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さらば、胞子葉

今日、1年間伸ばしていた胞子葉を切った。
「ビカクシダのように」

以下、覚え書き。

美容室の予約の日が近づくにつれ憂鬱になっていったこと。
前日の夜、背中で反り返る胞子葉の自撮りをしたこと。
電車には乗ったけれど、海と高原には連れていけなかったこと。
初めての美容室でしどろもどろに言い訳がましい経過説明をしたこと。
「後ろでくくることは必須ですか?」と問われ、その返答によって切ることが決まったこと。
刻まれた胞子葉・・・床に落ちた大量の髪を、スマホで撮ったこと。
「ボブ似合いますね」と言われて、「はい」と当然のように答えたこと。
昨日までだって正面からはボブにしか見えていなかったのに、頭まるごとそうなったら、以前この髪型だった頃の痛々しい自分を思い出したこと。
すごく久しぶりに「美容室のマッサージ」をされて、肩をパンパンやられている時に、うどん!?と思ったこと。     
ヘアゴムがいくつも残っていること。
夜になって首筋がスースーすること。
さっき声をあげて泣いたこと。
ここでもう朽ちてしまっていいのに、春へと押し出されていく。

最近よくリピートして聴く大橋トリオ「LOTUS」の歌詞が、メロディーの鎖から解かれて頭の中で繋がる。
「何かを見つけ出す頃には もうきっとここには居ない さらば」 



                  

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