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双極性障害を理解してもらうために

僕は双極性障害という病気です。メンタルの病気は、なかなか理解してもらうのが難しいので、今日は双極性障害について書いてみようと思います。

僕が双極性障害になったのは35歳くらいの時でした。当初はうつ病と診断されました。仕事が忙しく、毎日終電近くまで仕事をして、休日出勤も度々あったので過労でうつになりました。2ヶ月ほど休職して仕事復帰しましたが、病気になる前よりはるかに気分がよくなっていたことを覚えています。その時はまだ双極性障害とは診断されませんでした。双極性障害には生活に支障をきたすほど躁うつを繰り返すⅠ型と軽い躁とうつ状態を繰り返すⅡ型がありますが、Ⅱ型はうつ病と誤診される場合も度々あるようで、僕はⅡ型でした。双極性障害とうつ病は似ていますが、まったく違う病気です。もちろん、治療法も違います。双極性障害であるのにもかかわらず、うつ病の治療を続けていた僕は、うつの時以外は、異常な高揚感がありました。躁状態の時によく見られる症状が万能感です。自分のことを「すごい」と思ってしまうのです。これがなかなかにタチが悪く、友人や同僚に高圧的な態度を取ったり、多弁になったりします。僕の場合は、大好きだった仕事を辞めて転職してしまいました。僕は覚えていないのですが、当時の支店長の話では、「もっと高い給与をもらってもいいはずだ」と言って、僕は退職したそうです。すごい万能感ですね。

この転職が僕の人生をぶち壊しました。双極性障害の僕は、自分を「過信」し、「過大評価」するので、面接などで自分を背の丈以上に見せることに長けていました。実際はそれほど実力がないにも関わらず、いかにも自分に能力があるように見せかけて転職するので、実際に力を発揮できない僕は度々失敗しました。それでも自分が悪いとは思わず、社長が悪い、会社が悪いと思っていました。そんな僕を奈落の底に落としたのは甲状腺がんの発症でした。

甲状腺の腫瘍といっしょに声帯の神経を合併切除して、声が出にくくなった僕は、工場勤務になりました。ただでさえ双極性障害で万能感が高いのです。これまでの学歴も職歴も何もかも否定されて、僕のプライドはズタズタになりました。双極性障害の場合、うつの時の落ち込みはかなりひどいです。躁状態の万能感とは反対に、自己否定感が半端なくなります。自分が誰よりも不幸で、能力もないと自己嫌悪とこの世から消えたいという気持ちで苦しむことになります。ジェットコースターのような気分の浮き沈みでほんとにしんどいです。家族や友人にも理解されにくいので、どんどん孤独になっていきます。僕は本を読むことで自分の気持ちを調整してきました。今、通っている心療内科の先生と出会ったのもよかったと思います。

しかし、世間の双極性障害に対する見方はまだまだ厳しいです。僕は精神障害3級ですが、障害年金はもらえません。手帳を持っていて有利なことと言えば、市営の駐車場が半額になることくらいです。実際にはとても生きづらく、仕事にも支障をきたすにもかかわらず、です。普通の人より、かなり生きていくのが大変なのに、見た目病人でもないので、他の人から見ればただのやべーヤツです。

双極性障害で、うつ病と違う特徴的な症状があります。一般的に双極性障害は、躁とうつを繰り返すと言われますが、躁とうつを併発することがあります。自分はすごい人間なのに、なぜここまで苦しまなくてはいけないのか?という気持ちになることがあります。今、これを書いている僕の状態がこれです。どこでレールを踏み外したのか?という後悔、自分が誰よりも不幸だという劣等感、これから先もいいことなんて何もないだろうという絶望感。ただ、この心の叫びを誰かに聞いて欲しくて、僕は久しぶりにnoteを書きました。僕はただ、理解して欲しいのです。双極性障害という病気を。そして、双極性障害は多くの場合、仕事などの環境によってもたらされます。あなたが管理職、もしくは経営者なら、決してうつ病になるような環境を作らないよう努めてください。うつ病を完治できればいいですが、もし僕のように双極性障害になると、その人の一生を台無しにすることになることを忘れないでください。

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