秘境駅にハマった話ともたて山駅・ほうらい丘駅訪問の備忘録

はじめまして。

リサです。
20歳代前半の女性です。

これは自分自身でも自覚があるのですが
ちょっと変な趣味が多いです。

その変な趣味の一つにこの方のツイートを眺めるというのがあります。
R774@まとめ屋さん(@kendou774)です。

この御方の活動メインは酷道・険道のようですが、
同時に住民がいなくなったり、何らかの原因で消失してしまった村を探索されてTwitterにまとめてあげてくださっています。

小さなころから誰が通るかわからないけもの道を一人で探索したりしていた私にとって
「人がいたはずなのに今はいない」
「人気を感じさせない不安さえ感じられる環境・空間」
である消滅した集落は魅力的なものでした。

さらにこの方、文章も読みやすく、続きが読みたくなるような書き方をされているのです。
バスの中などの時間があるときにこの方のツイートを眺めニヤニヤしておりました。

前置きはここまでにしておきます。


私が「秘境駅」に出会ったのは、インスタグラムでした。

なんとなくインスタのTLを眺めていると、ある写真が飛び込んできました。
四国JR 土讃線の新改駅です。

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※こちらの写真は秘境駅界隈で有名な牛山氏のブログから引用しました。

この写真ではなかったのですが、投稿した方は別に秘境駅が好き?というわけではなく、単純に「近くを通ったらすごい駅があった」という感じでした。
しかし私にとってその出会いは衝撃でした。

「人気を感じさせない不安さえ感じられる環境・空間」がその写真にはありました。
さらに、駅なので酷道を進んでいかなくても自力で行くことができる。
なぜそこに駅があるのか、どんな役割をこれまで果たしてきたのか…それを調べ、想像するだけで毎日の白米のおかずになりました。

R774@まとめ屋さんのような体験を私自身でできるかもしれないと思ったのです。

以前高知県に住んでいたことがあったので、もちろんこの駅のある線は使用したことがあるのですが、この駅で降りたことは一度もありませんでした。
つくづく、住んでた時に行けばよかったと後悔しました。

そこから私は全国の秘境駅を調べ始めました。

調べ始めてすぐに出会ったのが、上記にもあった牛山氏のブログです。
全国の秘境駅をめぐり、それをランキング化してくださっているのですが…これがもう宝箱のようで…とにかく情報量が多い!掲載されている駅の量がわけわからない!秘境駅の存在を知ったばかりの私には供給過多でした。

しばらくは牛山氏のブログを眺め、Googleマップでその駅を検索し…を繰り返していました。

そこで出会った私の推し線が、
JR北海道の宗谷本線です。

秘境駅が好きな方にとっては有名な線で、その線の大半が秘境駅というなんとも罪深い本線です。

話は脱線しそうですが、宗谷本線での私の推し駅紹介します。
安牛駅糠南駅です。

↓安牛駅

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wikiから写真は引っ張ってきました。
夜訪れたら寝れなくなりそうです。
2018年の情報ですと、一日の平均乗車人数0.2人とのことです。

↓糠南駅

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こちらの写真もwikiから。ちなみにこの物置みたいなのが待合所です。
というか完全にプレハブ物置です(ヨド物置のポスターにもなっているそうです)。
2018年情報で一日の平均乗車人数0.0人。なぜ存在しているかわからない駅です。

ぜひご興味のある方は調べてみてください。魅力いっぱいです。

私はこの宗谷本線を調べていく中で「ぜひ自分のこの目でこの秘境駅たちを確認したい」と感じるようになり、いつか北海道に…と思っていた矢先、こんな情報を見つけてしまいました。

JR宗谷線、廃止方針の13駅全リスト。2021年3月廃止へ
https://tabiris.com/archives/soya-13station/
2020年4月6日

そのリストには私が行きたかった駅が大量にあり、その中には上記でご説明した安牛駅もあります。
廃止予定は2021年3月。
そもそも宗谷本線が稚内ー旭山間の線ですので、そこに行くまでの旅費、巡る時間を考えると、到底西日本住みの安月給社畜OLには3月までに解決できなさそうな問題でした。

私がこの目で見る前に、自分の行きたい駅が廃駅になってしまうというショックと同時に、「自分が魅力を感じている秘境駅はいつなくなってもおかしくない存在なんだ」と強く実感したのでした。

ただ…宗谷本線は遠すぎる…


ということで、近場で秘境駅に行きたい!

そこで選んだのが!

京阪比叡山鉄道 坂本ケーブルの駅、

もたて山駅とほうらい丘駅です!!!!


坂本ケーブルは日本一長いケーブルカーで有名です。
ケーブル坂本駅とケーブル延暦寺駅を結んでいるケーブルカーですが、
なんとその2駅間約2km!11分もかかります。

比叡山をただひたすら上るor下る路線ですので景色も素晴らしく
トンネルを2か所も体験できる珍しいケーブルカーです。

さらに特殊なことに、ケーブルカーなのに、途中駅が2か所もあります。
それが私が訪れたもたて山駅とほうらい丘駅です。

こちらの2駅は牛山氏の秘境駅ランキングでも12位、13位という
全国的に見ても相当な秘境駅です。
宗谷本線の秘境駅に相当するレベルの駅が近くにありました。

なぜこの2つが秘境駅といわれているのか、ちゃんと理由があります。

・山道しかなく、ほぼ外部からの到達が不可(山道も整っていない)
・その駅から下りて観光できるところもあるが、逆にその観光地を見る以外の使用理由がない
・通常運行だと止まらない駅なので、事前に車掌さんに伝えておかないと通過される

正直、乗ってて思ったのですが、
坂本ケーブル自体が、延暦寺観光のための方しか乗ってない。
つまり、わざわざ人も建物もない駅2つに行きたい人もいない。

私はこの2つの駅に、わざわざ行くために坂本ケーブルに行きました。


私のルートはこちらです。

<往路>
京都駅→JR比叡山坂本…ここから徒歩25分…→ケーブル坂本駅→もたて山駅→ケーブル延暦寺

<復路>
ケーブル延暦寺→ほうらい丘駅→ケーブル坂本駅…以降は往路と同じルート

JR比叡山坂本は何回か来たことがあったので問題なくいきました。
ケーブル坂本駅も、運動不足の私にとってはしんどかったものの
迷わずつきました。

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これがケーブルカーか…(ケーブルカー初)

坂本ケーブルは毎時0分と30分に運行します。
前の便が出てすぐに坂本駅に来たため、私以外のお客さんがホームにいるわけではなく、しばし1人でホームの様子を眺めていました。

すごくレトロでおしゃれな駅だな~と思っていたら
どうやら大正14年建設の当時流行りのモダン洋風建築。

登録有形文化財にも登録されているらしく、それを知らなかった私は坂本駅の写真を撮ってきませんでした。
ちゃんと下調べをしてから行くべきでした。

往復チケットを買い、窓口の方に
「もたて山駅で降ります」と申請し、
ケーブルカー発車時刻まで駅付近をぶらぶらしていました。

駅の待合室に戻ったころには人がごった返していました。

このケーブルカーは延暦寺に通ずる交通機関であることを忘れていました。

ああ…そういえばお盆だった今日…(お盆に行った)


定刻の時間になり、ケーブルカー出発!

終点ケーブル延暦寺まで11分を要します。
その間はケーブルカーから見える琵琶湖を眺めたり、
途中に見える滝や、ターンアウト(上り下りのケーブルカーが行違う場所)などの解説アナウンスが流れているのであっという間です。

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ケーブルカーの中からは琵琶湖と滋賀県大津市の街並みが見られます。

そんな風にケーブルカーの旅を楽しみ始めておよそ9分後、
ついに1つ目の目的地、もたて山駅に到着しました。


○もたて山駅

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勿論というべきかわかりませんが、降りたのは私一人だけでした。

もたて山駅はホームの床が木造になっており、
簡素ではありますが、小さなベンチと屋根が設置されています。
あと、すごい急です。
小さいテーマパークとかにある「斜めの床の建物」みたいな感じです。(伝わるかな…)

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ケーブルカーの途中駅で降りるとわかりやすいのですが、
ケーブルカーが走るレールの真ん中に、ケーブルと
それを動かす滑車(?)が一定の間隔で設置されています。

定刻の時間にケーブルカーが動き出すと、ケーブルも動き出すため
滑車らしきやつのゴロゴロとした音が山中に響きます。

ケーブルが去ってしまうと、
鳥のさえずりと延暦寺の鐘の音しか聞こえません。
人気も全くない為、人のいない世界に取り残された気持ちになります。

こんな場所ですが、観光地が近くにあります。

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もたて山駅は「紀貫之の墓」最寄り駅です。

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管轄は高知県南国市。
わざわざこんなところまでお疲れ様です。

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紀貫之の墓まではひたすら山道です。
そこそこ道は開けていますが、隣が崖みたいな急斜面なので夜通るのは危険です。
人もいないので楽しく歌を歌いながら歩いていきます。

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小さな展望台がありました。

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展望台に登ったのに木が生い茂りすぎて全く景色が見られません。

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この展望台がある開けた一角には、倒れたベンチと倒れた柵がありました。
以前は登山客がこの展望台で景色を楽しんだり、休憩をしていたのだろうと伺うことできます。
ただこの空間には人気がないものの、草の刈り取りは行われており、
定期的に人が管理している様でした。大変そうです。

この辺で、紀貫之の墓が全然出てこないことに不安を感じ、ちょっと引き返してしまいました。
しばらく歩けばちゃんとありました。

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著名人の墓にしては到着難易度高すぎでは…
墓の写真に撮るのはちょっと憚れたので写真はないです。

紀貫之が琵琶湖の風景を愛していた為、琵琶湖の風景を眺めることができる比叡山のこの場所に埋葬されたとのことですが、
木が生い茂りすぎて、枝と葉の合間をぬって覗かないと琵琶湖を眺めることができません。
これは埋葬された紀貫之も残念なことと思います。


もたて山駅周辺を散策して、駅に戻ってきました。

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本来止まらない駅なので、ケーブルカーに乗りたい場合はインターホンで呼びます。
すごく優しく対応してくださいます。

しばらく待つと、またケーブルの滑車の音があたりに響きます。
到着したケーブルカーに乗り、ケーブル延暦寺駅に向かいます。

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延暦寺駅からは琵琶湖と滋賀の街並みが一望できます。
もっと天気が良ければ琵琶湖大橋もしっかり見ることができたと思いますが、まあ別に仕事で琵琶湖大橋よく渡るし、別にいいかという気持ちです。

そのあと延暦寺も観光しましたが、
それは今回の目的ではないので割愛します。


また延暦寺駅の窓口の方に
「ほうらい丘駅で降ります」と申請して改札を通ります。

その時に改札の上に小鳥が!
車掌さんに「お姉さん」と声をかけられ、豆をひとかけら頂きました。
それを手の平において上にかざすと、小鳥が私の手にめがけてやってきて、えさを摘まんでどこかに飛び立ってしまいました。

あまりにびっくりして「わああ」しか言えませんでしたが、めっちゃ小鳥可愛かった。
私の後ろで改札の為に並んでいるお客さんからも歓声が上がります。

車掌さんの心配りに一気に比叡山鉄道のファンになりそうでした。

そして2つめの目的地であるほうらい丘駅に出発しました。


○ほうらい丘駅

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ほうらい丘駅も降りたのは私だけです。

ほうらい丘駅は、もたて山駅とは打って変わり、地面はアスファルトです。
そしてベンチや屋根がありません。
ほうらい丘駅にいた30分の間に一瞬だけ雨が降ってきたので、折り畳み傘を開く羽目になりました。

さらに、もたて山より緑が深い場所にあるのか、全体的に薄暗い印象です。
しかし比叡山の麓に近いため、山の先にある野球場から野球部員らしい練習の声も聞こえてきます。
もたて山駅より雰囲気は暗いですが、人気をまだ感じます。

ほうらい丘駅のすぐ隣に、この駅の存在意義があります。

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延暦寺といえば、織田信長の「比叡山焼き討ち」をイメージされる方も多い気がします。
その際の焼き討ち犠牲者の石仏が、ケーブル建設中の大正時代に発掘され、まとめてほうらい丘駅横に安置されています。

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中はこんな感じです。

地面も天井もすべて石造りで、窓もなく
ただ一つのライトだけが中を照らしていました。

この内部だけがとてもひんやりしており、こんなこと言ってはいけないかもしれないですが、かなり怖いです。
賽銭箱になぜかマスクが捨ててありましたが、こんなに石仏に見られている中、よくそんなことができるよな…と思いました。

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ほうらい丘駅付近にも山道がありましたが、もたて山駅とは違い、割と雑草が生えています。
道の横にもいくつか石仏が並んでいます。

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登山道なので順路の看板もありますが
根元から折れており、正直指示している方向でいいのか不安になります。
確かに人が通ったような跡はありますが、雑草が生い茂っており、
動きやすいスニーカーで来た私も、ちゃんとした登山靴じゃないと降りられないと思い、下ってみることはしませんでした。

秘境駅で有名な牛山氏は、ほうらい丘駅から山道を通って坂本駅まで下山したとのことでしたが、2020年現在、それは厳しそうです。

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駅はあるものの、周りは木が風で揺れる音と川のせせらぎ、野球部員の声しか聞こえません。

こちらのほうらい丘駅もインターホンが設置されており、それで「坂本駅までおります!」と申告します。
そしたらケーブルカーがちゃんとほうらい丘駅で止まってくれました。


これにてもたて山駅、ほうらい丘駅への旅が終了しました。
これまで秘境駅といって行ったことがあったのは、京都市内にある保津峡駅だけだったのですが、保津峡駅はまだ人がいたので、ここまで全く人がいない駅に来たのは初めてでした。

どちらの駅も魅力たっぷりでいっぱいスマホで写真を撮って帰ってきて、こうしてnoteを書くことにした次第です。

坂本ケーブルの皆さんも心優しく、また是非行きたいと思います。

また、ここ以外にも宗谷本線含め行きたい路線、行きたい駅があるので
時間のある時に頑張ってみます。


ここまで読んでいただきありがとうございました。

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