常に意識の中にある問題だ。「カミングアウト」という言葉を知らなくても、自身のセクシュアリティが「周りとはちょっと違うかも…」と自覚した瞬間から、これはどこまでつまびらかにしたらよいのか、誰に言うべき/言わないべきなのか、言うべきでない相手にはどうふる

          カミングアウトとアイデンティティとLOVE THE COMLEXITY

          31歳ゲイ、社会人3年目のぼくのこと。

          「ぼくは31歳のゲイだ。そして社会人3年目である。」 noteを始めようと思い立ち、ならばまずは自分のことを紹介しようとキーボードに向かったら、反射的にこの一文をたたいていた。 もっと他の書き出しがあるだろうにという気もするが、人間関係を進めるひとつの手段として、自分からまず弱みを見せてみる、というのをよく聞く。人によっては弱みでもなんでもない、取るに足らないことかもしれないが、私の中でこのことを人に深く話すのは、ちょっと、いやかなり勇気と覚悟の要ることなのだ。 まずは

          31歳ゲイ、社会人3年目のぼくのこと。