「新型コロナウイルスの存在する世界で劇団はどう生きるのか?」第2回

どうも、おはようございます!
お笑いサタケ道場の佐竹仁です。

前回「新型コロナウイルスの存在する世界で劇団はどう生きるのか?」第1回という記事を書きました。

前回の記事はこちら↓になります。

僕が思っていたよりもたくさんの方が興味を持って下さり、近い方々からは色々な感想もいただきました。

今日は第2回という事で今日は新型コロナウイルスが猛威をふるっている状況下でなぜ、
・劇団が無料のボイスドラマをアップしていくことにしたのか?
・演劇を支える裏方スタッフ、劇場への思い。
などを書いていこうと思います。

お笑いサタケ道場では2月から3月末まで今後の自分たちを取り巻く世界について色々な未来を考えました。
その中で無期限で公演予定を白紙にして、いつか来る舞台公演に向けて新しい試みをする事にしました。

どんな選択肢があるのか様々な方法を探す時に優先順位を考えました。

優先順位3つ
1)自分たちの作品をきちんと届けられる事。
2)新型コロナウイルスの感染リスクを避ける事。
3)自分たちの可能性を広げる

この時点で劇場などの会場で公演をするという従来の方法は一旦無くなりました。

そこで考えられる方法としてネットを利用した発信。

A)無観客で劇場を借りてオンライン配信する
B)舞台を映画として撮影し編集した舞台映画として配信する
C)各自リモートの環境からオンライン配信する
D)朗読劇としてオンライン配信する

ひとつずつ考えてみます。

A)無観客で劇場を借りてオンライン配信する
一番わかりやすいですよね。
自分たちが一番主軸にしてきた発信をネットでやるという試み。
実際に3月から4月の初めまでは他の劇団さんやミュージシャンの中で行われました。
優先順位(1)は満たしていて、(3)もそれなりに満たしていそうだったのですが、自分たちはまだ公演などを発表していなかった事もありシビアに考えた結果(2)に反すると思い諦めました。

B)舞台を映画として撮影し編集した舞台映画として配信する
これは実は新型コロナウイルスがなければ4月からやろうとしていた事の一つです。
舞台公演をするときに期間を長くとって、きちんと舞台のお芝居をアングル変えたり、演出を工夫したりと撮影して映像作品として十分楽しめる舞台映画(言い方あっているのかわかりませんが・・・)を作りたいと考えていました。
でもこれは上の(A)と同じ理由で諦めました。

C)各自リモートの環境からオンライン配信する
実際に取り組む劇団さんもいましたし面白い作品を皆さん作っていました。
優先順位の(2)(3)も満たしていると思いました。
ただうちの劇団に関しては(1)を満たしていないと思いました。
お笑いサタケ道場は基本的にどんな時代設定やジャンルでも取り組みますがファンタジー要素を含みます。
ほとんどのメンバーが自室で行う映像は朗読劇などでない限り自由な創作が難しいと思いおわサタらしさを出すためには今はまだ出来ないなと考えました。
※5月9日現在、どんどんとこの手の作品が増えていっていてとっても楽しく見てます!一観客として嬉しい!
※あくまで現時点の僕の能力では難しいというだけなので面白いアイディアが浮かべば是非取り組んでみたいと思います。

D)朗読劇としてオンライン配信する
(C)をやめたときに朗読劇を発信する方法を考えました。
全員で朗読劇を作ってリアルタイムで配信するというもの、これま間違いなく演劇だし、ある意味、自由だから色んな表現が出来るなと。
ただここまで4つの方法を検討した時に一つの事に気が付きました。
自分は今、ライブでなにかを発信したいのか?
実は僕が最初に決めた優先順位にはリアルタイムであるというものは含まれていなかったんです。
だから(B)の様な案が浮かんでいたのだと思います。
そう思った時、僕はもう一度最初から考え直すことにしました。

考えなおした時に自分の演劇の何がそんなに好きだったのかと考えました。

そこで思ったのが、
・ライブであるという面白さや緊張感から生まれる作品
・演者の表情が見えるほどの距離感が生み出す臨場感
・様々な制約(物理的)を持ちながら映像とは違う自由な表現を持つ

などが浮かびました。
リアルタイムのオンライン配信はライブとしての面白さは間違いなく持っています。
シチュエーションを利用すれば、従来の演劇の様な自由な表現もできます。
演者との距離感は正直どうしようもありませんが、例えば、中規模、大規模の劇場よりはカメラで大きく顔が映し出されるのである意味贅沢な気がします。

僕がこの中で一番重要視したのは自由かどうかです。

zoom演劇など、YouTubelive、ツイキャスを使ったオンライン演劇はとても面白くて、演劇を封印された僕たちにとっては大きな希望になります。

でもどうしても思ってしまうのは、
新型コロナウイルスが終わってもみんなこの作品の作り方で創作を続けられるか?
というものです。

一時であればいいのかな?とも思いますが僕の作風ではそれば厳しかったのが最大の理由になります。

だからこのやり方はもっと才能のある人たちにお任せして自分は自分のやり方を探そうと思いました。

劇場でセットを組んで、音響、照明を入れて行う演劇とはまったく別のものになってしまう。
なのが違うのか?
脚本や演出をする僕にとって自由ではありませんでした。
これはなんでも贅沢に出来るというものではありませんが創作をするうえで視覚情報はとても重要です。

お笑いサタケ道場が4月にYouTubeで公開した無有少女、これはもともと大阪市内のカフェなどでやりたいと思って企画した公演でした。

空間やシチュエーションの限定はありますが、カフェで喫茶店の公演をするというものであればセットがあるということになり、俄然面白く作れます。

でも自室やバラバラの空間では正直僕が作りたいと思った世界は表現が難しかったんです。

この条件をうまく利用するタイプの作品はリアル差を残したドキュメンタリータイプの作品かなと思います。

もう一つの問題はオンラインで起こる遅延です。
僕が演劇においてもっとも面白いと思うものに観客と舞台が一体となる空気が好きです。
これはツイキャスやYouTubelive、ニコ生などを使えばコメント機能として別の一体感は作れそうだなと思いました。
遅延の問題は深刻で演者の誰かの画面が止まってしまうと途端に現実に戻ってしまったりします。
ある意味ライブ故のアクシデントなので演劇っぽいのですが。

僕の中ではボイスドラマはどんな世界も描けるし演じられると思いました。
昔からある手法ですが、生の演劇にはない臨場感があったりもします。

何より、作品が自由。

せっかくいつもと違う事しか出来ないのだから作品の面白さ以外は今はあきらめようと僕は思いました。

とてもワクワクとした気持ちで演劇の良さをライブの良さを今は使わない事にしました。

お笑いサタケ道場はこの新型コロナウイルスが終わってもこの自粛期間中に取り組んだ活動は継続していけるものをやろうと思っています。

もちろん、社会のネット環境が高速化されそのうち遅延は起きなくなると思います。
劇団の創作能力が上がればアニメーションも面白いと思います。
映像編集技術が上がれば自室に居ながら宇宙を旅したり、ファンタジーを題材にしたものも出来るかもしれません。
劇団がまで挑戦していない映画制作もいつかは作りたいと思っています。
そういう事を今後どんどんやっていきたいと思っています。

生の演劇は面白い!と思っていますがそれしか出来ないのは僕はとても嫌です。
もっとたくさんの人と、日本と、世界と繋がりたいと思っています。

そう考えるとインターネットというのは僕にとってはとっても使い勝手の悪い「どこでもドア」みたいなものだなと思います。

僕たちはこのとっても使い勝手の悪い「どこでもドア」を使ってしばらくは創作を続けてみようと思っています。

毎月の様に自由にボイスドラマ作品を作り、それらの作品を舞台公演や映像作品にしていくサイクルを作るのが今の劇団の未来への一つの生き方だと思っています。

お笑いサタケ道場が月刊お笑いサタケ道場WEB版として生み出す作品はいつか必ず、生の演劇として皆さんにお届けするつもりです。

もう一つ重要なこととして、演劇を支える裏方スタッフ、劇場が今、本当に壊滅的な状態だということです。

自粛が緩和され、集客した演劇が出来ない状態でも無観客ならOKという状態になれば劇場公演をやることには大いに意味があると思います。

今はそういう方向も虎視眈々と狙っています。

でもそのためにも今は自粛しなければと思っています。
ここで焦って感染を拡大してしまえばまた長い自粛が必要になります。

そもそも、スタッフも演者もまた移動自体も感染のリスクがあります。

社会が新型コロナウイルスの感染を防ぐために自粛しないといけなくなった時、エンタメは真っ先に自粛対象となりました。
そして自粛が解除されるのは間違いなく一番最後です。

それでも僕らは創作をやめません。

どこまでも創作の世界を作ってみなさんに見てもらう事が僕たちにとってもっとも価値があることです。


まずはボイスドラマ3連発を頑張ります

呪空喫茶第一夜無有少女チラシ公開後

呪空喫茶第二夜無有少女チラシ5

呪空喫茶第三夜無有少女チラシ8

今はみんなしんどい時だと思います。
ですから僕たちは自分たちが一番価値があると思っている芝居を一番大切なもの無料で公開します。
お腹もいっぱいにならないし、病気の人も助けられないけど、

少しでも作品を聞いて楽しい、面白いと思っていただけたら嬉しいです。

次回はどうして劇団が一番価値があると思っているお芝居を無料にするのかについて言葉にしてみようと思います。

お笑いサタケ道場の収益の方法などはこちらの記事もお読みください


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